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1.プロローグ


「女というやつは、ろくでもない生き物だ」


俺、青沼陸人は18年の人生を経て、この重い結論に辿り着いた。

思えば、生まれてこの方、女との間に輝かしい思い出など一つとしてない。それどころか、女性との関わりは常に苦痛と後悔の連続だった。


窓の外では桜が舞い、卒業式を終えたばかりの俺を祝福しているかのようだ。

柔らかな春の風が頬を撫でるが、この胸に刻まれた傷跡は、そんな優しい風にも癒されることはない。

むしろ、この美しい春の景色が、過去の苦い記憶をより一層際立たせる。

心の奥底から、忌まわしい記憶が這い上がってくる。まるで、俺の心を締め付ける鎖のように。


幼稚園の頃。あの時の俺は、まだ純粋だった。世界は希望に満ち、人々は信頼できる存在だと信じていた。特に、隣に住む一つ年上の百合姉ちゃんは、俺にとって特別な存在だった。

毎日を共に過ごし、彼女の笑顔が俺の全てだった。


「陸人、スキップはこうやるのよ!もっと軽やかに!空を跳ねるみたいに!」


百合姉ちゃんの声が、今でも耳に残っている。彼女の声は、春の小川のせせらぎのように清らかで、俺の心を温かく包み込んだ。


「ねえ陸人、おままごとやりましょ。あなたがパパで、私がママね。赤ちゃんはこのぬいぐるみで代用しちゃおう!」


幼い俺は、そんな遊びにも真剣に取り組んだ。家族ごっこをする度に、将来の幸せな家庭の姿を夢見ていた。


「陸人ったら、大きくなったら私があなたのお嫁さんになってあげる。約束よ!」


その言葉を聞いた時、俺の小さな心臓は大きく高鳴った。幼いながらも、それが特別な言葉だということを理解していた。百合姉ちゃんは俺を様々な場所に連れて行き、常に遊びに誘ってくれた。公園でブランコを押してくれたり、砂場で一緒に砂の城を作ったり。時には、近所の小さな森で冒険ごっこをしたこともあった。


引っ込み思案だった俺にとって、彼女は初めての本当の友達であり、初恋の相手だった。彼女と一緒にいる時間は、まるで魔法にかけられたようだった。世界は色鮮やかで、全てが可能に思えた。

このまま永遠に一緒にいられる。そう、本気で信じていた。幼い俺は、この幸せが永遠に続くと疑いもしなかった。

しかし、現実は残酷なまでに冷徹だった。俺たちの幸せな日々は、あまりにもあっけなく終わりを告げた。


ある日、いつものように百合姉ちゃんと遊ぼうと家の前で待っていた俺。しかし、いつもの時間になっても、彼女は現れなかった。不安になった俺は、勇気を出して彼女の家のチャイムを鳴らした。

ドアが開き、そこに立っていたのは、いつもの笑顔ではない、どこか冷たい表情の百合姉ちゃんだった。


「もう、私に声をかけないで!」


その言葉は、まるで雷に打たれたかのように俺を震撼させた。


「え?どうして?一緒に遊ぼうよ」

俺は必死に食い下がった。これは何かの冗談か、悪夢なのではないかと。


「男の子と遊んでいるところを見られるなんて恥ずかしいの!」


彼女の言葉は、俺の心を容赦なく切り裂いた。


「僕と一緒にいるのが、そんなに恥ずかしいの?」


俺は震える声で聞いた。まだ希望を捨てきれずに。


「そうよ。だから、もう声をかけないで!」


そう言い残し、百合姉ちゃんはドアを閉めた。その音は、俺たちの関係の終わりを告げる鐘のように響いた。

百合姉ちゃんが小学校に入学した時のことだ。俺はまだ5歳。人生のほとんどを彼女と過ごしてきた俺にとって、この突然の拒絶は、世界の終わりのようだった。


突如として、百合姉ちゃんは俺との時間を拒絶し始めた。理由は「恥ずかしいから」。たったそれだけの言葉で、俺の世界は色を失った。太陽が消え、花々が枯れ、鳥たちが歌をやめたかのようだった。


その日、俺は人生で最も激しく泣いた。涙は尽きることを知らず、まるで心の中の泉が決壊したかのようだった。両親も俺をなだめようとしたが、その声さえも遠くに聞こえた。


翌日になっても、前日の記憶が蘇るたびに、新たな涙が溢れ出た。5歳の幼い心には、この衝撃があまりにも大きすぎた。しばらくの間、俺は自室に籠もり、外の世界との接点を完全に絶った。食事も喉を通らず、両親は心配そうに俺を見守っていた。


今になって冷静に考えれば、小学校低学年の時期に異性と遊ぶことを恥じるのは、ある意味で自然な成長過程の一部なのかもしれない。子供たちは周囲の目を気にし始め、同性との友情を重視するようになる。それは、社会性を身につける上で重要な段階だ。


