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ウサギさん

ウサギさん罠にはまる

作者: みず

「…っいた!」


殿下の側にいるであろう、やたら権力もったっぽいひと!


「今日はやたらと歓迎ムードですね、お嬢様」


大歓迎ですとも!頼みの綱はあんただけなの!

宮殿の庭に唯一現れる人は なぜかこの男のみ。

あなたに頼る以外方法は皆無なのです!!!

姉が正妃になるための道具として 正妃筆頭候補として放り込まれ、うまい具合に姉がのぼりつめつつあるらしい。あとは邪魔者の私、正妃筆頭候補を消し去るのみ…、っと、義母から言い聞かされている。

姉と継母にとって 妾腹の私は利用する道具でしかない。消される!消される前に逃げなきゃ!


「私を待っていらしたようですが」


「待ってた!ここから出して!手付かずの側室のひとりやふたり、消えたって誰も気づきやしないわ。私がここにいることが公にでたことなどないし、私の存在自体が公になっているのか怪しいものなの!どうしてもでないといけないの!どうしてもっ!」


がしっと力を込めて腕をつかむ


名前も遡上も筆頭候補ともこの男の人に言ったことはない。

公の場にもここに来るまでも、来てからもまったくでてない。

こいつは私を誰だか知らないはず!だから、お願いよ。きいてちょうだい!


「消されるというのは、少々大袈裟な気がしますが…この状況からお救いすればよろしいんですね?」


「そうよ!」


「では、代わりに私のお願いを聞き届けてくださいね」


フェアでいかないとって

…なによ…

男なら駆け引きなくレディが困ってたら助けなさいよ!


「是非、私の妻に。」


なんですとぉ?今なんとおっしゃいまして?

このひと正気ですか?

言葉が出てこないんですけど?


「ここをでてからどうするおつもりで?」


あるわけがない。継母のいるあの家に帰れるとは思ってはないけど!

帰りたくもないけど!!


「衣食住保証しますよ。働いて生活することができますか?」


いや、頑張ればできるような気がする!世の中なんも知らないけど!

でもいきなり?嫁?

それってめちゃくちゃ怪しくない?

宮殿に しかも このエリアにはいることができるということは 身分もそれなりにあり 良識もあり、持ち主、要は皇太子殿下にも信頼されているにちがいない。のに。


「どうなさいますか?あまり時間がないのでそろそろ時間なので行きますが?」


え…。でもこのひとの名前をはじめなにもかも知らないし!

何を基準に判断しろって?


「もう待てませんが。」

でも、背に腹は変えられない?


「わかった!わかったから!なんとかして!」


「その言葉、忘れないでくださいよ。我、妻よ。」


だきよせられ、軽く唇にちゅっとされる。

おわ!いきなり?


「では、この状況下からお救いしましょう。日が落ちるまで、この部屋にいてください。夜になったら移動します。」


庭つたいに連れて入られたのは、ここは私の隣の部屋?

華やかな色使いではないけれど落ち着いた感じにまとめられた部屋、シンプル且つ高そうな家具が…


「この時間からは誰もここにはこないことが確認とれてますから、安心してください。出歩いちゃだめですよ。このお茶でも飲んでゆっくりしててください。

では、私は行きますが。約束を忘れてはだめですよ。」


ほえ?ちょっとまて。なんでまたこの建物?すぐ隣の部屋?

って、またちゅ?


妻って私は結婚するのか?名前かえてしまえば、周囲にばれない、とか?

いや、いったいどうなっちゃってるの?

確かにここから出てしまえばいくとこなんかないに決まってるけど、なんかおかしくない?


しかし この お茶 うま!!!!

うまいよ。

調子にのって飲んでたら なんだか 眠たく…

なんか おかしいな。隠し味にお酒でも入ってたんだろうか…





「いいかげん、起きたらいかがですか。そのままイタダイチャイマスヨ」


うわ!寝てた!!しかもここどこ!さっきの部屋と違うし!

しかもなんで寝着に着替えてる?なんでベッド。なんでこのひと私の上にのっかってるの?

いっぱい疑問が一度に浮かんだけど 


「ここどこ!?」


っと、まず一番知りたいことをぶつけてみると

色気駄々漏れの表情で、くすっと笑われる。

「私の別宅です。本宅は今要らないものを処分してすっきりさせてるんです。のちにご案内しますよ。」

別邸 って なにそれ オイシイノ?

別邸を持てるほど財産をお持ちということか、

しかも 別邸なのに こんなに…広そう…。


「なんでこんなかっこ?」

私の髪の毛を指でとかしながら

「よくおやすみでしたので。」

寝てたからって 着替えさせてあげないといけないとは 言わないから!

そして、うおぉ!低いボイスで耳元でささやかないでぇ!体が熱くなるー!


うぉ!耳はむはむしないで!


「逃げちゃだめですよ。妻になると約束なさいました、よね?」

なんですと!!!

いきなり?いきなりぱっくんですか?

昨日の今日?いやまだ日付越えてないか?越えたのか?

