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第四話「従業員をゲット(強制)しようっ!」①

「どのみち、僕は触れないみたいだし、やってくれっ!」


 どのみち、復旧ってのをしない限り、このまんま……それどころか、建物がヤバい。

 僕の部屋がどうなったとか……あまり想像したくないな。

 

 ……とにかく、詫び石分で賄えるってことなら、やってみても損はしないだろう。


「解ったにゃっ! ご主人様っ! うにゃーっ! いけーっにゃっ!」


 テンチョーがそう言って、メニューの復旧ボタンを押すと、辺りが真っ白になる。

 けど、それも一瞬……真っ暗だった店内も光が戻ってきて、グチャグチャだった店内も元通りになっていた。

 

 天井だって崩れてたし、ガラスも割れて、壁にもヤバそうなヒビが入ってたんだけど……全部元通り。

 横倒しだった商品棚も戻ってるし、散らばってた商品も元の位置に戻ってる。


 ガラスが割れまくってたドリンク棚も元通り……。

 潰れて中身をぶち撒いてた弁当なんかもあったはずなんだけど……。

 

 見た感じ、その辺すらも元通り……地震前の状態に戻っていた。

 弁当棚がちょっと寂しいのは深夜体制で、仕入れ自体を最低限にしてたからなんだけど……。

 

 なんと言うか、直したと言うより、時間が巻き戻ったような……。


 つまり、正真正銘の奇跡ッ! アメーンッ!


 と言うか、なにげに店内の照明も点いてるんだけど、これ……何処から電気来てるの?

 なんと言うか……もはや、声も出ない。


「な、なんだこりゃーっ!」


 と思ってたら出た……絶叫でした。


 犬耳さんも、もはやポカーンとしている。

 

「今の……古代ダンジョンとかで使われとる超古代魔導技術やんけっ! は、初めて見たわ……なぁ、うちなら奴隷でもなんでも、全然構わんでっ! むしろ、こき使ってくれてええから、あんさんの下僕にしてくれやっ! たのむわっ! こんなのに関われるチャンスなんて、一生に一度くらいやろっ!」


 犬耳さん、もはや我を忘れてる感じ……。

 まずは落ち着け……でも、僕も人のことは言えない。


「ちょっと待ってね! えっと、まずは従業員雇用っと……お名前は?」


「う、うちはキリカやっ! キリカ=アイマールって言うんや!」


「あ、出てきた……キリカさん凄いね。SRスーパーレア「コンバットホーカーズ」だって! んじゃ、雇用契約結んじゃうね?」


 ウィンドウには、眼の前のイヌ耳娘……キリカさんをディフォルメしたようなイラストが表示されている。

 ハリセン片手に「なんでやねーん!」のツッコミの吹き出し付きだ。

 

 コンバットホーカーズって……戦う行商人って意味だったかな?

 このイラスト見た感じだと、ツッコミ専門みたいな感じだけど……。

 

 さらに、その下に、Yes、Noの選択肢みたいなのが表示されていた。

 

 チュートリアルで、SRキャラが貰えるって、ソシャゲあるあるだなぁ……。

 そんな場違いな感想を抱く。


「ええでっ! やっとくれっ!」


「じゃあ、ポチッとなっ!」


 まぁ、実際にボタンを押すのは、テンチョーの役目だ。

 僕の意を察したテンチョーがメニューのYesボタンを押すと、キリカさんの身体が淡い光りに包まれる!

 

「な、なんやこれっ! なんか力が湧いて……キターッ!」


 キリカさんがびっくりしたように、自分の身体を見つめる。

 

「よく解んないけど、能力値に+30%の従業員ボーナスが付くんだって!」


「き、聞いた事あるで……古代ダンジョンの守護者として登録されると、めっさ強くなれるって! ええなっ! これっ! これならそこらの魔獣程度、余裕で戦えそうやっ!」


 キリカさんのステータスとやらが表示されている。

 

 名前:キリカ=アイマール

 種族:獣人(犬狼種)

 レアリティ:SR

 クラス:コンバットホーカーズ

 能力値

 

 パワー:9200

 速さ:8820

 知力:5850

 根性:6950

 体力:12820

 魔力:3880

 

 総合力:47520

 

 スキル

 人族言語3

 白兵戦5

 数学知識2

 商業知識4

 鑑定3

 騎乗1

 

 特記事項

 商人ギルドC級ライセンス持ち


 ……なんか、ガチでソシャゲーっぽい感じの能力値とか書いてある。

 

 なにこれ? 体力12820って凄いんだろうか?