しかし、当時の俺にそんな冷静な判断など不可能だった。俺にとって、百合姉ちゃんは特別な存在だった。彼女との思い出は、俺のアイデンティティの一部だったのだ。その大切な部分を失うことは、自分自身の一部を失うようなものだった。


ただ、女という存在を二度と信じまいと、幼い心に固く誓った。その誓いは、まるで呪いのように俺の心に刻み込まれた。

この経験こそが、俺の中に根付いた女性嫌悪の源泉だ。それほどまでに、この出来事は俺の人生に深い影を落とした。その後の人生において、女性との関わりは常に警戒心と不信感に彩られることになる。


だが、完全に女性との関わりを絶つことなど現実的に不可能だ。学校には女子がいるし、先生にも女性がいる。街を歩けば女性とすれ違うし、テレビをつければ女性タレントが映る。

俺は徐々に、苦手意識を抱えながらも女性との付き合い方を学んでいった。それは、まるで毒を少しずつ体に馴染ませていくような過程だった。



そして時は流れ、俺は中学受験に合格。私立中学への入学を果たした。新しい環境、新しい仲間。もしかしたら、ここで心機一転できるかもしれない。そんなわずかな希望を胸に秘めながら、俺は中学生活をスタートさせた。

地元の学校ではないため、周囲に知り合いはおらず、クラスメイト全員が必死に友人作りに奔走していた。廊下や教室で交わされる会話は、まるで社交界のような軽やかさと緊張感に満ちていた。


男子の会話と言えば、「誰が可愛いか」「誰が好きか」といった類のものばかり。

まるで、それが中学生の男子の存在意義であるかのように。

俺は、そんな会話に加わることができず、常に輪の外にいた。


「おい、青沼。お前はどの子が好みなんだ?」

「別に...誰も」

「えー、つまんねーな。もっと盛り上がろうぜ!」


そんなやり取りの度に、俺は心の中で舌打ちをした。女の話で盛り上がる連中が、俺には理解できなかった。


そんな雰囲気の中、入学から一か月が経ち、クラスの空気も徐々に打ち解けてきた頃、あの忌まわしい事件は起きた。

放課後、部活動の開始まで時間があったため、教室で時間を潰していた。窓から差し込む夕陽が、教室を赤く染めていた。その時、声をかけられた。


「おっと、暇そうじゃないか?」


声の主は安藤義男。噂好きで口が軽いことで有名な男だった。クラスの中心人物の一人で、常に周りを笑わせている存在だ。


「ああ、部活まで時間があるからな」

俺は気乗りしない様子で返事をした。この会話が、俺の運命を大きく変えることになるとは、この時は知る由もなかった。


「へえ、そうか。で、お前さ、今クラスで気になる女子とかいるの?」


安藤の目が、好奇心に満ちて輝いていた。まるで、獲物を狙う猟犬のように。


「は?別にいないけど」


俺は即座に否定した。しかし、安藤はそれで諦めなかった。


「嘘つけよ。好きじゃなくてもいいから、ちょっとでも気になる子とか」


安藤の追及は執拗だった。まるで、俺の心の奥底にある秘密を暴き出そうとするかのように。

正直、女性が苦手な俺には、本当に好きな子なんていなかった。


しかし、この話を終わらせるには何か名前を挙げるしかない。

俺は頭の中で必死に考え、ほんの少しだけ気になっていた女子の名前を挙げた。


「強いて言えば...佐々木茜かな。あくまで強いて言えば、だけどな」


その瞬間、俺は大きな過ちを犯したことに気づいた。安藤の目が、獲物を捕らえた猟犬のように輝いた。


「へえー、お前佐々木のこと好きなんだ!」


安藤の声は、興奮で高くなっていた。


「おい、人の話聞いてたのか?強いて挙げただけだって言っただろ」


俺は必死に否定した。しかし、もう手遅れだった。


「おお、分かったよ。お前の気持ちよーく分かったぜ!じゃあな、用事あるから!」


安藤は、まるで大きな秘密を手に入れたかのように、嬉々として教室を出て行った。


「おい、だから違うって言ってるだろ!」


俺の声は、空っぽになった教室に虚しく響いた。


その夜、俺は不安な気持ちで眠りについた。明日は何事もなく過ぎ去ってほしい。そう願いながら。しかし、翌日学校に行くと、俺の最悪の予感が的中した。クラス中が俺の噂で持ちきりだった。


