不幸の始まりは突然に
それはまだ、私たちが同じ中学に通う前の話しにさかのぼる。
「じゃあ、莉乃はそれやって!私これやるから!!」
「由依子またぁ??もう二回目だよ」
「いーの!!」
まだ小学校低学年だった私は、一人っ子でかなり可愛がられて育てられたからか我が儘で歪んだ性格をしていた。
「ありがとう」と素直に言えず、悪戯好きのわんぱく。
まるで男の子のような性格だったのである。
「あー、また由依子ちゃんがイタズラしてるー」
「由依子ちゃん、ダメだよ!!」
「いいのっ!!」
ペシッ
「う、わぁぁああん!!!」
「あー!!先生、由依子ちゃんが人のこと叩いたー」
「私は悪くないもん!!」
好き勝手やって、毎日自由に暮らしてた私に、不幸が起こってしまった。
_ある日の夜
母「あの人が…死ん、だ?」
『残念ですが………』
夜ご飯を食べながらテレビを見ていた私とお母さんは、「お父さん遅いねー」と話していた。
突然電話がなったと思ったら、電話に出たお母さんが放心してしまった。
驚きで見開かれた目、母の口から出た"死んだ"という言葉は幼い私には理解が出来なかった。
「お母さん?」
「由…依子、どうしよう…お母さんわからないよ」
「お母さんどうしたの??」
「お父さんが…あの人が!!し、死んだのよ…殺されたの!!!!」
母の必死の叫びは私の心にまで響いた。
母の頬に伝う涙、震える体と声…
私の体に恐怖が襲った。
何が原因かはわからない、深い闇にいるような感覚。
背中からゾクゾクした悪寒が走り、体が動かなくなった。
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