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3.属性魔術の問いについての考察

 長い長いおさらいを終えた上で、ここから本当に属性魔術について考えてゆきたいと思います。

 「属性魔術とは何か」などといったもったいぶった考察をするつもりはありません。多くの和製ファンタジーでおなじみの通り、たとえば「火の魔法」や「水の魔法」、あるいは「光の魔法」というように何か一つの特性にのみ特化した魔術のことを、ここでは「属性魔術」と呼ぶことにしたいと思います。


 さて、そうなると一番初めに疑問として浮かび上がってくることがあると思います。それは、

「一体どれくらいの属性を魔術として数えることができるのか」

 という問いです。


 属性魔術に関しては、むろん多いに越したことはありません。しかしながら、いかに“魔法”が超自然的な存在であるにしても、その“魔法”を設定として思いつくのは、ごく普通の書き手であるということ、そしてその読み手もまた、ごく普通の読み手であること、ということは肝に銘じておかなくてはなりません。


 要するに、属性を設定として作りこむのが普通の書き手(魔法が使えない)である以上、描写に限界があるばかりではなく、革命的に突飛な“魔法”を考えつくことは困難です。そしてもし和製ファンタジーに革命を引き起こすような、ものすごい“魔法”の設定を書き手が考えついたにしても、それを受け取る読み手が「ついていけない」と判断してしまえば、せっかく作った設定が本領を発揮する前に、読み手に飽きられてしまいます。


 しかし翻って考えてみれば、たいていの人が設定する属性魔術というものは、ある程度幅が限られてきます。それゆえ上の「一体どれくらいの属性を魔術として数えることができるのか」という問いに対しては「思いつく範囲で分かりやすいものを数え上げればよい」と答えておけば、当面は差し支えのないものと私は考えます。


 しかしながら、この数えるという作業の中に、属性魔術の大きな問題が含まれています。

 2000年代前半にリリースされたGBA用ゲームの中に『マジカルバケーション』というソフトがあります。知る人ぞ知る名作であり、未だに多くの根強いファンがいるゲームです。ストーリーの説明はこのテキストの趣旨でないので省きますが、タイトルから示唆される通り「魔法」が重要な要素として作品に組み込まれています。


 その魔法こそ、今回私が考察している「属性魔術」の類なのですが、この作品は、密かに革命的な設定をちりばめています。

 まずは属性の種類について。このテキストを読んでいる読み手の方は、どのくらい多くの属性を思いつくことができるでしょうか? 「火」、「水」、「木」、「雷」、「氷」、「風」、「毒」「音」、「土」、「光」、「闇」など、一文字で表せる属性ならば、どれだけ根気よく考えつこうとしても、おそらく十個程度が限界ではないでしょうか。


 しかしながら、このゲームは属性に関わる問題を軽々と乗り越えていきました。属性は合計で十六個あり、「火」や「雷」といったおなじみのものもあれば、「美」や「古」そして「愛」といった、いったいどのような属性なのかすぐには理解しかねる属性も数多く存在します。


 ここで問題が浮上してきます。すなわち、

「属性魔術はどこで線引きをすべきなのか」

 そして

「『美』や『古』といった抽象概念は、属性として取り扱われるべきなのか」

 といった問いです。


 具体的な例として、火の魔術、雷の魔術、光の魔術を考えてみましょう。いずれも特性として「光を発する」ことがあげられますが、ではこの三つはどのようなグラデーションにしたがって別々にされているのでしょうか。もちろん「火の魔術」と「雷の魔術」を科学的な知見に基づいて分類することは可能です。


 「光の魔術」についてもそうかもしれません。ですがたいていの和製ファンタジーにおいて、「光の魔術」は重要な役割を担わされています。もっとも顕著な例としては「闇の魔術」と対比されることです。すなわち、邪悪な闇の魔術に対抗する聖なる手段として、光の魔術が登場するわけです。


 そうなると、光の魔術は、単にルクスで換算して説明できる以上の“抽象的な”役割を担っていることになるわけです。「『美』や『古』といった抽象概念は、属性として取り扱われるべきなのか」といった問いが成立するのも、上記のことが理由になるわけです。


 浮上してくる問題は、これだけではありません。属性魔術を設定する際に、必ずといっていいほど浮上してくるのが相性の問題です。典型的な例としては、水が火に強かったり、光が闇に強かったりします。この、

「属性同士の相性について、どの視点から線引きをすべきなのか」

 ということも、大きな問題として立ちはだかってきます。


 以上の問題を一気に解決することは、私にとって至難の業です。したがって個別具体的な問題を可能な限り考察していく過程で、何かしらの体系化が可能ならばよいなと考えております。

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