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竜族族長の娘  作者: 五月雨 アルト
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ノアの思想

今回はノア・リントヴルム視線です

僕には賢い妹がいる


つい5ヶ月前に産まれた末の娘だ


この子はとても利口な子だ


たったの1歳にも満たない赤ん坊相手に利口もなにも無いと人は言うだろうが


きっとこの子を


レイミアを見れば直ぐに意味を知ることになるはずだ


この子はまだ5ヶ月の赤ん坊なのにあまり泣かなければもう人の言葉に返事を返すように子音を含む喃語を話す


人間等と言った比較的百年程度しか生きない種族であれば寿命が短い分成長が早いため何ら可笑しくはないが、それが竜族の赤ん坊なら話は別だ


成長速度が 圧倒的に 早すぎる


そもそも竜族は他種族を圧倒的に凌駕する長い寿命を誇る種族であり未だかつてその永き寿命のなかで亡命したものは居ないと言う(大抵の死因は自殺か他殺)


そのため女児が滅多なことでは産まれない竜族は他種族と婚姻を結とき、相手の体内に定期的に竜族の血液をまぜ寿命を伸ばし強制的に竜族と近い種族にすることで永き時を伴に過ごす


そうしなければ到底同じときを伴に過ごすなんて無理なほど永遠に近い永い時間を生きるのだ


そういうわけか竜族は一定の年齢になるまで他種族と比べて成長速度が緩やかだ


例えばこの世界の人間と竜族を比べると2倍、遅いと5倍程の緩やかな速度で成長する


そんな成長速度が他とは比べるまでもない程にスローペースな竜族の中でレイミアは異常な存在だった


女の子でアルビノであるという事を抜きにしてもその成長速度は早すぎる


まるではじめから話す方法を知っていたかのようだ



でもそれはありえないだろう


産まれたばかりの赤ん坊が何を知っているというのだろうか


そうして可能性を潰していくと最後に残る答えは


周りを 観て 真似て 一人で


成長している....?


とても5ヶ月の赤ん坊にできるものとは思えないがこの子ならあり得なくない様な気がするのだ

この子なら、レイミアなら


やりとげてしまうのではないだろうか...?


そうだ


この子はとても賢い


よく周りを観ている


聞いている


この子はきっと理解できているのだろう


自分の異常さを


賢さを


尊さを


きっと、この子は


解っているのだろう...


そんな考えに達した僕の心にあったのは


ほんの少しの畏怖と歓喜


そして多大な崇拝心だった


あぁ...僕の妹はなんてこうきな存在なのだろうか...!


愛しい


愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい愛しい


僕の可愛いレイミア...


この子は周りを観て成長してきた


きっとこれからもそうして成長し続けて行くのだろう


なら


僕がその土台を整えなければ


僕はその為の存在かぞくなのだから...


そうだ

まずは僕がレイミアにとって信用のできる良き兄になろう


そうすればきっとレイミアのそばで成長して行く様を見続けられる


そのためには先ずあのうるさいアルを遠ざけよう


アルは僕とレイミアの時間を邪魔するし

レイミアの成長の邪魔だ


殺しはしない


だって彼奴も一応家族だしね




それに今は学校に行っているため里には居ない


でも彼奴が学校から長期休暇の間家に帰ってくればまた家は騒がしくなりレイミアとの二人きりの時間が減るだろう


ただでさえアース兄さんやレオ兄さんがいて、親が仕事の間はほとんど占領されているから二人きりになるのは本当に難しい


あぁ


もう、アルが帰ってきてしまう


今まで一緒にお昼寝していたレイミアもそれに気づいたのか目を覚ましている


本当に賢い子だ


でも彼奴の帰宅をレイミアが待ち望んでいるようで嫌だった


だからレイミアを再び眠りに誘うように弱い睡眠魔法を使いながらその頭を柔く撫でる


するとレオ兄さんが部屋に入ってきた


どうやら本当にもうすぐアルとアース兄さんが帰ってくるようだ


その事実に顔を歪めていたらレオ兄さんは表向き僕を宥めるように話しているがその瞳は全てを見抜いているといわんばかりに細めている


レオ兄さんは僕の心中を察しているのだろう


そして僕と同じようにレイミアに優しい兄である事を見せ信頼されようとしているのだろう


だから僕をちらりと見ながら良い兄で居たいなら等という話したのだろう





むかつく



僕はまだ兄には勝てない


そんな自分にとても苛つく


そのイラつきを僕はレイミアを抱いて僕から遠ざかっていく背中に向けた






ノア兄さんはレイミアに信頼されようと必死

盲目なまでの崇拝心は決して矛盾を気付かせない

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