(僕にとっては)日常。
良く考えると、俺、ロクに魔法少女アニメ見てないのによくこんな話を作ろうと思ったなぁ…と思う。ちなみに魔法少女アニメという意味なら、おジャ魔女どれみがちょうど幼稚園ドンピシャあたりですね、妹が居たので毎週見てました。
僕は他人には見えないものが見える。これでお化けとか悪霊とかならまだ理解ができる。でも、僕に見えるのは、なんだかメルヘンなものなんだ。女の子がヘンな恰好して空を飛んだり、魔法を放ったりして戦っている、そう、幼児向けアニメの魔法少女のようなものが見えるんだ。最近はたまに知り合いに似た顔をした魔法少女が戦っていて、その子と学校であった時に思わず変な顔をしてしまうことが多々ある。戦い方が変な人だったら吹き出しそうになるし、何故かアニメでもお約束じみている触手に捕らえられたところを見てしまい…。その、変な気持ちになったり、まぁいろいろあるわけだ。そのせいで女子と話すことが苦手になってしまった。
「まぁ、放課後出歩かなければ見ることはないって気づいてからあんまり見なくなったけどね」
おかげで、勉強時間が増え、頭は良くなった。…理由はちょっと悲しいけど。まぁ、部活も僕の所属する卓球部はゆるゆるで週1だし、友達と遊ぶのも中学生にもなれば、放課後ではなく休日のことが多い。僕の住む千本木市は街灯がそこまで充実しているわけでもないし、平日夜の遊べる場所には、大体生徒指導の教師が巡回しているしね。それでも遊ぶって連中は居るのかもしれないけど、まぁおとなしいと市内でも評判の中学である風森中の皆は大体萎縮するわけだ。古くから住んでいる人が多くて、地域のつながりが強いから、即効うわさが広まるということもあるしね。特に悪いことをした日には。休日は大抵、市外に行ってしまえば、見る確率は低いということにも気が付いた。…正確にはまだ知り合いより全く知らない誰かの方が良いということなんだけど。と思いながら、今日、勉強をするようになって仲が良く?なった社会の教師から渡された本を閉じる。面倒見がいいのは良いんだけど、こういう付き合いっていいのだろうか?楽しいけど。この本は面白いけど難しい…、明日質問したいことをまとめたが、結構多くなってしまった。
「恭介ー!!お風呂入っちゃいなさーい!!」
「はーい!!」
タイミングよく、母さんから風呂に入れとの声がかかる。反抗期?…僕には無理でした。いや、無理と言うか、あの二人に勝てる気がしないし、下手に反抗するとものすごく疲れることに気が付いた、言われる前にやると、案外自立の役に立つことが分かったしね。僕の母さん、森沢芽久、時代的に随分と進歩的な名前つけたよねと、じいちゃんとばあちゃんが話していたのを覚えている。は、幼稚園教諭で、歳のわりに若いと近所で有名…、死語かもしれないが美魔女と言う奴だ。…実は僕にはちょっとよくわからない。そして僕の父親森沢敏夫は婿養子で、現在、とある工業メーカーで設計職をしているらしい、詳しいことは聞いていないので、務めている企業の名前くらいしか知らない、ネットで調べたらその筋では有名な企業のようだが、聞いたことが無かった。最近は、僕に手がかからなくなってきたからと、忙しい部署に異動させられたらしく、帰りが遅い。じいちゃんとばあちゃんは近所で喫茶店を経営しているのと、叔母が一緒に暮らしていて、喫茶店の一角でネイルサロンをやっている。とまあ、こんなのが、僕、森沢恭介の家族だ
タンスの中から下着を取り出し、ベットにかけてあったパジャマ代わりのジャージをひっつかみ部屋を出る。うん、恐らく、ヘンなものが見える以外は、絵にかいたような平凡な日常を過ごしているのだろう。こんな日常、壊れてほしくないな。
―――――――――――――――――――――――
