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カボチャ時々お菓子  作者: 甘夏 みかん
黄金の野菜
53/64

「次は俺がゲームをする。カーディナルは休んどけ」


「リーフさんと手錠で繋がれてたら休めないと思う」


 リーフグリーンがカーディナルの手首に魔法の手錠を嵌める。魔力回復薬を飲んだカーディナルが、自分の手首を見て半眼になった。カボチャの効果によっては、繋がれている方への負担が大きい。カーディナルの言う通り、休憩なんて出来ないと思う。

 しかし、カボチャの効果で様々なことをさせられるカーディナルを見たい故、しおんは思っているだけで口に出すつもりはない。黄金の玉葱を詰め込んだエコバッグを肩に掛け、アイボリーが撮影のベストポジションを探している。

 ブースの外で次の客の対応をしたリーフグリーンが、その客を伴ってブースに入ってきた。リーフグリーンの後ろを歩いている客は男だ。黒色の髪と瞳を持つ平々凡々な顔に眼鏡を掛けている。アイボリーの後ろに並んでいたのはレイブンだった。


「レイブンが選んだのは黄金のレタスだから、カボチャはこれだな」


「語尾カボチャだ。可愛らしい語尾のカーディナルちゃん、楽しみだなぁ」


「目的が変わってるぞ、お前」


 リーフグリーンから受け取った赤褐色のカボチャの軸を押し、レイブンがワクワクした表情で心を躍らせる。リーフグリーンと手錠で繋がったカーディナルが、レイブンの頭にピシッと軽い手刀を落とした。リーフグリーンが自分の分の赤褐色のカボチャの軸を押し、期待で胸を膨らませたレイブンの頭上に浮かべる。しおんはこれから始まる試合を更に盛り上げるルールを追加した。


「カーディナルはリーフさんが変な語尾になったら、魔法で語尾に合う服に着替えてね」


「俺限定なの?」


「だって別にリーフさんとレイブンの違う服装なんて興味ないし」


「そうやな。着替えるのはナルちゃんだけでええやろ」


「ふーん。俺のだけ見たいんだ?」


 首を傾けるカーディナルにしおんとアイボリーが本音を曝け出す。カーディナルが嬉しそうに双眸を眇め、満更でもなさそうな笑みを浮かべ、首を絶妙な角度に傾けた。頬を微かに赤らめており、胸から喜色を溢れさせていてかわいい。特別扱いが嬉しかったようだ。「仕方ないからやってあげる」と、嬉々とした声色と無邪気な笑顔で了承する。


「まっ、俺が勝てば何の問題もねぇしな」


「前の企画の時同様、今日も勝たせてもらうよ。じゃんっけん、ぽんっ!」


 ポンッとカーディナルの頭に手を置いたリーフグリーンが、好戦的に瞳を煌めかせるレイブンに負けた。パーを繰り出して勝ったレイブンが、リーフグリーンのカボチャに『スノウナイト』を突撃させる。雪で出来た騎士がリーフグリーンのゲージを千五百から千百に減らした。リーフグリーンが舌を鳴らす。


「チッ、幸先悪いガオ」


「がお?」


 リーフグリーンの語尾を聞いたカーディナルが呪文を唱えて自身の身体を魔法の光で包んだ。眩い光が何かの衣装の形に変わり、カーディナルのジャージを違う服に変換する。ふっさふさのたてがみとライオンの耳をつけたフード付きの着ぐるみだ。

 もこもことしていて温かそうなデザインで尻尾まできちんと生えている。カーディナルが指の爪先まで覆う肉球付きの手を顔横に持ってきて指を少し曲げた。ライオンや猫が爪を立てて敵を威嚇する格好で「がおーっ」と鳴く。


「かわえええええーーッ!」


「うわっ、がお」


 構えていたビデオカメラを投げ捨てたアイボリーが、助走をつけてカーディナルに飛びついた。スリスリと頬擦りされながら、カーディナルが慌ててビデオカメラを受け止める。地面に激突する前に救助された為、ビデオカメラはデータも外見も無事だった。

 アイボリーはビデオカメラに見向きもせず、「かわいい」を連呼しながらカーディナルを抱き締め、頬擦りをし、頭を撫でている。湧き上がる愛おしさを乱舞させて溺愛していた。ようやくハッと我に返ったレイブンが、真剣な表情で顎に手を当てて呟く。


「あんな可愛らしい威嚇をされたら攻撃性なんて根刮ぎ消える」


「そうだなガオ。それより、しおんは大丈夫ガオか?」


 一人静かに鼻血を垂らして片膝を突いたしおんは、うつむいたままリーフグリーンに親指を立てる。あまりの破壊力に一瞬だけ目の前が真っ白になった。気付いたら心臓を鷲掴みにされていて、鼻から赤い血液を垂れ流していたのである。ずっと握り潰されているみたいに心臓が痛い。次に肉眼で拝んだら灰になって消えるかもしれない。

 がおがお言っているカーディナルは名残惜しいが、他のお客様を待たせ続けるわけにはいかない。ということで、しおんの無事を確認したリーフグリーンが、レイブンと二度目のジャンケンをした。結果は、またもやレイブンの勝利。ゲッと顔を顰めたリーフグリーンのカボチャに、レイブンの魔法『アイスピューピル』が炸裂した。リーフグリーンのゲージが千百から五百まで削られる。


「勝利の女神が微笑んでくれねぇペン」


「ペン!?」


 リーフグリーンの変な語尾を聞いたカーディナルが面食らった表情をしてから悩む。思い浮かんだのか閃いた顔をした後、魔法を唱えて光で包んだ。登場したのは、ペンギンの顔をプリントした黒いフード付きの着ぐるみだった。語尾「ペン」から想像した動物はペンギンらしい。

 手は指まですっぽりとペンギンの手を模した袖に覆われている。腹の部分を白くした胴体の部分はもこもこしていて温かそうだ。胴体に縫いつけた足の部分は黄色いペンギンの足になっている。カーディナルは黒いペンギンの手を左右にパタパタさせ、「ぺんっ」と呟いた。

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