 なんか、体力系に偏ってる感じからして、商人というより、タンクとか前衛職系っぽい。

 

「えっと、店舗営業の為の最低必要従業員数まで、あと二名必要です……だって! なんか、強制雇用しますか? って聞かれてるけど、どうしよう……ご主人様っ!」


 最低必要従業員数……? 

 そ、そうだなぁ……24時間営業でコンビニ回そうなんて思ったら、従業員は最低でも10人はいないと……なんだよなぁ。

 

 まぁ、それはあくまで理想であって、実際はそれ以下の人数でやりくりしてるところだって、珍しくもない。

 うちは、バイトおばちゃんズのおかげで、人数だけは結構居たけど……。

 バイトおばちゃんズを異世界に召喚出来るわけもない。

 

 ……現状の人員。


 僕、テンチョー、犬耳さん……ならぬ、キリカさん。

 志願したんだから、もう頭数に入れちゃっていいよね? テンチョーは店長? だし。


 それに加えて2人となると……5人か。

 5人で回せ……とか言ったら、時々ワンオペ12時間交代、休日なしと言うスーパーブラック環境でもないと回らない……。


 なかなか、酷いな……ホントに最低限だぞ、それ。

 異世界行っても、聞こえてくるよブラック環境……ああ、さっぱり、さっぱり。

 

「ちょ、ちょっと待てっ! 強制雇用って……?」


 危うく聞き流す所だったけど、強制雇用とかなんとも穏やかじゃない……。


 それに……確かに、うちのコンビニは元通りになった! 

 でも、これ電気とかどっから来てるの?


 何より、こんなとこでコンビニの営業してお客さんなんて来るの? とか……。

 

 そもそも、商品売り切っちゃったら、仕入れどうするんだ? などなど、疑問、問題点は山積み。

 

 さっきは、勢いで復旧とかやらせたけど、勢いだけじゃ困るんだよな……。

 商売ってのは行き当たりばったりじゃ駄目っ!

 

 ここは一体どこなんだとか……そこら辺の重要な部分がすっぽ抜けたまま、話だけ勝手に進んでる!

 

 今も普通に流されて、頷きそうになったけど、強制雇用ってなんだ!


「……たぶん、それ。ダンジョン稼働に必要なモンスターみたいなもんやないかな? 実はこの森の奥に、ダンジョンがあるんやけどな。そこのヌシが前にそんな事言っとったわ……。モンスターに逃げられて、ダンジョンの営業が出来んとかなんとか」


 現地情報キーワード! ティンティロリーンッ!

 

 ダンジョン? OK解る……。


 ファンタジーな世界じゃ、基本とも言えるいわゆる地下迷宮だ。

 モンスターと戦って、ボスキャラと戦って、お宝ゲットまでがワンセット!

 

 MMORPGなんかじゃ、パーティー組んで、それを何度もぐるぐる周回するのが、定番だよね。


 でも……モンスターに逃げられて、営業できないって……何なの? その……遊園地のアトラクションみたいな感じなのは?