「ねえねえ、青沼って茜のこと好きなんだって!」

「マジで?佐々木か。まあ、確かにあいつ胸でかいからな」

「あいつ、そんな目で茜のこと見てたのか。ちょっと茜が可哀想」


教室に入った瞬間、俺を取り巻く空気が一変したのを感じた。視線が集中し、ヒソヒソ声が飛び交う。まるで、俺が何か重大な犯罪でも犯したかのように。

よくもまあ、俺のような影の薄い存在の話題でここまで盛り上がれるものだと呆れた。だが、噂の内容を聞いていると、要するに「キモオタの片思い」という話題で盛り上がっているらしい。そもそも、俺はそこまで佐々木のことを好きでもないというのに。


「おい青沼、お前マジで佐々木のこと好きなのか?」


クラスの男子が、まるでスクープを手に入れた記者のように俺に詰め寄ってきた。


「違えよ。別に好きじゃねーし」


俺は冷静を装いながら否定した。しかし、その言葉は誰の耳にも届かなかった。


「いやいや、素直に認めろって。火のない所に煙は立たねーんだからよ!」


クラスの男子たちが次々と冷やかしてくる。聞く耳を持たないくせに、なぜ聞いてくるんだ。男子の冷やかしはまだ我慢できた。本当に辛かったのは、女子たちの反応だった。


「茜、青沼なんかに好かれてるんだって。可哀想」

「うわぁ、私のこと好きとかマジでキモい。他の誰かならまだしも」

「ほんと、キモいよね。茜、ドンマイ!」


女子たちの冷ややかな視線が、俺の心を鋭い刃物のように抉った。その言葉の一つ一つが、俺の心に深く刻み込まれていく。好きでもない相手なのに、なぜここまで言われなければならないのか。噂は瞬く間に広まり、メールでの陰口も耳に入ってくる。何より、佐々木茜の俺に向ける軽蔑の眼差しが、最も痛かった。


教室の隅で、佐々木が友達と話しているのが見えた。彼女は時折俺の方をチラッと見ては、嫌悪感を隠さない表情を浮かべる。その度に、俺の心は締め付けられた。

確かに、噂に巻き込んでしまって申し訳ない気持ちはある。だが、たとえ本当に好意を寄せている相手だったとしても、ここまであからさまな態度を取る必要があるのだろうか。当時の俺にとって、このような噂の的になって学校に通うことは、耐え難い苦痛だった。


毎朝、学校に向かう足取りが重くなる。教室のドアを開ける度に、視線が集中する。授業中も、誰かが俺の方を見ては笑っている気がする。妄想なのか現実なのか、もはや区別がつかなくなっていた。

それでも、「人の噂も75日」という諺を信じ、75日間は必死に耐え抜こうと決意した。カレンダーに印をつけ、一日一日を数えた。まるで、刑務所の囚人のように。


そして驚いたことに、実際に75日が経過すると、噂は嘘のように収まっていた。諺を信じるのも、時には悪くないものだと思った。しかし、この75日間の経験は、俺の心に深い傷跡を残した。


この噂が俺に与えた傷は深かった。人を好きになることが、こんなにも恥ずべきことなのかと痛感させられた。俺は心に誓った。今後、たとえ好きな人ができても、決して誰にも口外しない。告白なんて、絶対にしない。

しかし、俺がこの誓いを守り続ける一方で、周りの連中は次々と彼女を作っていった。廊下で手をつないでいるカップル、休み時間に弁当を分け合う二人。そんな光景を目にする度に、俺の心は苦い思いに満たされた。


からかってやろうとしても、「そんなことするのは子供だぞ。いい加減大人になれよ」と一蹴されるだけだ。おい、それを俺が中一の時に言えよ。今さら俺だけ置いていかれて、大人になれというのか。

そんな思いを抱えながら、時は流れ、高校生活も終わりを告げようとしていた。



「次、卒業証書授与」


司会者の声が体育館に響き渡る。俺は壇上に向かって歩き始めた。6年間の中高生活が、この瞬間に集約される。


気がつけば、高校生活も終わりを告げようとしていた。今日は卒業式。中高一貫校だったため、あの噂から6年間、同じ学校で過ごしたことになる。

6年前の噂の主役だった佐々木茜の姿を、ふと見つける。彼女は友人たちと笑顔で写真を撮っていた。俺のことなど、もう完全に忘れているのだろう。


高校生活で彼女はできなかったが、その分、卓球部で全力を尽くした。毎日の厳しい練習、週末の試合。そこには、人間関係の複雑さから逃れられる安息の地があった。

団体戦で関東大会に出場したこともある。あの時の興奮と達成感は、今でも鮮明に覚えている。もっとも、卓球で関東大会に出場しても、それほどモテる要素にはならなかったが。


