第1話 「ごちそうさま」の後に
「名前は米田太享年二十五歳。死因は、熊の肉を食べてみたい思い立ち、山に入るが逆に熊に殺さるという事故死。間違いないか?」
目の前の老人の言葉に、米田太は眉間に皺を寄せつつ、頷く。
「ああ。確かに米田太だけど……あんた誰?」
「神じゃ」
「いや、待て」
太はそう言って、自称神じいさんを見る。
アニメとか漫画に出てくる神様によくある服装としては真っ白い衣装だ。
太はそう考えて、じろじろと老人の服装を凝視する。
すると、老人はうれしそうに笑って口を開く。
「いいだろー! これ! 寿司Tシャツ! 下のズボンはウニクロで安売りしてたやつで、変じゃないよねー?」
「『変じゃないよねー?』じゃねえ! 神様っつーんならもっとそれらしい格好をしろ! そして語尾をなぜ変えた」
「神に服装規定なぞない! よってわしゃ着たいもんを着る。天使に『ダサい』と言われようとな」
自称神はそう言うが、上がマグロの握り寿司のイラストがデカデカと描かれた(おまけに絵の下には『IloveSusi』という文字)Tシャツ、下はダメージジーンズでおまけに足元はシロックスのサンダル。
どこからどう見ても日本に観光旅行に来たじーさんだ。
太は、そう結論を下して大きなため息をつく。
一体、何がどうなっているのかまったくわからないのだ。