2.1.水の魔法使いは、いったいどこから水を放出しているのか?
私たちは前章で、「火の魔術」についての考察を行いました。火の魔法使いが身体から発している火のようなものはあくまで火“のようなもの”に過ぎず、その実体はオーラとして形容したほうがふさわしい。――このようなことが前回までで確認されました。
「火の魔術」を中心に据え、帰納的に考察を進めることは、まだ今の段階では難しいようです(私には、難しいことのように思われます)。
そこで一旦章を区切り、新しい魔術を考察してみましょう。火の魔術と並んでイメージの湧きやすい、水の魔術についてです。
また水の魔術は、火の魔術に比べても、納得のいく説明のしがたい要素を保有しています。もっとも説明しがたいのは、「水の魔法使いは、いったいどこから水を供給しているのか?」という問題です。水の魔法使いの描写で多いのは、水の魔法使いが術式を唱えた途端、空間に魔法陣が出現して、そこから水が溢れだすといった描写です。しかしながら、別に水の魔法使いは巨大なタンクを保有しているというわけではありません。魔法の一環として、水が出現しているようです。
水の魔術における「水の供給問題」は、二つの小問題を要素として成立しています。一つ目が「そもそもあれは水なのか?」という問いで、二つ目が「その水の供給源は何か?」という問いです。一つ目の質問と二つ目の質問は相互に連関しあっていますが、ここはひとまず考察しやすい二つ目の問いから検討してゆくことにしましょう。