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御伽噺の恋物語
あるところに女の子が一人おりました。
これはたった一人だけの恋物語です。
私の世界では大切な登場人物は私しかおりません。
それ以外はぼんやりとした景色に過ぎないのです。
顔すらはっきりとは分かりません。
叶う事のない恋物語。
ありふれた御伽噺をなぞるように歪められた私の物語は、誰の耳に入るでしょうか。
誰の心に届くでしょうか。
きっと皆無でしょう。
誰も私を理解する事は出来ない。
誰も私に触れる事は出来ない。
人にすらなれない景色に私は、当てもなく語り掛けるのです。
貴方は聞いてくれますか?
哀れで惨めな私の恋物語を。