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カボチャ時々お菓子  作者: 甘夏 みかん
黄金の野菜
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 色々な液体で汚れた為、しおんとカーディナル、あんずは、隣にあるリーフグリーンの家で順番に風呂を借りた。黄金の極上野菜を欲する客が居なくなったというのもある。ということで、ゆっくりと風呂に浸かり、着替えと洗濯機まで借りる時間があった。但し、カーディナルだけアイボリーが買ってきた服を着ている。全員綺麗になったところで、あんずはレイブン同様に普通のキュウリを買いに行った。


「カーディナルはいい加減に休んでろ。次は俺がやる」


「はーい」


 リーフグリーンマートに戻った矢先、カーディナルの頭を撫でて気遣うリーフグリーン。流石に疲れたようで、カーディナルが素直に壁際へと移動する。風呂上がりの牛乳を飲みつつ、しおんもカーディナルの隣で次の客とリーフグリーンの試合の開始を待つ。至れり尽くせりだ。最近、木で鼻を括ったような態度を取られなくなり、しおんの中にあった苦手意識がどんどんなくなっている。良いことだ。


「それにしても、意外と買う権利を手に入れる客が少ねぇな」


「今のところ、俺しか勝ってないやん」


 各試合の勝敗を記録した紙を眺め、リーフグリーンが苦虫を嚙み潰したような顔をする。ついでに牛乳を貰ったアイボリーが、リーフグリーンの横からバインダーを覗き込む。希少価値を持つ為、数に限りがあるとは言え、爆弾発掘ゲームの勝者のみは厳しいのかもしれない。売りさばきたいのだろう。リーフグリーンも同じ考えに至ったらしく、「失敗だったか」と頭を掻く。

 すると、次の客こと救世主が現れた。前も後ろも短い金髪に青い瞳の男。仕事が休みなのか、スーツ姿ではなくラフな格好をしたセルリアンだ。セルリアンが食品サンプルを持ってブースに入る。手に持った食品サンプルは黄金の極上なすびだ。セルリアンはサンプルをリーフグリーンに渡して、悪戯っぽく双眸を眇める。


「じゃあ、俺が二人目の勝者になろうかな」


「セルリアンさん、マジ救世主!」


 感極まった表情のリーフグリーンがサンプルを投げ捨てセルリアンの両手を握った。放り投げられたサンプルを受け止めたカーディナルが裏側を見る。しおんも気になって横から覗き込んだ。裏側に貼られたシールには『象牙色』と記されている。カーディナルがブースから出て、カボチャを取りに行った。しおんは象牙色のカボチャについてアイボリーに尋ねる。


「象牙色ってどんなカボチャなの?」


「勝ったら誰かと手を繋いで友達を増やす友達カボチャやで。友達一人につき魔法の威力が百も増加するねん」


「なんか平和そうなカボチャだな」


 今までのカボチャの効果を思い返したしおんは拍子抜けする。肩透かしを食った気分で居ると、カーディナルがカボチャを二つ持って戻ってきた。リーフグリーンとセルリアンに渡して、それぞれから頭を撫でてもらい、「ふへへ」と嬉しそうに顔を綻ばせる。

 はにかむように相好を崩すカーディナルに癒やされた後、リーフグリーンとセルリアンがカボチャの軸を押した。象牙色のカボチャが超小型車ほどまで成長する。お互いの頭上に浮かんだカボチャを確認し、リーフグリーンが好戦的に緑色の双眸を煌めかせた。


「いくぜ、セルリアンさん。じゃんっけん、ぽんっ!」


「あっ、負けた」


「よしっ、カーディナル来い!」


「いいよー」


「『ローズヒュプノス』」


 最初のジャンケンの勝者はリーフグリーン。彼に呼ばれたカーディナルが差し出されたリーフグリーンの手を握る。しっかりと握り返したリーフグリーンが、気合いを入れた掛け声で魔法を放った。セルリアンのカボチャの下に大きな薔薇の花が咲く。薔薇がゆっくりと旋回して周囲に花弁を撒き散らした。カーディナルの分、増幅した魔法が、ゲージを二千から千五百に減らす。

 友達カボチャは威力をどんどん上昇させる為、千五百だとすぐに雌雄を決する。それ故、ゲージが二千に増えているそうだ。しおんはアイボリーから教わった知識を頭に詰め込み、改めて頭上に浮かぶ二つのカボチャを見上げる。そんなしおんの視線の下、カボチャの真下に居るリーフグリーンとセルリアンが、二回目のジャンケンを繰り広げた。


「おーし、また勝った。しおん来い」


「えっ、俺!?」


「どうせ全員俺が貰うからな。『チェリーブロッサムストリーム』」


 勝者はまたもやリーフグリーン。呼ばれたしおんは驚嘆しつつ、どこか嬉しさを湧き上がらせて駆け寄る。勝利宣言をしたリーフグリーンがしおんとカーディナルの手を繋げて魔法を撃った。セルリアンのカボチャの周囲に物凄い切れ味を誇る桜の花びらが吹雪く。

 カーディナルとしおんの分、二百も威力を上昇させた魔法が、ゲージを千五百から八百まで減らした。「リアンさん、相変わらずジャンケン弱いなぁ」とアイボリーが呆れたような目で呟く。図星を突かれて苦笑を頬に含ませるセルリアン。アイボリーの発言を覆すべく、三回目のジャンケンの掛け声を担当する。勝者はまさかのセルリアンだった。


「よーし、やっと勝てた! アイボリー、助けて!」


「しゃあないなぁ、威力上げたるわ」


「ありがとう。『ウォーターファントム』!」


 呼ばれたアイボリーがのそのそとセルリアンのところに向かう。アイボリーと手を繋いでから、セルリアンが水で出来た幽霊を大量に召喚する。攻撃力を増やした幽霊達がリーフグリーンのカボチャに群がり、ゲージを二千から千五百にした。



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