表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第三章「コンビニオーナーの異世界改革!」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/368

第二十六話「おもてなし大作戦!」④

 とにかく……平和憲法なんてお題目掲げてても、所詮そんなもんだ。

 

 時代遅れの空文なんて、いっそ綺麗さっぱり、捨てちまっていいんじゃないかって……心からそう思う。

 この世界にいると、平和主義なんてのが、砂上の楼閣以外の何物でもないってのが、実感出来る。

 

 僕自身、相当甘ったれた考え方をしてるんだけど……そんな僕から見ても、日本の平和主義ってのはかなりいびつだ。

 

 要するに今回の件だって、僕の手助けと行っておきながら、今まで世界の壁に阻まれて、手が出せなかった帝国を一発ぶん殴ってやるのが目的。

 

 おまけに、無人戦闘システムの実戦テストも出来たんだから、言うことないだろう。

 

 まぁ、それも視野に入れた上での至れり尽くせりのバックアップだったのだから、あまり文句は言えないのだけど。

 

 けど、こんな調子で、無人兵器の派遣が平和憲法に抵触しないと言い張るなら、今後、日本の剣として、ゼロワン達無人兵器が活躍する未来ってのが見えてくる。

 

 なにせ、その理屈がまかり通るなら、名目上は武器輸出……と称した派兵が可能となるのだ。

 

 それで、何が出来るか?

 武力介入という名のオプションが増えることによる影響力の増大、そして工業力を背景にした軍事力の増大……これは確実だろう。


 例えば、核ミサイルでオラついてる某国の反体制派に、無人兵器を提供と称して押し付けるとか、PMCを隠れ蓑にして、マラッカ海峡の海賊狩りとか、今まで平和憲法に阻まれて、出来なかった事が色々やりようが出来てくる訳だ……。

 

 無人兵器は日本側の意のままに動く上に、あの調子だと絶対の忠義みたいなのをプログラミングされてるから、片道切符の特攻作戦だっておかまいなし。

 

 非人道的な行為ですら、命令されたら何ら躊躇いなく実行する。


 おまけに、自動車同様にその気になれば、いくらでも大量生産が出来る上に、AIなんていくらでもコピーして同じものが作れる。


 もう相手の頭数とかいくら居ても問題じゃなくなってしまう。


 当然、国内外のうるさ方からは、色々文句が付けられるだろうけど……。


 世の中の法って奴は、こんな人間同様の判断力と受けごたえをするようなAIの出現を想定してないから、論議は紛糾するだろうけど、結論なんて、いつになるやらって調子だろう。

 

 ただ、昔から言われてる無人自動車の事故責任問題と言うのがあって、これが来るべきAI共存社会のモデルケースとなると言われている。


 要するに、無人自動車が事故を起こした場合、その責任は誰が取るのかと言う問題だ。

 

 例によって、法整備は全く追いついていないのだけど。

 保険会社などを中心に、その手の論議はすでに行われていて、使用者や製造者ではなく、持ち主……管理責任者と言うべきものが、事故責任を負うべきだと言う話になってはいるらしい。

 

 例えば、無人タクシーなんてのが出てきたとして、それが事故を起こして、乗ってただけのタクシーの利用者……お客さんが責任取らされるなんて、そんな理不尽な話はありえない。

 

 だから、この場合責任を取らされるのは、無人タクシーを遠隔モニターしたり、緊急マニュアル操作権限を持つオペレーターや、無人タクシーを所有するタクシー会社が責任を取るべきだと言う論調になりつつある。

 

 AIはあくまで、道具の延長……GOボタンを押したものが責任者。

 この考え方は、理にかなった話ではあるし、僕もその辺は実体験で思い知った。

 

 今後、無人自動車やタクシーが普及すると、このようになるだろうと言われているけど、僕もそんな風になるのは間違いないと確信している。

 

 けど、それが無人兵器にも適用されると、別の問題が起きてくる。


 日本製無人兵器を海外へ輸出し、管理責任者が、海外の反体制派やPMCと言う事になれば、日本側は非難される言われもない……そう言う理屈が成り立ってしまうのだ。

 

