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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第三章「コンビニオーナーの異世界改革!」

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第二十九話「プリンちゃんとWith ME!!」③

「いや、気遣い無用だ。しかし、これはまた、豪華だな……。このテーブルも王都で売られているドワーフ職人による最高級品に勝るとも劣らぬものだ」


 よく見るとこのテーブル……田舎の家の客間とかにあるような高級座卓だよな。

 だとすれば、一つ20万くらいは、するんじゃないかな……? 別にここまでのものじゃなく、木製のちゃぶ台みたいなのでいいやって思ってたんだけど……。


「そ、そうだね……。何気にこれ……ひとつ大金貨二枚とか、それくらいはすると思う」


「……それはまた、高級品……なのだろうな。もしかして、本来は城の調度品として使うとか、そんなものなのではないか? 厳選し木目すら揃える精巧な作り、美しく滑らかな仕上げ……一流のドワーフ職人が作った一品物にしか思えないのだが、これが9個も並んでいると言うのは壮観だな」


 一列三個、それが三列分並んでる……机一つで6人は座れそうだから、50人位収容できる計算になる。

 ちょっとした宴会場って感じだ。


「実は、とっても偉い人をお出迎えするために、急遽取り寄せたんだよ。偉い人をお迎えするのに、ささくれだった木箱とか、ダンボール敷いただけのボロい食堂でってのは流石に申し訳ないからね。さすがに、こんな最高級品が届くとは思ってなかったんだけど……」


「そうなのか? しかし、なぜそこまでするのだ? お金という物は、大事に使うべきだろう。大銀貨三枚を稼ぐだけで、それなりの苦労をするのだ。こんな一つだけで大金貨二枚もするような贅沢品……それだけを稼ぐのにどれほどの苦労をするのだか……」


 バイト中、なんだかんだでお金の価値ってもんを理解したようで、そんな感想を漏らしてる。

 うん、ごもっともな話。


「そうだね……。お金は大事、とっても大事だよ。けど、そんな多大なお金を使って用意した贅沢品で、歓待してもらったら悪い気分じゃないだろ? 君のお屋敷もきっと相当贅沢な品々が並んでるだろうけど、あれって王侯貴族にとっては一種の義務だからね。貴族の客……平民でもそれなりの身分の人や同じ貴族に対して、みずほらしい木箱で食事なんてやったら、普通に気を悪くしちゃうでしょ。ああ言うお高い調度品ってのは、多分に見栄もあるけど、いつどんなお客さんを迎えても失礼のないようにって、意味もあるんだ。まぁ……さすがにこれは、ちょっとやりすぎだろうって思うけどね」


 正直、誰がここまでしろと言ったって感じなんだがね。

 鹿島さん達、相変わらず加減ってもんを知らない。

 

 僕としては、アマゾニアで売ってる2-3万円くらいのでも十分だったんだけどなぁ……。

 

 鹿島さん達、奮発しすぎ……この数だと軽く百万円単位行ってるだろ……これ。

 

 なんかよく見たら、隅っこに赤絨毯のロールとかも置かれてるし……あれをメインストリートにダーッと敷いて、陛下ご来訪ーっ! とかそんなのやらせるつもりだったんだろうか?

 

 鹿島さん達がこんな感じらしいですって、送ってきた外務省のPRビデオには、大使を送迎するのに大時代な馬車使ったりとか、国外の国家元首を迎えて、木の銃床の古い銃で礼服を着た儀仗兵が捧げ銃ってやりながら、ぞろりと居並ぶ中を、赤絨毯の上を国賓と天皇陛下が一緒に歩いて、双方の国旗を掲げた儀仗兵が脇を固めて歩くとか、そんな調子だった。


 ……そういや、ロメオ王国の国旗とかどんななんだろう? こっちの世界だと、どんな感じなんだろう?


 アージュさんが役に立ってくれれば、その辺の情報ももらえたかも知れないけど。

 全然使えない上に、こっちも色々あって、軽くオーバーワーク……もう準備も何もって感じなので、もはや、グダグダが確定してる感じではある。

 

 つくづく、もっと時間が欲しかった……もはや、このやっつけ仕事のグダグダ体制のまま、お出迎え待ったなし。


 アージュさんもそんな偉い人が来るなら来るで、せめて僕に相談くらいして欲しかったよ。

 こちとら、受け入れ準備すらままならない……それで、自分は遊んでて、歓待はちゃんとやれとか、無茶ぶりだろう……もう知らないっ! どうにでもなれってんだ!

