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朧京森(ろうきょうしん)

霜月の朝

作者: とおか

とおかです。

また謎回ですね

ごめんなさい

霜月(しもつき)の朝


◇◇◇


 まだ日も明けない朝早く、一人の妖精が冷たい地面の上で踊っていた。しばらくすると妖精がステップを踏む度に、ぎゅっぎゅっという音が地面からするようになった。


 夜明けが近づき、小鳥も目を覚ます。


 空がぼんやり明るんで小鳥が寒空(さむぞら)に羽ばたくと、妖精は驚き姿を眩ませてしまった。


 そして日が明け、人々は妖精の踊った跡を見て冬の訪れを感じるのだった。


◇◇◇


 踏みしめる地面がぎゅっぎゅっと音を出す。


冬の到来を告げる妖精。その(うわさ)を聞き、もう冬かと思ったのは数日前。その矢先、突然に厳しい寒さがやってきた。暖房はまだ早いからこうして歩き回っているのだ。


 人里離れた森を歩き、寒さで動きにくくなった頬をほぐす。ふと木々の合間に奇妙な物が見えた。


 透き通るそれは氷だろうか。


 近寄ってみるとその全貌(ぜんぼう)が明らかになった。それは確かに氷で、私の二倍くらいの高さがあった。しかし大きさは別として私はこれを見たことがあった。


 細い柱が束になったような氷の結晶。


それはまさに、霜柱そのものだった。



 とても大きな霜柱。それは明らかに普通の自然によるものではないだろう。普通でない自然。例えば妖精の仕業だろうか。


 真実を突き止めるべくあたりを見渡し手がかりとなる情報を探る。

そして、すぐに地面の上に残された足跡に目が止まった。


 普通の霜柱を踏んでできた真新しい足跡だ。


 もう少し苦戦を期待していた私は半ば落胆し、足跡の向かう先に向かって歩き出した。



 足跡の先には一人の少女がいた。軽快なステップを踏んで踊る少女は楽しそうにずっと踊っている。


その時、私が手を掛けていた低木の細枝がポキッという音とともに折れた。

 その音に少女は振り向いた。黄色いイチョウの葉を象った髪留めをつけている。


 少女は慌てて逃げようとし、しかしさっきまでの軽快さはどうしたのか、足をもつれさせて、そのまま転倒。

そしてうつ伏せに倒れた先からさきほどの巨大な霜柱が一瞬にして生えた。


 呆気にとられた私は呆然としていた。しかし少女はたった今できた巨大な霜柱の壁に後方を阻まれあたふたしていた。


「あ…囲まれた、やだよ、死にたくないよ、ごめんなさいごめんなさい、ああだめ、食べないで、私オイシクナイ…」


 少女はすごく動転して言葉を並べていく。私を熊か何かと間違っていないか?


 私がためらいがちに声をかけると「ひっ」と悲鳴をあげて頭を抱えて小さくなってしまった。


 なんかデジャビュを感じるなあ。


 とりあえず私は近寄ると少女の傍に座り背中をさすって落ち着かせた。


◇◇◇


「じゃ、じゃああの氷のやつを作ったのはあなたじゃないの…?」


 当たり前じゃないか、て言うかあんたが作ったんじゃないか。


千雪(ちゆき)にそんな力ないよ」


千雪という少女は「えー?ないない」首を振るが、やはりこいつがやったようにしか思えない。


「いいからやってみろ。」


 そう促すと、渋々といった様子で両手を地面に打ち付ける。案の定、大きな霜柱がずんっと生えた。


「ふえええええええええええええ!?」


千雪はそれを見上げ、空に向かって絶叫した。


◇◇◇


「改めまして!霜柱の妖精、白初千雪です!」


 千雪は嬉しそうに笑った。大きな霜柱を作れると分かってから千雪は嬉しそうに細い氷の柱を生やしていた。


 その駆け回る足元からは普通の霜柱が地面を盛り上げていく。


 足で地面を踏むたびに霜柱が出来ていくので霜柱の妖精と(うた)っていたらしい。


 いつの間にか霜柱を生やす力が強くなっていて、自覚のないまま氷の柱が空から降ってきた自分への攻撃と勘違いし、ずっと怯えていたそうだ。


 ここしばらく霜柱が少なくなったと思っていたがそういうことだったのか。

明日から巨大な霜柱の被害が出なければいいんだが…。



霜月の朝 おわり?

次こそ頑張ります…

多分…

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