表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

咆哮



笑うな。

笑うな。

笑うな。

笑うな。

笑うな。

俺を見て笑うな。


胸の奥で何かがうねった。

低く、重く、腹の底から響く音。

人間の声じゃなかった。


鼻の奥に鉄の匂い。

汗と血と恐怖が混ざった空気を、肺がむさぼる。

心臓が獣みたいに暴れ出す。



誰かの叫び声が遠くで弾ける。



——どうでもいい。


黙って何も出来なかった……いや諦めて何もしようとしなかった弱い[僕]はもういない。


笑われてた俺も、

殴られてた俺も、

全部剥がれた。


残ったのは、牙を持つ何か。



机が倒れる。

足音が逃げる。

教室が狭い檻みたいに軋む。


「逃げんなよ……」


唇の端から血が落ちた。

熱い。喉の奥で唸りが震える。


あぁ、やっと息ができる。

やっと俺になれた。


爪が食い込み、

掌に血が滲む。

痛みが心地いい。


この匂い、この熱、これが生きてる証だ。


もう人間の言葉なんていらない。


もう誰にも従わない。


俺は吠える。


腹の底から、世界に向かって。


「聞こえるか——

これが俺だああ!!」


「これからは死ぬ気でかかってこい!!」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「良い点」 読みやすくて感情がダイレクトに伝わってきます。 「一言」 主人公のように獣となったとき、人は意味を持った言葉を発さないのではないでしょうか。咆哮と、一単語がせいぜいでは。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