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17 私と魔女と……


イージオ殿下のコスプレ撮影会……じゃなかった、魔女対策用の撮影会が行われた翌々日。


魔女が再び私のもとに訪れた。


もちろん、私に用意しておけと言い付けていたイージオ様のご尊顔を見る為に。



「……ねぇ、ミラ。私はイージオ王子の顔が見たいと言ったのよ?」


「はい、ですからこれがイージオ王子です」


「いや、でもこれって……」


「この方がイージオ・グリーンディア王太子殿下です」


私が広げて見せた、イージオ様(女装)ポスターを見て、魔女が頬を引き攣らせる。


「『王子』?『王女』の間違えじゃ……」


「『王子』です」


「……」


魔女の目がイージオ様ポースターをジッと見つめて固まる。


イージオ様の写真を加工している内に、楽しくなってしまって、無駄に周りに羽根とか舞っているけれどその辺はご愛嬌だ。


少なくとも、美白補正とか、目が大きくなるように画像を弄ったりとかそういった詐欺的な修正は加えていない。


……加えなくても完璧だったしね。むしろあふれ出る美オーラを消す為の修正を加えたかった位だ。


「そう。男……男なのね!なら、女性としての美しさは比べるまでもなく私の方が上よね?スタイルだって私の方が上だもの!!」


暫くポスターを凝視した後、納得した……というか自分に言い聞かせるように魔女が言う。


どうやら、ギリギリ……うん、本当にギリギリのところで魔女のプライドは保たれたようだ。


まぁ、魔女の言うように女性らしさという面を競うのなら、胸がぺったんこなイージオ様より、ボンキュッボンな魔女の方が上だろう。


なるべく体のラインは見えないような服を選んだけれど、それでもそれなりに鍛えているイージオ様の体が女性に比べガッシリとしているのはわかるしね。


イメージ的には男装の麗人がドレス着た感じ。


……あれ?そうなるともう女装なのか男装なのかよくわかんないね。まぁ、いっか。



「ふぅん、これがスノウフィアの夫になる王子……王子ねぇ」


自分の中での落とし所を見付けて、表情を和らげた魔女が小さく息を吐き出してからいつも通りの妖艶な笑みを浮かべる。


「確かに、彼……彼を夫にするのは嫌よね」


男性を意味する呼称を口にする度に2回言うのは、まだイージオ様(女装)を完璧には男性として受け入れられていないからだろうか?


自分以外の女性が美しいと褒められる事にいい顔をしない魔女からしたら、この美しい女性に見える男性の存在は葛藤を呼ぶものなのだろう。


私は自分の事を美しいとは思ってないから、イージオ様と比べられても何とも思わない。次元が違う存在だって思ってるから。だから正直魔女の気持ちはあんまり理解出来ないんだけどね。


