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皿洗い  作者: 古狗
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[第四章]

三田君は時々夜中に外へ出ては帰ってくる。その度に起きてしまうので迷惑だった。それを伝えたら夜中に音がしなくなった。出歩くのを止めたのかと思ったら、音を出すのを止めたとのことだった。今一つ距離感がつかめないし、ヤモリみたいで気持ち悪い。

そうこうしていると、ある夜三田君に起こされた。次郎吉さんが見付かったと言う。バイトと卒業後引き続きの就寝活動でふらふらの私はひどく機嫌が悪かった。いい加減にしてよと泣き叫ぶと(本当に涙を流していた)、三田君は心底申し訳なさそうに、

「最後のお願いですから。次郎吉を捕まえましたらこの町から出て行きます。きれいさっぱり消え失せます。お嬢さんの、皆さんの記憶からもきれいさっぱり跡形もなく。」

と言った。記憶から消えるってまた訳の分からないことを言うし、悲しくって辛くって涙が止まらない私は

「そんなにお願いばっかりで、私一人が馬鹿みたいじゃない。私なんか生まれてからずっと願いが叶ったこともないし、幸せだったこともない。何か頼むんなら一つくらい私の願いを叶えてよ。」

と叫んでしまった。三田君はしばらく間抜け面をしていたけど、

「確かにお願いするばかりでいけなかったです。お嬢さんの願い叶えさせていただきます。」

と言った。私はそれで急にしゅんとなってしまって、騙されたように着いて行くことになった。

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