 ……まぁ、無人兵器の登場で、平和憲法が空文化するってのは、確実な流れだろう……。

 

 その辺を考えると、この異世界の戦乱への介入なんて、テストケースとしては最適だろう。


 ネットニュースなんかを見ていても、こんな高度な無人兵器の話なんて、海外含めてまったく出てこないから、極秘開発の世の中の常識を数段階くらいすっとばした代物だってのは解る。

 

 だいたい、水だけで動く動力ってなんだよ……それ。

 本当に安全なのか? ゼロワンも第一級極秘事項につき、回答不可とか言ってるし……。

 

 そもそも、異世界でドンパチやってても、ここにはマスコミも居なければ、SNSで派手にリークするような奴も居ない。


 帝国軍人やら民間人やらを、メイド・イン・ジャパンのロボット兵が虐殺したって、世界の壁に阻まれてる以上、誰も文句も言えないし、何も解らない。

 

 強いて言えば、文句言われるのは僕くらいだな。


 一応、僕だって、その気になればSNSへのリークとかも、出来なくもないんだけど……。

 

 ネット回線は、コンビニの光インターネット回線に一存しているのが実情。

 

 提供は、絶賛あちらさんなので、監視や干渉も幾らでも出来るだろう。

 ……この世界で起きた出来事については、完璧な機密保持が約束されている。

 

 まぁ、そう言うことなんだろうな。

 ゼロワンとかを勝手に動かして、僕の頭ごなしに戦争とか始めないだけ、その辺は良心的だ。

 

 どうも鹿島さん達、僕らが怒りに任せて、帝国への逆侵攻とかするとでも思ってたみたいだけど……。

 

 ……なんで、そんな事を僕がしないといけないんだか。

 確かに、帝国はロクでもない国だし、仲間に死人が出てるのも事実だ。

 

 けど、僕は積極的に戦乱を起こしたり、戦争なんかしたくない。

 人が死ぬ……殺し合いなんて、何の意味もない。

 

 日和見平和主義の何が悪いって話だよ……まったく。


 けど、現実問題として、ここから先のオルメキアや、商人ギルドの通商拠点のザルインへの道が帝国軍に封鎖されると、この街道の戦略的価値は激減してしまう。

 

 今は、このコンビニの日本の商品が珍しくて、ロメオ王国からコンビニ目当てにやってくる人が多いし、近隣に住み着いた人達も多いから、それなりにやっていけているけど……。

 

 ここが行き止まりの最前線の危なっかしい土地になってしまったら、人の往来も激減するし、定住しようとしてた人達が逃げ出してしまったりしたら、元の木阿弥だ。

 

 だからと言って、僕らが独断と独自の武力で街道を封鎖している帝国軍を蹴散らして……とかは、あまりいい展開とは思えない。

 

 あくまでも、僕らは、自衛戦力を持つだけの商売人に徹するべきなんだと思う。

 

 商売人が自分達の都合で勝手に戦争を始めたら、それはもう非合法の武装勢力以外の何物でもない。

 どう考えても、やり過ぎだし、僕はそんなのになりたくない……。

 

 ここはやっぱり、当事者の一方……ロメオ王国を動かして、国と国の対話で、この状況を打開するのがスジだろう。

 

 ロメオ王国との交渉の窓口は、アージュさんと言う国の重鎮が味方になってくれてる時点で、確保は出来ている。

 あとは、トップとの交渉……その御膳立は整っている。

 

 そして、交渉を上手くやるためには、利害だけじゃない……人と人との信頼関係を築き上げる……それに勝るものはない。


 そうなると、やっぱりおもてなししかないでしょっ!