「彼は顔合わせの時もこの格好でいらっしゃるのかしら?」


「さぁ、どうでしょう?」


本当は今回魔女に見せる為に特別に女装して頂いただけだから、この国に来る時には普通の見目麗しい王子スタイルで来るに決まってる。


元々、イージオ様に女装の趣味はないし、他国の人々が集まるパーティーで一国の王太子が女装するわけにもいかないだろう。


でも、それを敢えてここで言うような事はしない。


折角勘違いしてくれて魔女の機嫌がいいのだ。


わざわざ余計な事を言って機嫌を損ねる必要はないだろう。



「フフフ……。彼を見た時のスノウフィアの反応が楽しみだわ。私なら彼と並んでも見劣りしないでしょうけれど、あの子じゃね?フフフ……フフフフ……」


顔合わせの時のスノウフィア王女の唖然とする顔でも思い浮かべたのだろう。


魔女が如何にも魔女らしい、黒い笑みを浮かべる。



「さて、ちゃんという事を聞けたお利口な私の鏡にはご褒美をあげないといけないわね?」


一頻り満足そうに笑った後、魔女は私をその瞳に映しニタリッと笑った。


ご褒美の内容は既に『外出』に決まっている。


それは私にとって嬉しい事であり恐れる事なんて何もないはずなのに、魔女の顔を見た途端、不意に背筋に寒気が走った。


無意識のうちに、私は自分で自分の体をギュッと抱きしめていた。



「今日の私はとても気分が良いから、外出先は王都にしてあげるわ。それに、町の中を見て歩くのに適した服と少しのお小遣いも付けてあげましょう。あぁ、なんて優しい私。こんな優しいご主人様の為に、貴方はしっかりと働きなさい」


そういうと、魔女は何処からともなく布包みを取り出し、私に――鏡面に向って投げて寄越した。


普段だったら、私に届く事なく鏡面にぶつかって床に落ちるはずのそれは、何の抵抗もなく緩やかな弧を描いて私の手元へと落ちてくる。


「さっさと用意しなさい。じゃないと、裸のまま町の中に立つ事になるわよ?」


魔女は笑顔で恐ろしい事を言うと、今度は黒い掌サイズの玉を取り出し、こちらの様子などお構いなしに呪文を唱え始めた。


この鏡の中で作った物は、外に持ち出す事は一切できない。


それは服等の身に付けている物も例外ではない。


要するに、今私が着ている服は鏡の外に出た途端に消えてなくなる。まさに素っ裸で放り出されるという事になる。


「えっ!?ちょっ、ちょっと待って下さい!!」


「……」


私の制止の言葉にも魔女の詠唱の声は止まらない。


慌てて、私は魔女が投げて寄越した包みを開けて、彼女が用意してくれたらしい町娘風の服を魔法で着用した。


そして、服の上に無造作に乗せられていた小さな布袋をポケットにギュッと押し込む。



「さぁ、行ってらっしゃい。私の為にいっぱい……楽しんで来てね?」


私の準備が済むとほぼ同時に魔女の詠唱も終わったらしく、手に持っていた黒い玉をポイッと無造作に私のいる鏡へと投げ込む。


魔女曰く、この玉が私が鏡にいない間の鏡への一時的な魔力供給源になるらしい。




玉が鏡面を抜けこちらに入った瞬間、眩い光発せられた。


その光に思わず目を瞑り、両腕で顔を庇うと、眩暈にも似た浮遊感を感じる。


そして、次の瞬間には眩暈も光も収まり、私の耳には賑やかな人の声が聞こえるようになった。


ゆっくりと瞼を開き、周囲を見回すと、そこは大通りから少し離れた人気のない細い路地裏のような場所だった。


『危ない。今回もギリギリセーフだった』


大きなため息の後、呟いたはずの声は空気を揺らすだけで音にはならない。


その事に違和感を感じ、眉間に皺を寄せる。でも、これはいつもの事だ。



魔女は私が他者に助けを求める事を許さない。


現状を伝える事も当然許さない。


その為、こうして外出させる時には私の声を奪い、城内以外の場所にランダムに落とす。


そうする事で、親しい人を作らせないようにし、簡単な身ぶり手振りによる意思伝達しか出来ないようにするのだ。



『今回はサービスが良いな』


足の裏に久々に本物の地面の感触を感じ、靴、スカート……と自分の服装を下から順番に確認していく。


魔女は常に気まぐれだ。


今日はまだ町歩き用の服装を与えてくれたから良かったけれど、気が向かない時にはそのまま放り出される事もある。


一応、1番初めの外出時に、鏡の中で魔法で作ったものは服ですら持ち出せない事は教えてもらっていたから、そういう時は急いで鏡の中に閉じ込められた時に着ていた服へと着替えるようにしている。



