1.1.火の魔法使いは、着ている服に引火しないのか?
頭のなかで「火の魔法使い」というものを連想してみてください。男でも女でも構いません。そしてその「火の魔法使い」が、実際に火の魔法を使う場面をも連想してみてください。
ブラウザ越しにこのテキストを読んでいる読み手の中には、「手から火を放つ」という場面を想像した方もいると思います。
「手から火を放つ」タイプの火の魔法は、ゲームなどで多く登場します。今回はそんな「火の魔法」について、少し考えていきたいと思います。
まずはじめに考えられる疑問として、
「どうして火の魔法使いは、着ている洋服には引火しないのか?」
という問いが考えられるでしょう。
某世界一有名な配管工は、火の玉を手から放って焼き栗を作っていますが、着火に失敗して衣服に引火し、プレイヤーの目の前で火柱になった前例はこれまでもありません。
しかも彼は手袋を通して火を放っています。これは「着衣が耐火性だから」という理由では説明しかねます。もし手袋が耐火性ならば、火を放つことはできませんし、もし手袋が耐火性でないなら、上記の通り引火してしまうかもしれません。
この問題は更に、幾つかの重大な問題も孕んでいます。まず第一に、「どうして炎を身にまとう必要があるのか」という問題が浮上してきます。別にわざわざ炎を手や足から噴射する必要はないわけで、たとえばドラゴンのように口から炎を発射することができれば、設定も描写もかなり楽になります。
そして第二に、「そもそも炎の魔法では、いったい何が燃え盛っているのか」ということも重要な問いになってきます。上述の火の玉を例として取り上げると、あれは手から射出された後、奇妙なことにバウンドしながら遠方まで飛んでいきます。
バウンドして遠くまで飛んでいけるほどの素材が、火の玉には含まれていることになります。翻って考えてみれば、それは「魔力が燃えている」ということになるはずです。しかし、「魔力は可燃性である」と考えてしまって本当によいのでしょうか。