 

「なぁ、なんなんだそれ? ダンジョンのモンスターとかって、勝手に住み着いてるとか、そんなんじゃないのか?」


 能力が数値化される世界だからって、モンスターまで雇われって何その、知りたくもなかった舞台裏。


「うちもよく知らんけど、そこの主……ダンジョンマスターのモンジローって言うヤツなんやけど、そいつはうちの顧客でもあるんよ。いつも食べ物とか、雑貨とか売りつけとるんやけどな。なんや冒険者の相手するモンスターも、雇用契約結んで働かせとるらしいで! 実際、うちの目の前でダンジョンのメンテナンスとかやっとったけど、似たような感じの空中に文字とか出るのを操作しとったわ」


 なるほど……管理者がいる管理されたダンジョン。

 ダンジョンマスター……わかる。

 

 そんなゲームもあったし、ファンタジーものでそんなのもある。

 

 ……そんなチートなシステムがあるような世界だって事は、もしかしたらこのコンビニも、そのダンジョンのシステムを応用してるのかも。

 

 そう言う事なら、なんとなく納得は出来るんだが……。

 なんだこの仕組まれてる感は……。


 と言うか、僕も自分が思ってる以上に、順応性高いんだな……。


 思ったより、驚いてないし、なんだかんだで目の前で次々起こるとんでも事象に納得してる自分がいて、正直驚きだった。

 

 まぁ、深夜帯は暇だからって、深夜アニメ見たり、Web小説や電子書籍の漫画読んだりしてたからなぁ。

 スマホでソシャゲーなんかも、良くやってたよ!

 

 ファンタジーな異世界に転移して、ゲームっぽい世界観なんてのも、はっきり言って今時の定番!

 

 そのへんの予備知識があるから、すんなり受け入れているのだろう。

 だから、ここはもう納得しとこう……考えたら負け……考えるのではなく、感じるんだ!

 

 テンチョーの話はいまいち要領を得なかったけど、この世界を作った神様みたいなのと直に交渉して、この世界でコンビニを再現する支援システムみたいなのを与えられたのかもしれない。

 

 仕入れとかも……もしかしたら、なんとかなっちゃったりする?

 そして、ゆくゆくは世界の改革とか、打倒魔王とか、期待されちゃってるとか?

 

 うーん、どうなんだろ。

 コンビニ営業して、魔王倒すとかないわー。


 まぁ、どのみち僕は、直接操作できないような感じだし、ここはもうテンチョーの好きにやらせてみよう。

 

 コンビニの経営については……テンチョーはどうなんだろ?

 僕もストコンでの発注の時とか、猫のテンチョーに話しかけて、色々教えたりしてたもんだけど……。

 

 まぁ、その辺は僕がフォローすればいいじゃないか! なんか問題ないような気がしてきたぞっ!

 

「解った……とにかく、お金と人とモノ、これが商売の基本。人が居ないと商売なんて絶対回らないからな。その強制雇用ってのをやれば、必要な人材が直ちに確保出来るってことなんだな?」


「みたいだにゃあ……ご主人様、どうしよっか?」


 強制雇用……なんと言うか、悪魔のささやきだよな……これ。

 人材確保の問題で、文字通り地獄を見た僕にとっては、あんなこと良いな! 出来たら良いな! ナンバーワンだ。

 

 そこら辺にいるヤツを問答無用で、有無を言わさず強制的に雇用する。

 倫理的にも人としても、間違ってるかも知れない。

 

 二次大戦中のソ連なんかじゃ、その辺プラついてた若いのを問答無用で徴兵して、作ったばかりの戦車に無理やり乗せて、ハッチを溶接して、戦場へGO!! なんてやってたそうだけど、それと大差ない。

 

 けど、こんな悪魔的なシステムが用意されているなら、使わない手はない。


「せっかくだから!」


 そんな理由で赤い扉を開けるヤツだっているんだから!

 せっかくだから、強制雇用……やっちゃおう!


『人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり』って言うじゃない?


 何を為すにも人が基本、そして人材ってのは商売には必要不可欠なのだ!

 人を軽んじてちゃ、商売はもちろん、国家経営だって成り立たないんだ。


 ……異世界に転移し、人間を辞めてしまった男、高倉 健太郎!

 こうなったら、いよいよ悪魔に魂を売ります! 二割引くらいで!

総合力45000超えるとレアリティがSR付きます。(笑)

ちなみに、5000以下はN。

20000までは、HN。

20000以上、45000以下はRです。


SSRは10万超えですなー。


注:この設定は適当です。

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