「うーん…この辺から僕の適性持ちの気配を二つ感じるんだけど…、森沢!?まさか彼女の家かな!?えっと…たしかにジュッ!?いたた…、菜ばし…って刺さるんだ。とにかく、娘とかいてもおかしくないし…、でもなぁ…」
「あら、妙な気配がすると思ったらくま吉じゃない」
「げ…メグさん…、まだ僕のこと見えるんすか…」
うん、サンダルにエプロン、…なぜこんなに見れるものになっているんだ、完全におば…
「痛い…」
今度はフライ返し…、調理器具を武器にするのやめようよ…。
「不躾なこと考えるからよ、それで、どうしたの?」
「いやね、適性持ちの気配を二つ感じたからここに来たんだけど、一人はメグさんだね…、ところで…娘居る?」
「居ないわよ?」
この人の娘って時点で嫌な予感がするが、背に腹は代えられない、むしろこの頃ノルマが厳しくなったので
この人並みの適性持ち、そして、問題はあれど能力が戦闘に特化しているこの人の娘なのだ。…
「…え?居ないの?」
「あら、この家に適性持ちがいるの?恭介かしら?」
恭介…確実に男の名前だよね?
「…男だよね?」
「えぇ、息子よ。私の息子なんだから適性があったっておかしくないでしょう?」
そんな馬鹿な…と言い切れないほどのイレギュラーな親のせいで断言できない。
「…とりあえず会ってみる?」
「止めないのかい?」
一般的な親の反応として、止めると思うんだけど…。子供を戦わせるって、忌避される行為のはずだ。
「同年代の女の子が戦ってるのに、男の子が戦うのを止めるのはちょっと…それに、ほら、私ジュスト仮面とか好きだったし」
「初耳だよ…と言うか随分外連味にあふれた好みだね」
確か20年ほど前に流行った魔法少女アニメに出てきた男のお助けキャラだったっけ?東京の往来にあのきらびやかなジュスト・コールとキュロットは中々シュールだった。中身がイケメンじゃなきゃ…というかイケメンでも存分に変態だ。
「あら、戦い方も素顔もかっこいいじゃない」
「服装には触れないんだね…」
確かにバラを投げたり、レイピアを振るうその姿は、かっこいいと言えばかっこいいのだろう。…せめてフロックコートとかタキシード着せてあげようよ…。
「…ところで、君の息子、心が女の子だったり、女の子になる予定あったりしない?」
「無いわよ、というか、昨今そういう問題デリケートに扱われてるんだから、あなた人間ならセクハラで訴えられてるわよ?」
…まぁ、可能性としては低いよなぁ…。いないってわけじゃないけど、珍しいから差別やら弾圧の対象になるわけだし。
「理論上、男の適性者っているはずがないんだけど…」
「あら、そうなの?それにしては、悩んでいるわね…」
「君の子だからね…」
千本木地区史上最強の魔法少女…というか、人間が保持可能な限界以上の魔力を叩き出したイレギュラー、フレア・メグの子どもだ、何かあってもおかしくない。
「あれ…、おかーさん、何その…熊?」
「あら…、やっぱり見えるのね?」
ふむ…中性的な見た目…しかし、二次性徴と共に男になりかけているといった感じか?うん、遺伝子が仕事したらしく、見た目は良い、口調からして、性格もおとなしそうだ。仮にジュスト・コールとか着せられても似合う…と思う。…って何を考えているんだ僕は。とにかく、「男であること」以外何ら問題はない。適性も高い。…あれ?この子母親には劣るけど適性相当だぞ…。今いる魔法少女のトップより高いかも…。
「あー…、初めまして、僕はクリュマベルテ…そうだな、魔法…少女?うん、まぁ男が成った場合の呼称は決まって無いし、それでいいか。魔法少女になってくれるかな?」
「…、え?僕、男だよ?」
うん、知ってる。仕方ないじゃん、呼び方決まってないんだから。