 とにかく、そうなると、こっちも準備が明らかに足りない。

 コンビニ弁当やスイーツ並べて、お好きなだけどうぞ……なんてのじゃ、駄目だろう。

 

 相手は、仮にも一国を支配する王族……こちらも相応の敬意を払っていることを解ってもらわないと、交渉にならない。


 ここはひとつ、王侯貴族をも満足させる贅を尽くしたおもてなし。

 

 その為の様々な贅沢品の要求……遠慮なんてしなくていいだろう。


「あの……今の時点で色々足りないのがあるから、まずはその辺、並べさせてもらっていいですかね? アマゾニアとか、ホムセンで買えるようなものとか、そんなんなんですが」


「あ、はい、要するに……色々とご入用ということですね? 日本国内で調達できるものなら、即座に送付致しますよ。武器弾薬もご注文いただければ、いくらでも都合出来るので、ご遠慮無くどうぞ!」


 武器弾薬がいくらでも……か。

 自衛隊ですら、訓練用の弾薬が足りてないって話なのに、ずいぶん景気のいい話だった。

 

 恐らく、予算も潤沢なんだろうな……。

 

「じゃあ、とにかく、時間がないから、まずは御寝処用に最高級羽毛布団と豪華ベッドをセットで! おもてなしの食事会場となる食堂も、ダンボール敷きのブルーシートの難民キャンプみたいでみっともない。この際だから、畳敷きにしたいし、和風な感じの暖簾とかすだれとか……それに照明もゴージャスにしたいですね……。食材は……今あるのでなんとかなりそうなんですが、いつもみたいに紙皿とかはないと思うんで、それなりに豪華な食器とかも欲しいです」


 とりあえず、思いついた必要なものを並べてみる。

 どれもホムセンとかで調達は出来なくもない……贅沢品かどうかは別として……。


「はい? そ、それはどう言う意図でご入用なので? 申し訳ありません……ちょっと、理解が追いつかないのですが……」


「実は、もうすぐここにロメオ王国の事実上のトップ……クロイエ姫様ってのがやってくるんだ。だから、ここは盛大な歓待でおもてなしする……そうなると、いくらかハッタリも必要じゃないですか。こう言えば解るかなぁ……」


「な、なるほど……国賓を出迎えて、豪華絢爛な晩餐会と、最高の寝具と寝所を用意して、最高の一夜を過ごしてもらうと……。好印象を得た上で、交渉……そう言うことですか?」


「おおさすが、理解が早いですね! そう、そう言うことなんです」


「確かに、そちらの世界の文明レベルならば、日本の物での贅を尽くした歓待は効果的でしょう。けど……ロメオ王国と言いましたか? 是非詳しく話を伺いたいのですが」


「ええ、鹿島さん達なら、ご存知だと思いますけど……。実は僕のいる辺りは、ロメオ王国の保護領なので、今回の件は帝国によるロメオ王国への侵略と判断されてるそうです。その関係で、王族が現地視察も兼ねて、ここまで出張ってくる……そう言うことなんですよ」


「なるほど……ロメオ王国については、我々もその実態が解らない部分が多いのですが、帝国と敵対している上に、どうも日本人がその建国に関わっているようで、可能なら、パイプが欲しいと熱望しておりました。そんな話なら我々も全面的に支援する構えです。ここは、むしろ是非、協力させてください!」


 おお? なんか意外と前向きっぽい。


 なんだ、鹿島さん達も解ってるじゃないか……。


 帝国ぶっ潰して、新兵器テストとか、こっちの世界のこと考えずに、自分達の利害のことしか考えてないんじゃないかって、思ってたけど……。


 向こうも向こうで、ロメオ王国の事を調べた上で、興味は持ってたって事か。

 そうなると、ここは取り入るチャンス……なんだ、完全に僕と利害が一致してるじゃないか。


 これは、なんか風向きが変わってきたような気がする。

まぁ、ゼロワンみたいな自ら状況判断して、ワンマンウォーこなすようなAI搭載兵器……。

たぶん、そのうち出てきますよ。


ちなみに、無人タクシー問題は、実際に保険会社や自動車メーカーがそんな感じの議論を重ねていて、将来的にはそんな業務形態になるだろうと言われています。


この世界のAIは、異世界のマルチコミュニケーションスキルの存在で、ブンちゃんとミミモモがコミュニケーションを重ねるうちに、爆発的に進化してしまったと言う裏話があったりします。


ちなみに、ブンちゃんやゼロワンはネットワーク並列意識体とも言うべき代物で……限りなく、新しい生命体に近かったりします。

何気に、この作品、物凄くSF。(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