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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第三章「コンビニオーナーの異世界改革!」

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第二十六話「おもてなし大作戦!」③

 思い立ったら、即行動!

 ひとまず、サントスさんとドランさんに声をかけて、臨時歓迎委員会本部とした食堂の一角に、来てもらった。


「……そんな訳で、サントスさん! 王族歓待用の特別メニューのフルコースを頼む! 材料は今あるコンビニ在庫をいくらでも使っていい。最高の技術と贅沢な素材を尽くした至高のメニューを頼む!」


 簡単に事情を説明して、サントスさんにフルコース製作の指令を下す!


「おうっ! 任せろ! まったく戦から戻って、休む暇もなくとは旦那は人使いが荒いなぁ……。しかし、特別メニューって、どんなでいくつもりだ? 王族っても好みくらいあるだろう?」


「……アージュさん、アドバイス頼む」


 うむ、華麗なるスルーパスって奴だな。


「うむ、あやつは甘いものに目がないからな。基本、お子様舌じゃと思って良いぞ。フルコースなんぞ、食べ慣れとるだろうから、いっそ向こうの世界のお子様ランチとかそんなでええんでないか? なんでも、4歳位の時に日本のデパートの食堂で食べさせてもらって、その味が忘れられないとか言っとったぞ」


 なるほど、クロイエ様……何気に日本来訪経験者なのか。

 って言うか……お子様舌で、お子様ランチをご所望っすか。

 

 とりあえず、スマホで画像検索……。


 山形オムライスにハンバーグとエビフライ……そんな感じが定番っぽい。

 

 そして、プリン! 如何にも安物チックなオレンジジュースに、何より、忘れちゃいけない国旗! うん、これだね。

 

「よし、サントスさん……ずばり、これを再現して欲しい!」


 言いながら、お子様ランチの画像をサントスさんに見せる。


「ふむ……これはオムライスってヤツだろ? ハンバーグにエビフライ……それにナポリタンか? なんだコンビニ弁当の具材の組み合わせで行けそうだな」


 さすが、サントスさん……見ただけで、解るようだった。

 サントスさんもなんだかんだで、コンビニ弁当の研究に余念がないからねぇ……。


「まぁ、実際子供が好きなメニューの組み合わせだしね。そうそう、オムライスにはこんな風に、国旗を立てるんだ。他にプリン……むしろ、これがメインだ。プリン・ア・ラ・モードと日本の果物シリーズでガンガン責めよう! 飲み物はオレンジジュース……果汁100%とかじゃなくて、30%くらいの偽物っぽいのが定番だったかな? お子様にはそれくらいが良かったりするからね。これは確かバリヤースオレンジって、ど定番のがあったからそれを取り寄せよう」


「ふむ……こんなものでいいのか? 材料は冷凍食品や弁当の在庫から適当に拝借するぜ?」


「うん、どれも在庫商品で揃うと思うからね。レンジでチンするだけの簡単仕事だけど、サントスさんなら、それに加えてプラスアルファで、何かやってくれるだろうから、大いにやってくれ! 次! ドランさん!」


「あいよ! まったく、少しは休ませろって言いたいところだがな……ちょっとでかい仕事っぽいからな。とにかく、食に関して専門家に、任せとけ!」


 サントスさんは、至って不満もない様子。

 そばで聞いてたドランさんも、今度は俺の出番だとばかりに立ち上がって、ドンと腕を組む。

 

「まぁ、良くわからんが、旦那には命を拾ってもらった借りがある。なんでもござれだ!」

 

「ドランさんには、即席で王族向けの御寝処を建てて欲しい。そのまま別荘にも使えるくらいのを。確か、宿屋として作りかけの小屋があっただろう? あれをちょっとゴージャスにする感じで……。布団とかベッドは、最高級羽毛布団辺りを鹿島さんに言って急遽取り寄せる。なお、制限時間は日暮れまで! 最大限譲歩して、21時ってとこだな」


「うひょーっ! どんな無茶振りかと思ってたら、そりゃ相当な無茶振りだな! 旦那! だが、男に二言はねぇ! やってやるよ! おめぇら! 酔っ払ってる場合じゃねぇぞ! 仕事だ! 仕事!」


 ドランさんがバタバタとドワーフ軍団をかき集めて、大慌てで走り去っていく。

 サントスさんもククリカちゃんを連れて、コンビニの倉庫へと走っていく。

 

 人の手配は、万全……細かいことは専門家に任せればいい。


 ……晩餐と寝床はこれでいいだろう。

 後は、この難民キャンプみたいな食堂をもうちょっとマシにしないとな。

 

 さすがに、ブルーシートの壁と葉っぱの屋根と、ダンボール敷き詰めた敷物と、ガッタガタのビールケース流用のテーブルじゃ駄目だろう。

 

 僕は僕で、鹿島さんへ電話する。

 直通番号とか言って教えられてた番号へ即ダイアル。

 

「……はい! 異世界案件担当局、鹿島でございます! 高倉オーナー様、ご無事で何よりです!」


 何時になくテンション高めの鹿島さん。

 そういや、無事に戻ってからメールで帰還報告したくらいで、直接話しとかしてなかったなぁ……。


「鹿島さん、その節は色々お世話になりました! 僕も色々言いたいことあるんですが、取り急ぎ、用件だけお伝えします。ロメオ王国の王族を急遽迎え入れる事となりましたので、いくつかの資材を発注させてもらっていいですかね」


