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夢現

女の子は夢を見ました。

とてもとても嫌な夢です。


「どうしてあんたが生きてるのよ!」


女の子は、仕事から帰ってきたばかりのお母さんに平手打ちをされました。

女の子のお母さんの目や鼻は赤く、まるでさっきまで泣いていたかのようです。


「あの人は死んじゃったっていうのに、どうしてあんたは…あんたは」


女の子のお父さんは、女の子が幼い時に交通事故が原因で死んでしまいました。

それが原因で時折、女の子のお母さんは泣く時がありました。

元から精神的に弱い人でした。

仕事で嫌な事があった時は、そうして女の子にぶつける事が多かったのです。

女の子のお母さんは、また平手打ちをしました。


「どうして…どうしてなのよ!!」


何回も何回も叩かれました。

女の子の頬が真っ赤になって青くなっても、まだまだ叩かれます。

お母さんの息が荒くなってきました。

すると女の子のお母さんは、今度は蹴り始めたのです。

無抵抗な女の子は転がります。

ごろごろごろごろ。

そして階段の近くまで、転がりました。


「あんたなんか、生まなきゃよかった」


突然ふっと、体が宙に浮いた気がしました。

しかしそれは一瞬の出来事で、次の瞬間には何度も何度も叩きつけられるようにして階段を転がり落ちていきました。

目の前で何回も光が瞬いては、消えていきました。

女の子は何かに耐えるように、目を瞑り歯を食いしばりました。

高そうな敷物は、女の子の血と涙を吸って薄汚れます。

“あんたなんか、生まなきゃよかった”その一言が、頭の中で何回も何回も再生されるのです。

何を言われてもされても、女の子は平気でした。

でもその言葉だけは、引っ掛かって抜けないのです。

夢も現も、女の子はお母さんの事ばかりでした。

寝ても悪夢、覚めても悪夢。

けれど女の子は、お母さんに何をされても憎む事は出来ませんでした。

きっといつか愛してくれるという期待をどうしてもしてしまうのでした。

だって、子供を愛してない親なんていないと言うでしょう?

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