過保護
レイミア視点です。
あれから、対話が終わるとすぐさまアリス君と護衛のお二人が部屋へと入室してきました。
何も聞かないとこを見ると、すべてとは言い切れませんがきっと部屋の外まで声が漏れていたのかもしれません。考えてみればまぁ、一国の王をそう易々と小娘と二人きりになんてさせるわけありませんよね。きっと私が話しやすいように人払いをしてくださったのでしょうね。優しい王様です。
私は少しイザートの王であるイリン様に尊敬の念を抱きながら兄たちの帰還を皆さんと話しながら待っていると、応接室の扉を三回ほどノックする音が部屋へと響いた。--だれか来たみたいですね。
「内門の護衛の者です。グラーシア様とリントヴルムの方々が城へお戻りになられましたのでご報告に参りました」
「ご苦労。して、何故ここにグラーシアが直接来ない? 何かあったのか」
「それが......なんでも、王直々に判断願いたい物があるとか......」
「--彼奴がか?......どうやら、ひと悶着あったようだな」
イリン様はそうつぶやくと、私たちに此処に居るように告げると、片方の護衛さんを引き連れ部屋を出ていきました。何かあったのかと内心小首を傾げながら、隣で無邪気に話をするアリス君に相槌をして待つこと実に30分。部屋にきっちり三回分のノックが響くとすぐに扉が開かれました。
「レイミア‼」
部屋に入ってすぐに私の名前を呼び、ガバリと私を包むように抱き着いてきたのは意外なことに何時も物静なノア兄さんだった。ノア兄さんは私に抱き着くと、そのままぎゅうぎゅうと本の少しだけ強い力で私を抱きしめます。--気のせいか、その腕は微かに振るえているようなきがしました...........
「......心配...した......」
「ノア兄さん......相談もなく、勝手に城の外に出てごめんなさい......」
「......いいよ。レイミアが外に出た理由なら、わかってるから......」
「ノア兄さん......」
私、そんなにマナーがなってなかったですか............?
え、私がマナー本を買いにいくのが見通せるくらいってかなり酷かったのでは......え、私さっきまでそんなズタボロマナーで一国の王と対談してたんですか?! 此処の王様寛大すぎませんか?!
私が背中に冷たい汗が伝うのを感じているといつの間に近づいたのか、アシュリー兄さんがノア兄さんから私を引き離し抱きしめてきた。--今更感がすごいですがこの人たちスキンシップが激しすぎやしませんかね?......
「レイミア......レイミア.........」
「アシュリー兄さん」
どうやらアシュリー兄さんにもかなりの心配をかけてしまった様です。ノア兄さんと違って何か言うわけでもなく、私の名前を連呼するだけおアシュリー兄さんになぜか異様に罪悪感がわいてきます。きっと知らない国で置手紙はしたとはいえ、急に私が居なくなったことで驚いたのでしょうね。すみません。
「レイミア.....」
「......」
「里に、帰ろうか.....」
「......うん」
「レイミア様」
「グラーシアさん」
アシュリー兄さんのの言葉に素直に返事をすると、今まで静かに見守っていたグラーシアさんが最後に話しかけてきた。
「この度は大変忙しくさせてしまい大変申し訳ございませんでした」
「いえ、私たちもこうして急に予定を変更して帰るようになってしまい申し訳ございませんでした。次はもっとゆっくりと滞在させていただきますね」
「!.....また、いらしてくださるのですか?......」
「? もちろんです」
え、たしか予定では来月当たり表彰なんちゃらでまた来ますよね? え、あれって社交辞令でしたか?! もしかして、こいつあれ真に受けてまた来る気かよ? みたいなこと思われちゃってたりなんて......?!
帰り際に見たグラーシアさんの笑顔が本物であることを願うばかりです............
ついに冬休みが明けて学校がはじまりました......
卒業考査にガクブルです......