トロロパニック
ルイ(パピー)視点です
今日はここ最近で一番充実した日かもしれない。
ハース王国から御忍びで竜族の里に滞在されているゲイン皇子とカレン様と、昨日一昨日と出掛けていたレイミアが今日は私の直ぐ近くにいる。息子たちはゲイン皇子達の滞在中レイミアと一緒にゲイン皇子達に付き添っていたが、現族長である私はそうもいかない。なので、レイミアの守りは愛するイレーネと息子達に任せていた。本当なら私が直々に守護していたかったが、可愛いレイミア本人に仕事をきちんとするように言われたら、断ることなんてできるはずがなかった。
ーー普通は守る対象の第一は他国の王族なのだろうが、そんなこと知らないし、私にとってレイミアの方が遥に重要だ。それに、レイミアを守るのは他でもない、ハース王国第一皇女であるカレン・マルレーンからなのだから。
何を考えているのか私にさえも分からなかったが。彼女のあのレイミアを見る目は友情のそれではなかった。男であるゲイン皇子でさえあのような獣のような目はしていなかったのだ。どう見ても異端なのはカレン皇女の方だろう。世の中には、確かに同性にしか恋欲を出さない人種も存在する。私も、彼女もその類なのかと最初は思い、警戒した。だが、どうもそういうものでは無いようだ。ーーあくまで私の見立てでは、の話だがね。
彼女の言動や仕草、レイミアを見る目や求めるもの、それらはどうも男に求めているものの様に私には見えるのだ。そして、私がこう推測したのはちょっとした根拠があった。それは彼女の従者であり最初に手紙を届けに来たハース王国からの使者、レインだ。彼女はレイミア程ではないが、彼にも似たような物を向けているときがある。まぁ、それらは全てレイミアかいないときだったが。
私が知っている同性愛者は、その名の通り同性を愛する者。つまり、同時進行で彼女のように男女を愛せるものではなかった筈だ。まぁ、世の中には私の知らない人格者がゴロゴロ居るので確定はできないがな。もしかしたらどちらでも美しければ良いという者かもしれないし......
まぁ、どちらにせよ今後も警戒を怠ることはできないと言う事だ。
私が考え事をしながら書類を片付け一段落をするまでの間に、レイミアは何かを一心に描いていた。上から何を描いているのか私がふと紙に目を移せば。それは、この世界で小数しか存在しない魔法を使えない一族であるトローレントの民が、悪しき魔を封じる際に使うと言われる札のような物だった。だが、あれは確か魔法を使えない変わりに外界にある魔力を移行する能力を持つトローレントにしか作れないものの筈だ。なぜ、外に出たことのないレイミアが知っているのか.........
ーーいや、知る方法は、ある。
だが、それは本当に見るだけであり。形は知ることができたとしても、作ることはできない筈だ。あの札は、我が家の蔵の奥深くに隠すように終われている振り子時計に張られている筈だ。あの子はそれを見てきたのかもしれない。でも、見たところでそれだけの筈だ。真似をして描いたとしても、所詮それはただの絵にすぎない。なのに......その筈なのに、なぜ、レイミアの描く紙にはあれと同等......いや、それ以上の力が宿っているのか。この子は、竜族の女児というだけでも異端な存在であるのに......それ以上となればもう......彼女はこの世界の頂点と言っても過言では無いではないか............
あぁ、君は何れだけの大きな運命のなかを生きていくのだろうか......私は例え神であろうと、レイミアに害をなすものであれば戸惑いなく消すのだが。レイミアはそれを望まないというように、声を掛けても淡々と札の絵を描き続ける。等のお前は私が途中で手を下すのは良しとしないのだね。わかったよ。お前が望むなら、危なくなるギリギリまで見守ってあげよう。
でも、レイミア? 最後に1つだけ答えて欲しい。その札に描いた絵は何に影響を及ぼすのか。
「リア? リ~ア? レイミア?」
レイミアは区切りの良いところまで描き終わると私に向かい、確かにそう言った。
「トロロだよ」
トロロ。それは精神と肉体の狭間に入り込み、本人や周りが気づかぬ内に少しずつ、だか確実に崩壊へと誘う、生物の死に際に発生する魔力の塊だ。どうやらこの札にはそれを消し去る力が宿っているようだ。何故それを今作っているのか、私にはわからない。だか、確実に彼女は何かを感じ取ったようだ。だからレイミアはまた別の紙にまた描き始めたのだろう。
数時間後彼女は合計13枚の札を描き終わるとメイドと共に部屋を出ていった。13枚......これは今日ゲイン皇子たちと竜族の里内にある最古の遺跡に行ったメンバーの数だ。
もしかしたら、あの子達に何か有ったのか......?いや、この札はトロロを消滅させる札だ。なら、イレーネ達にトロロが浸食したのか?.........
私には今現状彼女達の状態を知ることはできない。レイミアが机に札を置いていったと言うことは、帰ってきた者に順にこの札を使った方が良いということなのだろう。
イレーネ達が帰り次第早速使うことにしよう。
ーー数時間後帰ってきたイレーネ達に札を貼り付けると体内に浸食し始めたトロロと共に札が燃えて消える事を、この時の私は知らない。
どうしてこうなった......
と言うか私の中のパピーがずれている気がします。
頑張れ私の表現力......