そうしないと……本当に裸のまま何処かに飛ばされてしまう事になるから。


でも、私がこちらの世界に来た時に着ていた服はあくまで現代日本のスーツだ。裸よりはましだけれど、当然この世界で着ていれば浮いてしまい、奇異の目で見られる。


明らかにヘンテコな格好をしている妙齢の女性を見る目は冷たく、お店を見ようとして入店拒否をされたり、こちらではハレンチと言われるであろう丈のスカートを見て娼婦と間違われ、破落戸に路地に連れ込まれそうになったりした事もある。


……もちろん、淑女なら絶対蹴れないような場所を蹴って、凶器とも言えるヒールで思いっきり足を踏んで逃げたけど。あの時は単独犯で本当に良かったと思ったものだ。


魔女は、私がどんな目に遭おうと生きていて鏡の栄養源にさえなれば問題ないと考えているから、今回みたいに周囲に溶け込めるような服を用意くれるのは、本当に機嫌が良い時だけなのだ。


『しかも、こんなにいっぱいお小遣いをくれるなんて、天変地異の前触れかな?』


ポケットに突っ込んでおいたお小遣いが入っている小さな布袋を取り出して首を傾げる。


いつもはお小遣いをくれたとしても銅貨を1枚を放り投げてくれれば良い方。


なのに今回は……。



チラッと袋の口を開ければ、今回はなんと銅貨に混じって銀貨が数枚入っている。


誰もお金の価値を教えてくれないから、正確な価値はよくわからないけれど、銅貨は露天のお菓子や果物を1つ買える程度……多分、500円弱位。


銀貨は……大量のお肉やお魚を買って少しお釣りが出る程度の金額。


前に家具とかの職人さん達が多い町に落とされた時にちょっと質の良さそうな椅子を買っていた人が銀貨を出してお釣りがなかったから、おおよそ1万円位の価値なんじゃないかなって思ってる。


銅貨買い物の時によく使われてるのを見るけど、銀貨は使っている人がいないわけではないけれど少ない。


1度だけお貴族様っぽい人が金貨を使っているところを見掛けた事があるから、金貨ってのも存在はするんだと思うけど、庶民の間では全くと言っても良いほど流通していない。


だから、大金だという事はわかっても、実際の価値は検討が付かない。




『……なんかサービスが良すぎて反対に怖いわぁ』


声が出ないのはわかっているんだけど、ついいつものくせで口を動かしながら呟いてしまう。


それから暫く、「あの魔女の事だから何か裏があるんじゃないか?」って悩んでみたけれど、結局答えが出るわけもなかったから、早々に諦めてこの時間を楽しむ事にした。


ここで悩んでただ時間が過ぎるのを待っていも、この限られた時間を思いっきり楽しんでいても、この先に待っている事はきっと変わらない。


悩んだからって魔女の持ち込む厄介事がなくなるわけではない。


もし「逃げる」という選択肢が使えるのなら、悩む価値もあるかもしれないけれど、魔女に捕らえられている私に拒否権はないのだから、最終的にやらされる事は変わらないだろう。


だったら、やっぱりこの時間だけでも楽しんておく方が正解だと思う。



『場所は王都だし、格好もしっかりしてる。お小遣いもたんまりある。いつもは見れない物や食べれない物をしっかり堪能しなきゃ損ってもんでしょ!!』


胸に浮かんだ不安をスパッと切り捨てて、私は人々が賑わう大通りへと向かった。




***



『う~ん、美味しい!!』


手に甘辛く味付けされた肉を挟んだパンのような物と柑橘系の味のするよくわからないフルーツの100%ジュースを持ち、腕にお菓子がたくさん入った袋をぶら下げて町を闊歩する。


本当は折角お小遣いがあるんだし、服や小物、アクセサリーなんかも見たり買ったりしたかったんだけど……タイムリミットがきて鏡の中に強制送還されると買った物は全て没収になってしまうから諦めた。


単純に本などの、知識を身に付けられる道具を私が手に入れられないようにする為の対策なのか、或いは嫌がらせ的なものも含まれているのか、鏡から外に出る時だけでなく、外から鏡に戻る際にも物の持ち込みは出来ない。


