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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第三章「コンビニオーナーの異世界改革!」

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第三十四話「ロメオ王国宰相高倉健太郎」⑥

「はい……ただし、今の時点では飛べる場所としては、ある程度開けていて、アージュさんが覚えている場所……。聞いた限りでは、新宿駅前と、秋葉原……ソフトマップの看板の話をしてたんで、多分、ホコ天……中央通りの事でしょうね。当てになりそうなのは、このどちらか、それと半径数十m以内に物や人が居ない一定以上の開けた空間が必要です。この条件でなんとかなります?」


 都内でこの条件……無茶振りっぽいけど、どうかな?


「なら、秋葉原の中央通りを夜間、一帯ごと閉鎖しましょうか。そうなると、また不発弾ネタで……近隣住民も強制退避。首都高も通行止め……この辺は徹底しましょう。なにぶん、最近共産系の工作員の活動が活発でして……何か目立つ騒ぎがあると、決まってコソコソと探りを入れてくるんですよ。……実際、高倉オーナーのお店の跡地でも、ひと騒ぎありましたからね。戸塚さん、ご対応お願いできますか?」


 ……あっさりだった。


 やっぱ、この人達半端ねぇな……都内の大通りを閉鎖って、そんな簡単じゃないだろ。

 けど、不発弾処理……ね。


 なんか、年に一回はどっかでそんな話やってたような気がするんだけど、あのうちのいくつかは、人に知られたくない事をやるカモフラージュ……だったのかもしれないな。


 実際、そんな爆弾処理の現場なんて、何もかもシャットアウト。

 中継映像とか言っても、それっぽいのを予め用意して、マスコミとグルになってれば、なんとでもなるだろうしな。


「ああ、カモフラージュで、朝霞の第102不発弾処理隊を動かしておけば、対外的には十分だろう。警護や機密保護の為に、練馬の第一連隊を対テロ訓練名目で動かし、都内のセキュリティレベルを一段階上げた上で、それを隠れ蓑に不発弾処理隊と特務戦隊を入れ替わらせて現地へ派遣する……。この二段構えで行けば、アカの工作員や敵対マスコミ対策としては、十分だろう。聞いた限りでは、機密レベルとしては最上級とすべき事案だからな。それくらいでも構わんだろ? 警察やマスコミへの根回しは、そちらで動いた方が早い。どうせ、手慣れたものでしょう」


「その辺は、抜かり無く粛々と……いつも通りにやりますよ。では、警備プランについては、そのように。笹崎さんも待望の異世界の国賓のお出迎えですよ? エスコート役をお願いする事になりますでしょうから、存分にご対応お願いします。なお本件は特一級機密案件となりますので、この場で見聞きした話も含めて、情報共有範囲も最低限度にするよう関係各位に要請させていただきます」


「心得ておりますよ。そう言うことであれば、委細お任せください。高倉閣下……先も言ったが、私は君に謝っておかないといけない……色々すまなかったな。まったく、元々我々外務省の要望なんぞ、一度君達と顔合わせをしたい……この程度だったのだよ。とは言え、国賓の出迎えとなると、むしろ我々の本業だ……実に面白い話になってきたな」


 やけにスッキリしたような調子で、にこやかな笑みを浮かべる笹崎さん。

 あれだけ強面そのものだったのに、普通に、気のいいおっさんにしか見えない……。


「やれやれ、何のことですかね? 笹崎さんもお疲れ様です。なんだ、そんな顔も出来るんじゃないですか……お互い損な役割でしたね」


「ははは……お気遣いありがとう……。私もこれまで、海外の海千山千の外交関係者共の相手をしてきたが、君ほどホネのある相手には、お目にかかった事がない。なかなかに、楽しかったよ。私もちょっと忙しくなりそうだから、これで失礼する。君とクロイエ陛下に会える日を心から楽しみにしているよ。我が国は、君達を国賓として出迎えると約束しよう。大々的に出迎えが出来ないのが、残念だがね」


「いえいえ……ご苦労さまです」


「そちらこそ。君もとんだ大役を仰せつかって、その心中をお察しするよ。……今度はゆっくりと、互いの苦労話でも語り合うのも悪くないね。ではまたな……」


 それだけ告げると、笹崎さんがモニターをオフにした。

 なんだかんだでいい人じゃないか……まったく、狸だねー。


「やれやれ、高倉オーナーには、敵いませんね……。ところで、転移の際、ピンポイントで場所は指定できそうですか? 転移魔法という話ですが、壁や人が転移先にあると、不味いことになりそうなんですが……」


「まぁ、そう考えるよね……普通は。なんでも、マーカー代わりの魔法陣を描いて置けば、転移先をかなりピンポイントに絞れるそうだよ。とにかく、普通にやると座標が10m単位でズレるような危なっかしい代物でね。それで少しはマシになるみたいだから、実物の写真でも送りますので、そちらでご用意いただけないでしょうか?」