勉強にも力を入れ、有名私立大学への合格を勝ち取った。これで、あのリア充どもを見返してやれると思った。合格発表の掲示板の前で、俺は密かに拳を握りしめた。


卒業式が終わり、数人の友人と打ち上げに向かう。全員男子だ。華やかな制服姿の女子たちとは対照的に、俺たちは地味な集団だった。

居酒屋に入り、生ビールで乾杯する。未成年だが、今日くらいは目をつぶってもらおう。話題は自然と、大学生活への期待に移っていく。


「大学生活はバラ色だってよ。合コンとかヤリ放題らしいぜ」

「マジか?俺も早く彼女作りてーな」


友人たちの会話を聞きながら、俺は静かにビールを飲む。大学では出会いも多いとも聞く。

しかし、もはや女なんかに興味はない。奴らは表面上は可愛くても、内心では人を馬鹿にしている最低な連中だ。

別に友達がいないわけじゃない。今のままで十分だ。大学でも、リア充どもを見返すような活躍を必ずしてみせる。そう、心に誓った。


打ち上げを終え、帰り道。仲間と別れ、一人で歩いていると、春の夜風が頬を撫でる。ほろ酔い気分で歩いていると、ふと路地裏から物音が聞こえた。

そこには、女性が不良3人に囲まれ、脅されている場面が広がっていた。ネオンの光が、その光景を不気味に照らし出している。


「おう、ねーちゃん。楽しいことしようぜ」

「やめてください!」


女性は震えながら涙を流している。彼女の恐怖に満ちた表情が、街灯の下で浮かび上がる。

今時こんな不良がいるのかと呆れた。漫画の主人公なら、きっと助けに行くのだろう。そして、その行為に女性が惚れる―そんなストーリー展開だ。ヒーローになって、女性に感謝される。そんな展開を、かつての俺なら夢見たかもしれない。


だが、今の俺は違う。俺は行かない。

理由は簡単だ。女が嫌いだし、面倒ごとに巻き込まれたくない。それに、行ったところで勝てるわけがない。そもそも、男が女を守るのが当然だという考え方自体が間違っている。女は自分で自分を守るべきだ。そう、俺は心の中で呟いた。


そう思い、無視を決め込んでその場を離れようとした時だった。


「良かった!助けて!」


その女性が、不良3人の隙を突いて俺の方に逃げてきた。彼女の足音が、静かな夜の路地裏に響き渡る。髪を乱し、息を切らせながら、彼女は必死の形相で俺に近づいてくる。

当然、不良どもも追いかけてくる。彼らの荒々しい足音が、女性の足音に重なる。まるで、獲物を追う猟犬のように。

女性は俺の背後に隠れながら、意味不明なことを叫んだ。


「この人は私の彼氏なの!助けに来てくれたのよ!」


その言葉に、俺は一瞬凍りついた。何を言っているんだ、この女は。俺は彼女を知らない。助けに来たわけでもない。ただの通りすがりだ。そう言おうとした瞬間、不良たちが目の前に立ちはだかった。


「は?お前、何を...」


言葉を最後まで発する前に、不良の一人が俺を睨みつけてきた。


「おう、兄ちゃん。てめえが彼氏か?彼女を庇って逃がそうとは、いい根性じゃねえか」


その男の息からは、安酒の臭いがした。目は血走り、明らかに理性を失っている。俺は必死に状況を説明しようとした。


「いや、違う!俺は関係ない...」


しかし、俺の言葉は彼らの耳には届かなかった。女性は、この機に乗じて逃げ出そうとしている。


「ありがとう、マイダーリン!じゃあね!」


そう言い残し、女は闇の中へと消えていった。彼女の足音が遠ざかっていく。そして、俺は三人の不良と向き合うことになった。


「おう、兄ちゃん。いい男じゃねえか」

「ちょっと付き合ってもらおうぜ、え?」


不良たちの目が、獲物を捕らえた猛獣のように輝いている。俺は後ずさりしようとしたが、背後は壁だった。逃げ場はない。


結果は目に見えていた。俺は路地裏でボコボコにされた。拳が顔に、腹に、背中に降り注ぐ。痛みで視界が歪む。意識が朦朧としてくる。


「このくらいで勘弁してやるよ」


不良どもが去っていく足音が、遠くに聞こえる。ボロボコに打ちのめされ、俺はもう何もかもがどうでもよくなった。冷たいアスファルトの上で、俺は横たわっている。


(くそっ、立ち上がろうとしても力が入らない...)


視界が徐々に暗くなっていく。意識が遠のく中、今日一日の出来事が断片的に蘇る。卒業式の厳かな雰囲気、友人たちとの打ち上げの賑やかさ、そして今この瞬間の痛みと屈辱。


(こんな形で高校生活が終わるなんて...)


目の前がぼやけていく。街灯の光が、だんだんと遠ざかっていく。体の痛みも、不思議と和らいでいく。


(ああ、これで全て終わるのか...)


その思いと共に、俺の意識は完全に闇に沈んでいった。路地裏に、青年の倒れた姿だけが取り残される。春の冷たい夜風が、その体を優しく撫でていった。街の喧騒が遠くに聞こえる中、青年の意識は深い闇の中へと沈んでいった。

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