魔女が私の代わりの魔力供給源として鏡に投げ込んだ玉に込められている魔力がなくなると、何の前触れもなく強制的に私は鏡に中に引き戻されてしまう。その時に、外で買った物は全てはじき出されてしまい、私の手には何も残らなくなる。


もし、どうしても買った物を自分の物として鏡の中に入れたいのであれば、魔女に頼んで彼女の手で中に入れてもらう必要がある。


今私が着ている、魔女からの支給品であるこの町娘風ワンピースの時のように、魔女に魔法を掛けてもらい正規のルート――魔女の鏡の鏡面を通して鏡に入れてもらわないと、鏡の中に持ち込む事は出来ないから。


そして、魔女は頼んだからといって滅多にそんな面倒は事はしてくれない。


それ以前の問題として、玉が魔力切れした瞬間に強制送還だがら、魔女に頼む時間もない。


何とも不便だ。



『あ、あれも美味しそう!!』


八百屋さんっぽい果物や野菜っぽい物を売っているお店で、気になる果物を見付けて走り寄る。


「いらっしゃい!!お嬢ちゃん、可愛いね!おじさんおまけしてあげるからいっぱい買ってってよ」


ニカッと爽やかな笑顔で営業トークしてくるおじさんに、無言でニコッと笑みを返し、気になった果物を指差して、1個と指で示す。


「一個でいいのかい?こっち林檎も今日入ったばっかりで新鮮で美味しいよ?折角だから旦那や子供の分も買ってってやんなよ!!」


明るい笑顔で真っ赤な林檎を進めてくれるおじさんの言葉に思わず苦笑が浮かぶ。


……よりによって林檎を勧められるって不吉だな。


いや、ってか、私独身ですから。家族どころから知り合いが来る事すら出来ない、究極の独り(隔離)暮らししてますから!



『これだけでいいです』


声が出ないから、林檎を指差して首を振り、お目当ての果物を指差してクチパクで答える。


おじさんの私のその反応に、一瞬憐れむような表情を浮かべたけど、また元の笑顔に戻り、「んじゃ、これおまけしておいてやるよ。頑張んな!!」と言って、私が買おうとした果物とその近くにあった小さな実を2、3粒とって、紙袋に入れて手渡してくれた。


私はそれに笑顔で頭を下げる事でお礼を言い、お金を渡してその場を去った。



こうやって、町を歩いているといつも思う。


王妃である魔女は最低な人間だけど、王様はきっとそんなに悪い人ではないんだろうなって。


だって、じゃなかったらこの国はここまで良い国にはならないだろうって思うから。


もちろん、良い人ばかりではないし、犯罪だってそれなりにあるけれど、全体的に見れば良い方だと思う。


真っ当に商売をしている人やそれを見て歩く人の表情もとても明るいし、こうやっておまけをしてくれる人の良いおじさんおばさんもたくさんいるしね。



……まぁ、私がそう思えるのはこうやってこの世界の魔女以外の人と接する事の出来る僅かな時間だけなんだけど。


『少し疲れたから休憩しながら戦利品を食べようかな?』


パンを食べ終えた私は、おじさんがおまけで付けてくれた小さな実を口に放り込みながら、何処か座れる場所はないかと周囲を見回した。すると、目の前を赤い頭巾を被った女の子が丁度通り過ぎて行こうとした。


何だか、赤ずきんちゃんみたいな子だなぁ。……物語が変わっちゃうけど。


何て事考えていたら、その女の子が後ろについて来た背の高い女性を振り返った。


その瞬間、ふわりと頭巾が風を孕みその子の笑顔が私の目に飛び込んできた。


……うわぁ。滅茶苦茶可愛い子。いや、可愛いというより綺麗って感じか?