 

「ふむ、解らなくもないな……。実際、城や屋敷の調度品など、所詮飾りに過ぎん、言ってしまえば、ただの見栄ではあるからな。私はむしろ質素なくらいでもいいと思うのだがな。庭園も人が入らんようなところは、放っておいても良いと思うのだが……。庭師達は誰も見ないところだからこそ、整える必要があるなどと言っておるし、使っておらぬ離れなども、毎日せっせと掃除したり、調達品を買い替えたりなどしておるのだ……。私は常々無駄だと言って、他に予算を回すように言っているのだがな……」


 なるほど、自分の家のお屋敷の無駄にお金かけてるところとか、普段から考えてたりするって事なのか。


 若いのに感心……そう言うことに興味をもつのは、決して悪いことじゃない……でも、それはちょっと違うんだな。

 

 ここはひとつ、教育の続きってことで……色々、助言して差し上げるべきか。


「クロコちゃんは、そう言うのって無駄だと思う?」


「そうだな……どう考えても無駄だから、いっそ切って捨ててしまっても良いと思うところは、多々あるのだが。周囲の者は、そう言う訳にはいかないと口を揃えているのだ。つまり、無駄なように見えても、実際はそうでもないのだろう? 無駄と思えるものにも、意味があるのかも知れんが、その辺りは当人達から話を聞いても、イマイチ要領を得ないのでな。もし解るなら、教えて欲しいくらいだな」


「そうだねぇ……。無駄を無駄と切ってしまうのは、簡単だけどね。例えば、庭の手入れを見える範囲だけにすると、庭師の仕事が減るからクビになる人も出るし、庭に管理されてない部分があると、害虫の温床になったり、要らない雑草やら、訳の解らない木だのが生えて来て、見栄えが悪いし、庭に死角が出来る。……王侯貴族の庭園にそう言うセキュリティホール……穴が出来るのはよろしくない。離れだって、放置しておくと荒れ果てて、これもまた見栄えが良くない。誰も使わないからって、幽霊屋敷みたいなのがお客さんからも、見えるってのは、やっぱりどうかと思うよ」


 ……人が住まない手の入らない建物ってのはどう言う訳か、ものすごい勢いで劣化するからなぁ。

 定期的に手が入ってると、そうでもないんだけど……家ってのはそう言う生き物じみたところがあるんだよな。


「なるほど……実に興味深い考えだ。我ら王侯貴族は、無駄を許容して、いつ何時も綺羅びやかにする必要があると? しかし、民が貧しい中、贅沢な暮らしをするような貴族も実際にいるのだが、それはさすがに、考えものだと思うぞ……貴族と言えど、贅沢を慎み、質素な生活をすると言うのも、美徳ではないかと思うぞ」


「そうだね……それも一理あるけど。本来、貴族ってのは、自然に黙っててもお金や権力が集まる立場だからね。一般の領民とか比べて、贅沢な暮らしをしたりするのは、むしろ当然って考えるべきだよ。領地の人達も自分達の領主様がみすぼらしい生活をしてるよりも、豪華絢爛な生活をしてる方が納得できる。何せ自分達の代表……貴族様……立場が違う。立派なお屋敷を構えて、いい服を着て、良いものを食べる。皆が羨ましいって思うくらいでも、それでいいんだよ」


「……人から妬まれたり、羨まれたりするのが良いことだとは思えないぞ……。民が苦労している中、共に赤貧に耐え、同じ様に苦労すべきではないのか?」


「いやいや、そんな事は誰も望んでないと思うよ。贅沢三昧したって、それはそれで自分達もあんな生活をしたいなぁって、消費意欲を刺激されるだろう? 皆が、自分も贅沢したいって思えば、なら仕事増やすかってなるだろうし、貯金をはたいてちょっとした贅沢をって人も出てくる。なにより、貴族様の贅沢な暮らしを支えて、それを糧にしてる人も大勢いるはずだよ。美味しい作物を作って領主様お抱えの料理人に売りつけたりする農民もいるだろうし、貴族の屋敷で働く人達……君のお屋敷でも結構な人数が働いてるだろ? その人達は、いわば貴族様からの分前で、生活してる人達なんだ。その人達が街でお金を使ってくれれば、自然と町の人達の暮らしも豊かになる。贅沢ってのは、お金を社会に還元してる。こう言う考え方もあるんだよ」


「なるほど……贅沢とは、無駄が多いと思っていたのだが……。お金が集まるような立場にいるのであれば、むしろ派手にお金を使った方が世のためになる……そう言う事なのか?」


「その通りっ! 一番ダメなのは、ケチりまくって、自分の所にせっせとお金を溜め込んで、世の中に回さない……守銭奴ってのが一番タチが悪い。確かに、節約や節制は美徳だとは思うんだけどね。本来お金をジャンジャン使うべき立場の人達がお金を使わず、庶民並みの質素な暮らしを……とか始めちゃうと色々困った事が起きる。どうなるか解るかい?」


 まるで先生になったような質疑応答の経済談義。


 なんか、これはこれで面白いな。

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