「かしこまりました。こちらにも魔術に詳しい関係者がおりますので、その者達と相談させていただきます。異世界の魔術は多彩かつ、強力と聞いてはいましたが……もう、なんでもありですね。その魔法陣の設置には何か特別なものが必要なのでしょうか?」


「そうじゃなぁ……。我の調合した魔術触媒に魔力を付与しつつ魔法陣を描くだけじゃから、それなりの魔術の使い手なら、誰でも出来る程度の作業じゃな。和歌子にでも頼めば、魔術触媒の現物を送れるじゃろうし、そちらにも魔術師くらいいるようじゃからな。なら、転移先に魔法陣を描いてもらえば、おそらく十分じゃ。我らもクロイエが飛ぶ時は、現地のものに連絡して魔法陣を作らせたりしておるからな」


「……だそうです。けど、これってその女神様の制約に掛かりそうですかね?」


「いえ、こちらの世界から、こちらの世界の住民を勝手に送り込んだり、そちらの世界の住民を勝手に連れ去ってはいけないってだけなんで……。異世界人が自前の能力で勝手にやってきて、勝手に帰るだけの話なら、問題ないんじゃないですかね……。帝国に至っては、日本にテロリストを送り込んでくるほどなので、制約といっても、実際は穴だらけなんですよ。どう考えても問題ありだとは思うんですが……。帝国のテロ活動については、神性存在側でも把握していないらしくて、我々も抗議はしたのですが……結局、まともに取り合ってもらえませんでした」


 ……やっぱ、その女神様……ラーテルム様とか言ってたけど、とんだポンコツ女神じゃないか。

 思いっきり、自分の世界の住民が異世界へ侵略してるのに、そんなの知ーらないとか……どんだけ、無責任なんだか。


「……とりあえず、この件は例の女神様は絶対に、関わらせちゃいけなさそうですね……。こちらでも、クロイエ陛下の不在は、誰にも悟られないように秘密裏に行うように取り計らいますよ。……実は、ここにもですが、ロメオ王国には女神の関係者……聖光教会の関係者が少なからずいるのですよ。怪我人や病気の人を治療してくれたり、基本的に善意の人が多いのは確かなんですが……」


「それが賢明ですね……神性存在ってのは、得てして、そんなものなので……。しかしながら……こっちにも魔術師程度はいるんですが、その転移魔法陣の技術をこちらに提供するとなると、研究、解析されるとか思わないんですか?」


「確かにそれも考えなくもないですが……。こちらもこの転移魔術については解らないことだらけですからね。僕も魔術の専門家じゃないから、なんとも言えないんですけど……かなり、独自性の強い魔術のようでして。どうもクロイエ様とリョウスケさんが持つ固有の魔術器官が必須らしくて……簡単に研究、解析出来るとは思えませんね。ただ一応、ロメオ王国の国家最高機密なので、本件の取扱はご注意願いますよ。自由にどこでも瞬時に転移できるなんて、そんなチート魔術、本来、門外不出ですからね。その存在をお教えすると言う事は、こちらも鹿島さん達をそれなりに信頼しているが故にです……。信頼を裏切るような真似をしてはいけない……ですよね」


「た、確かに……使い方次第では、戦略核にも匹敵しますよね? それ。……かしこまりました。本件は特一級機密案件……国家最高機密として取り扱いますので、滞在中の日本側の関係者からの接触も最小限といたします。ですので、大々的な歓待などは期待しないでくださいね。多分、武装兵が厳重に警戒する中を、問答無用で装甲車に乗ってもらって、安全なところに移送……話はそれからとか、そんな調子になると思います」


「うん、その辺は信用してますし、大仰なセレモニーとかされる方が困りますよ。こっちもクロイエ陛下やアージュさんと相談して、上手くやります。日程は後ほど、調整しましょう。そちらも色々段取りがあるでしょうからね。ぶっちゃけますと、クロイエ陛下にご要望を聞いたりなんかすると、今夜とか言い出しかねないので、そちらの都合に合わせますよ」


「かしこまりました……お気遣いに感謝を。えっと、その……最後に信頼いただいたお礼……と言う訳でも無いんですが……。私、鹿島麗子一等儀官と申します。偽名じゃなくて本名です。役職も一般では聞いたことも無いと思いますが、これでも相当な権限があるんですよ? あはは……私もお会いできる日を楽しみにしております。それではっ!」


 そう言って、鹿島さんが頭を下げて、モニターをオフにする。


 鹿島さんも最初は、本名や役職名も伏せるって言っておきながら、最後の最後に教えていってくれるとか小憎い真似をやってくれるなぁ……。

 

 最後に戸塚さんがにやりと笑って、親指を立てるとモニターをオフにする。

 グッジョブ……とでも言いたかったらしい。

 

 まぁ、日本側との会議はこれにて終了。

 

 さすがに、どっと疲れた。

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