最高級のビスクドールのようなその少女の顔に、思わず溜息が漏れる。


……まぁ、イージオ様の美しさには敵わないけどね。


そんな事を考えている私の方に向って――正確には少女の後ろに追従する女性に向って、美少女が明るい声で話し掛けてくる。



「私、お忍びなんて初めて!!次は何処に連れて行ってくれの?」


「お待ち下さい、スノウフィア様。次はあちらの路地に参りましょう。可愛い小物が売っているお店がいっぱいあるんですよ」



……?


…………?


………………っ!?


い、今、何て言った!?


「え?でも、この前お父様と馬車に乗った時、ああいう細い道は危ないから行っちゃダメって言われたわ」


私がギョッとして目を見開き、美少女と付添らしい背の高い女性を交互に見ていると、2人は私の目の前で会話を続ける。


「細い道には安全で楽しい、知る人ぞ知る名店が立ち並ぶ通りと、国王陛下の仰る通り治安の悪い危ない場所の2つがあります。国王陛下はスノウフィア様がそういった危険な道に間違って入らないようにそう仰ったのだと思いますわ。けれども、今回は私がご一緒させて頂きますので、大丈夫です」


「まぁ、そうだったのね!!」


え?何これ。無垢な美少女が悪い大人に騙されている図にしか思えないんだけど!?


ってか、今、『スノウフィア様』って呼ばれてたよね!?それに、『国王陛下』っていうワードも聞こえたんですけど!?


「さぁ、参りましょう。きっと、スノウフィア様もお楽しみになれますわ」


「ええ、楽しみだわ!!」


前を向いた美少女の背中を女性が軽く押すようにして促す。


狼に騙される赤ずきんちゃん……否。彼女は悪い魔女に騙される白雪姫だ。



『ちょっと、待って!!行っちゃダメ!!』


慌てて声を出そうとするけれど、私の声は出ない。


手を伸ばして止めようとした瞬間、女性が首だけ動かして私を見る。


ニッコリと笑みを浮かべた彼女は、私にだけ聞き取れるかどうかという声でこう言った。



『王妃様のご命令です』


女性の顔には頬の途中から顎に掛けて、薄らと傷痕のようなものがあり、その目は弧を描いているのに沼のように深く暗い色を帯びていた。


……やられた。


魔女は憎しみや妬みの感情を持つ美しくない女性を好んで自分の駒にする。


暗い目をした顔に傷のある女性。


元々の造作は良くても傷があるだけで、魔女はその人を『醜い』と判断するから、彼女はその条件全てに当てはまっている。



『魔女のご機嫌の理由にはこれも含まれてたんだ』


思わず唇を噛み締めた。


魔女は私がスノウフィア王女を見る事を拒否していた事に気付いていたんだ。


おそらく何故拒否していたかという理由までは知らないはずだけど……というか、理由を知らないからこそ、こうして誘導する形で無理矢理私達を会わせたんだと思う。


会わせた後の私の反応を見る為に。



『……って、今はそんな事考えている場合じゃない!!』


衝撃に固まり、その場で思考に耽ってしまった私は、慌ててスノウフィア王女が連れて行かれた路地の方を見る。


そこには下卑た笑みを浮かべた破落戸が1人、2人とさり気なさを装って路地へと入っていくのが見えた。


きっと、今回の魔女の目的は私を彼女に会わせる事だ。


でも、だからといって折角連れ出せたスノウフィア王女を、それだけで帰すなんて事をあの魔女がするわけがない。


殺すまではいかなくても、嫌がらせがわりに傷の1つや2つ負わせるかのしれないし、もっと屈辱的なめに合わせようとする可能性だってある。



『スノウフィア王女、お願いだからもっと危機感持ってよ……』


そう言いつつも、物語の中でも怪しいお婆さんから貰った林檎を平気で食べてしまうような子に危機感を求めても無理だろうなと思った。


『ど、どうしよう。イージオ様の嫁がピンチだ』


私は途方にくれつつも、助けを求めて周囲へと視線を巡らせた。

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