「はい? いきなり過ぎて、話が読めないのですが……。我々はてっきり帝国への逆襲とかそんな話だと思っていたのですが……」


「そんな事はどうでもいいんですよ! いいですか? ロメオ王国の女王陛下のご来訪なんですよ! それも今夜! 言ってみれば国賓の出迎えなんですよ! 再優先事項だと思いませんか!」


「そ、そう言うことでしたら、警護として派遣部隊の増強が必要ですね! 現在、派遣してるのはゼロワンと、BUNシリーズの戦闘用が4台……いずれも最前線の防衛ラインに張り付けているので、戦力としては、心許ないと思っていました。BUNシリーズであれば、50両は用意できますし、爆撃仕様のBMR型空戦ドローンと、4足歩行陸戦用自律戦闘車両DS型も追加派遣します。初の実戦を問題なくこなし、多大なる戦果をあげた事で、関係者一同、この度の勝利に湧き上がっていた所です。次は規模拡大の上でのオペレーション……こちらとしても、大変いい経験をさせていただきましたので、すぐさま派遣させていただきます」


 ……なんか知らないけど。

 更なる戦力増強とか言い出してるし……なんでそうなるかな。


 この人、僕の話聞いてるのかな? なんか、色々かこつけて、僕から戦力増強の言質を取りたがってるってのが、伝わってくるんだけど……。


「……だーかーらー! 戦争じゃなくて、おもてなしの準備ですってば! 帝国軍は今、ゼロワンが様子見に行ってるけど、スライムも斥候も付近にはまったく見当たらないって報告がありました! しばらく、攻めてきそうもないから、ひとまず、ほっとけばいいんじゃないですか? まずは、この地を治めてる女王様が出向いてくるんだから、ちゃんと話し合って、今後の対応方針を決めるべきです。……優先順位を取り違えないでください」


「は、はぁ……た、確かに、そうですね……。しかし、おもてなしの準備とは? そんな偉い人をお迎えするとなると、なおさら、警護体制の拡充をすべきではないでしょうか? 今の高倉オーナー様のコンビニの防衛戦力は、現地人の方々だけじゃないですか。ゼロワンが偵察に出払ってしまっているのであれば、奇襲への備えも出来てないんじゃないですか? そこは最前線なんですよ……もう少し警戒が必要です」


 まぁ、確かにそうだし、僕も平和ボケなのは認める。

 実際、そこまでの危機感は抱いていない……でも、なんと言うか……着眼点がそもそも違うんだよなぁ……。

 

「あの……2000匹ものスライムの大群を一蹴しちゃった時点で、ここの防衛戦力はこの世界の水準でも余裕オーバーキルって感じなんですよ? キリカさんとかの話だと、それだけいたら一国くらい軽く滅ぼす……それ位だったのに、それをいとも簡単に全滅させた……この時点で、抑止力としては十分すぎます」


「ですが、現状、戦力的に非常に心許ないと思うのですが……」


「僕は軍事の専門じゃないけど。ゼロワン達だけでも、とんでもない戦力だってのは解ります。それで更に戦力を増やしちゃったら、お前ら世界征服でもするのか? とか、要らない猜疑心を抱かれるんじゃないですかね……常識的に考えて。鹿島さん達には大きな借りが出来ちゃいましたけど……いたずらに異世界に戦争や不和の種をばら撒くべきじゃない……僕はそう思いますよ」


「そうですね……。高倉オーナーのおっしゃることももっともです。我々としても、高倉オーナー様の意向を優先する方針ですので、オーナー様がそう言うのであれば、現時点での増派は見送らせていただきます。ですが、輸送仕様のBUNW型位は送らせてください」


「輸送仕様って……どんなの?」


「BUN-6601同様の人員輸送兼キャリアカーゴと言ったところの車両ですね。ウェポンパッケージもメンテナンスユニットも先にお送りしておりますので、いつでも戦闘仕様に変えられます。偵察用のドローンも付属しているので、周辺警戒用としては十分お役に立つかと。外観は威圧感が無いようにBUN-6601同様のコンビニ仕様にいたします。とにかく、準備は抜かり無く致しますので、今回のような非常事態や、戦力が必要な状況となりましたら、いつでもお声をおかけください。兵の派遣は、そちらの神性存在との協定があるので、出来かねますが。無人兵器は銃火器同様と言う事で協定に抵触いたしませんし、日本国の平和憲法にも抵触しておりませんので、いくらでも派遣させていただきます」


 ……ひっでぇ理屈だった。

 

 確かに、日本の憲法上、武器の輸出は問題ないとか言う話だけど……。

 

 要するに、ゼロワン達は拳銃とか刀剣と一緒だから、輸出した先で誰かの命令で勝手に派手に暴れまわってても、日本国の預かり知る所ではないので、問題ない……そう言う理屈らしかった。

 

 実際、日本製のRV車が機関銃積んで、アフガニスタンとか走り回ってたりするからなぁ……。 

 あれと同じと考えれば、問題ない……のか?


 と言うか、ラドクリフさん達へ指示出してたのって、日本の人達なんだよね。

 人も送ってないし、ネット経由で指示出ししてたって事なんだけど、それって良いのかな……?

 

 でも、別に軍隊派遣してる訳じゃないし……。

 

 まぁ、あれだね……平和憲法とやらは、無人兵器が勝手に異世界の戦場で戦うとか想定してないし、こちらの世界の神様も自律制御AIなんて、想像の埒外なんだろう。


 方便ここに極まれり……まったくもって、ひどい話だった。

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