もっと、お互いをですね、って聞いて!


「逃げ足はあるようなので、逃げられちゃ困りますからね。式もあげますよ。そこそこ私は有名人なので、大きくやらないと後々厄介なんですヨ。でもそれまであなたをそのままにしたら、逃げ出す恐れがありますから。」


にげ!


そりゃ否定しないけど。しないけど、でもその日にぱくってないとおもうのですよ!


「あなた誰!って言うか!手はや!ちょっ…まっ…!」


脱がされてるし!


「私はシッテマスヨ?」


知ってるって何を?!さわさわしないで!ビギナーには刺激が強すぎますよ!

そして 何を知ってると言うの!


「そろそろ黙ってくださいね」


って体にいうこときかすのやめてー!!







「ここ。皇太子宮ですよね…」


一週間好き勝手されつづけ、本宅の不要処分が終わったからと連れてこられた場所はなぜかスタート地点の皇太子宮の私の部屋。


「そう言われることが多いですね、」


「ダメじゃん!殺されるし!皇太子宮から出してっていったのに!!話が違う!一週間好き放題にしたくせに!早くうちに連れてって!」


「掃除、済んでますから心配要りませんよ」


…なんでため息つかれてる?


「はい?」


「本宅はここです。」


…はい?

呆れ顔で見下ろされ、どかっとリクライニングチェアに座って


「我が家はここ。」

いいのけた…。我が家はここ?


…なんで?


「城壁、デテマセンヨ。」


「処分は済んでるんで、お姉さんを心配することはありませんよ。」


なんですとぉ?


「不要処分って 処分って」


「側室の質が悪かったので、ご退出いただきました。城内で争うとは頭の軽い証拠です。」


はい?


ちょっとまて。情報整理したい。

本宅はここ。側室は退出。

要らないものを処分って側室?!


「…殿下って、呼ばれたりします?」



「あなたは妃殿下と呼ばれるようになるでしょうね」


なんですとぉ!


「姉はここから出たと?」


「ええ。今頃別のオオカミにぱっくりされちゃってるかもしれませんね…」


…いったいどういう意味ですか。義姉はいったいどうなったんですか。

でももっと敵に回したら大変なことになるひとの側にいまいる気がしますよ。

オレサマな腹黒の策士!しかもドS。


「私も一緒にだしてもらえちゃったり…」


「諦めなさい。この一週間を私が無駄にするとでも?御手付きなので無理ですよ。あ、公示もすでに済んでますから。」


っということは?


「世間に后と公示されたので、公の場にもでていただきますよ。」


「いや違うから。なんで私はでられない?私はここから出してくれと頼んだのよ!」


「だから、あなたは御手付きで、他は触れていないからですよ。いいかげん諦めなさい。だいたいこの状況から救い出す約束はしましたが、ここから出すとは言ってませんよ。」


諦めなさいって おいおい、そんな次元?


「私が出たがってるのしってたくせに!」


「私が誤解してるのわかってて、皇太子なのらなかったくせに!」

私は叫び続けるよ!!!不満だよ!!!!!

「それは私のしったことではありませんよ。私たちが会っていた庭は正妃の庭ですよ。皇太子と皇太子妃しかはいれるはずがない。更には 国の皇太子の顔を知らない世間知らずはどなたですか。ぼくは皇太子 よろしくね なんていまだ嘗て挨拶したことなどありませんよ。まだ続きを言ってもいいですか?」


…阿呆ですねって顔に書いてある…


「想像つくからいいです。」


姉に道具として放り込まれたあげく 、姉の獲物が実は羊の皮を被った狼とも知らず 獲物に近づかれたあげく まんまと獲物の策にはまり 罠の餌にされ、罠が成功したとわかったとたん

獲物の餌にされたんですね…


なんておばかなんだ私!



「こんなにまんまと罠にかかるんだから、妃として役立つわけがないですよ。なかったことにして、狼は狼同士…」


「…狼?ならうさぎちゃん。お勉強してください。あと半年ほど。やたらめったにうなづかなくなったら合格です。」


へなへなっと立っていられなくなり座り込む。


「…嵌めたわね。」



「頑張ってくださいね。狼が羊の皮をかぶることができるなら、ウサギは虎の威をかうぐらいのことしてください。狐はやるらしいですから。狐は追い出したんで。」


狐って姉たちのことですね…。

女狐っていうもんね…。


耳元で囁かれるのに弱いと確定されたのかいつのまにかやってきて、しゃがみこんでる私にそう囁いて、座り込んで麻痺した私をひょいっと抱き上げる。


まずは脱走しないように足枷をさらにはめときますか。っとぼやきながら どこいくの!?


あんなにしたし!もういいし!おなかいっぱいだから!助けて!


「手付かずの側室ではなくなりましたねぇ、御手付きしまくった嫁なので、いなくなったら気づきますよ」


耳元で囁くのやめてぇー


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― 新着の感想 ―
[良い点] 話の構成がスッゴク好きです!!できれば続きをお願いしたい!
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