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第四十話 再生Ⅲ

町は活気にみちていた。町の内部に限定されてはいたが、竜人たちが主導して霊導線(電線)を実装しようとしていた。霊導線は霊柱(電柱)によって高い位置に設置された奇妙な銅線で、黒樹脂という皮膜に覆われている。霊導線は陽光を受けて鈍く光りながら張り巡らされていた。


さらに竜人たちはこの霊導線を利用して、霊報(電報)という仕掛けを試そうとしていた。彼らは資金集めを兼ねて、この霊報の仕組みを人間や天使に大々的に公開していた。


金属の箱の内部で、微かに霊力が唸るような音を立て、黒い針が小刻みに揺れる。


人間や天使にとって、霊報はまだ目新しい仕掛けだった。だれもがこぞって小銭を支払い、順番を待った。

銅貨の触れ合う軽い音、

期待を含んだざわめき、

息を詰めるような沈黙。

針が走ると、かすかな震えが箱から伝わり、「おお……」という低い感嘆が、波のように広がった。見えぬ糸で人と人とが結ばれたかのような、不思議な高揚がそこにはあった。


また、なにか新しいことが始まる。町は春の若草のように活気づいていた。


そのような町にあって、青年メロウはついに意志を固めた。凍えの残る空気がメロウの頬をはたく。メロウは木箱に乗り、労働者たちに向けて自分の声を発した。ウィル王の悲劇。一年前の自分がいかに間違っていたのか。それを率直に告白した。霧のように白くかかった自身の吐息が、言葉のたびに揺れた。


その告白は意外な反応をもたらした。メロウの告白に耳を傾けたのは労働者ではなかった。労働から落後した貧しい乞食たちだった。長く血の道の病に苦しむ女性がいた。咳を抑える者もいた。壁にもたれかかる者、包帯の下から膿の匂いを漂わせる者たちがいた。彼らは労働者から見放された者たちだった。彼らはひそかにウィル王を信奉していて、メロウの素朴な神学的解釈をむさぼるように吸収した。


メロウは危険を承知していた。そのような貧しい者たちに向かって、ウィル王に従った闘士たちの醜い裏切りを告発した。自身を含む天使隊の残党がウィル王に死をもたらした大罪を告白した。言葉にするたび、胸の奥が締めつけられるように痛んだ。


そうして、ついに自らの新しい信仰を声にして発した。


——あなたの死者は生き

彼のなきがらは起きる

塵に伏す者よ

さめて悦び歌え


メロウは天使聖典の一節を一つ一つ指差し、詩編がウィル王の生涯を語っていることを熱を持って説いた。詩編が復活を語っている以上、ウィル王もまた必ず復活することを断言した。


しかし。決してその反応は良くはなかった。貧民たちはウィル王を尊敬はしていたが、人間以上の存在とは考えていなかった。復活という観念も決して快く受け入れられなかった。当初、メロウを熱っぽく見ていた視線がひとつひとつと離れていく。


最後に残ったのはヤハナの暗く醒めた視線だけだった。


さらにメロウに追い打ちをかけたのは、司祭メアリからの説教だった。メアリはまったく独自の視点からウィル王の復活を説いていた。メロウは天使信仰の詩編に従ってウィル王の復活を説いていた。


司祭メアリは、メロウの告白を聞き及んでいた。そしてメロウの神学を天使信仰に依り過ぎていると指摘した。責める声ではなかった。だが、その静けさが、かえって重く胸にのしかかった。


天使の青年メロウは、自分は一人だ、と思った。


そのようなメロウを、ヤハナが闇色の眼で見つめていた。その瞳は透明で中立だった。ヤハナにそのように見つめられるたびに、メロウはなぜか哀しい気持ちを覚えた。


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