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カボチャ時々お菓子  作者: 甘夏 みかん
入学試験
45/64

 カーディナルとしおんのゲーム中、気付けば居なくなっていたセルリアンが戻ってきた。両手に大量のカボチャを持っている。今まで見た色のカボチャもあれば、見たことない色もあった。ビー玉サイズのカボチャを横一列に芝生の上へと並べる。


「今まで使ったカボチャの他に、追加で新しいカボチャを持ってきたよ」


「ノリノリだな、セルリアンさん」


「どうせ俺が手錠で繋がれるんでしょ」


「カーディナルちゃん、大正解!」


 苦笑するリーフグリーンの横で不貞腐れるカーディナルの手首にレイブンが手錠を嵌めた。もう何度も巻き込まれたカーディナルが、深く溜息を吐いて魔法の手錠を眺める。その間、カボチャに興味を示したしおんは、揶揄を孕んだ双眸を眇めたアイボリーに、どんな効果を持つのか教わった。

 カーディナルが巻き込まれると言うことは、即ち、カボチャによって色々な姿を見られるということだ。どうせなら新しい効果のカボチャを使ってゲームをしてほしい。しおんとアイボリーが悪巧みをする中。カボチャから離れたセルリアンがわかばに黄金色の手錠を差し出す。


「はい、わかば。これで誰か巻き込んでいいよ」


 瞬間、わかばがセルリアンから貰った魔法の手錠を、無防備なアイボリーの手首につけようとした。それを悟ったアイボリーが腰を上げて飛び退き、「おおーっと、そう何度も同じ手はくわへんで!」と、近くに居たリーフグリーンの手首を空いている輪にはめる。「おい、アイボリー! 俺を身代わりにすんな!」と、巻き込まれたリーフグリーンが不平を鳴らした。アイボリーとリーフグリーンが仲良く追いかけっこを始める。しおんはアイボリーの意見を聞かず一人でカボチャを選ぼうと吟味した。


「わかば、このカボチャにしよう!」


「分かったから離れろ、近い」


「拘束カボチャだね」


 ズイッと顔を近付けたしおんの胸を押し返してカボチャを受け取るわかば。カーディナルを連れてカボチャをもらいに来たレイブンが、軸を押しながら名前を当てた。選んだカボチャは鋼色の拘束カボチャ。負けるたびに身体や顔の様々な部位を拘束されるカボチャだ。しおんは目をキラキラと輝かせながら、自分の中に膨らむ欲望を高らかに叫ぶ。


「手首や足首を縛られたり、目隠しをされるカーディナルが見たい!」


「俺限定!?」


「まあ、レイブンが拘束されたって面白くもねぇしな」


「リーフさんって僕に対して冷たくない?」


 叫喚するしおんにカーディナルが驚嘆する。アイボリーを捕まえて拳骨をお見舞いしたリーフグリーンが、しおんの意見に同意を示してレイブンにツッコミを受けた。木で鼻を括ったような態度は謎だ。しかし、確かにレイブンが捕まったところで面白さの欠片もない。しおんが見たいのは拘束されたカーディナルなのだ。それを理解しているのか、レイブンは苦笑しつつもリーフグリーンを問い詰めない。


「それじゃあ、リベンジマッチやろっか。じゃんっけん、ぽんっ!」


「げっ、負けた」


「マジかよ。って、うおおっ!?」


 レイブンの掛け声で行われたジャンケンはわかばの負けだった。パーを繰り出して敗北したわかばに巻き込まれたリーフグリーンが、手首をギュッと縛られる。何故か無事なわかばのカボチャにレイブンが攻撃した。チョキで勝利した時の魔法は『アイスピューピル』。裸眼で見た対象を瞬時に凍り付かせる魔法だ。わかばのゲージが一気に九百まで削られる。


「なんでリーフさんだけ?」


「拘束カボチャはゲーム中の人より巻き込まれた人を優先するからやで」


「へー」


「なんで俺を見るの?」


 しおんは隣に戻ってきたアイボリーに尋ねた。涙目で頭をさするアイボリーの回答に、不敵な笑みを浮かべてカーディナルを見つめる。カーディナルが怯えた様子でしおんから視線を逸らした。巻き込まれた人を優先するなら、レイブンが負けた場合、拘束されるのはカーディナルだ。楽しみが膨らんだ。


「すごい。アイさんとしおんくんから僕に負けろって圧がかかってる」


「頑張れ、レイブン。俺が手を握っててあげるから」


「ありがとう、カーディナルちゃん。いくよ、わかばくん。じゃんっけん、ぽんっ!」


 苦虫を嚙み潰したような顔で苦笑したレイブンが、カーディナルにギュッと右手を繋いでもらえて明るくなる。外野からの圧に負けず。瞳を好戦的に煌めかせたレイブンの手はチョキ。またもや、パーを繰り出したわかばの負けだった。しおんはあからさまに肩を落とす。申し訳ないが、リーフグリーンが幾ら拘束されようが、興味など欠片も浮かばない。


「おい、わざと負けてんじゃねぇだろうな」


 柔らかい布で目隠しをされたリーフグリーンがわかばを見る。恐らく睨めつけているのだろうが、目隠しされていて全く以て怖くない。「いや、そんなわけないだろ!」と、わかばは手を左右に振って慌てているが。

 レイブンはそんなわかばのカボチャに容赦なくもう一発『アイスピューピル』を浴びせる。額に上げた眼鏡を掛け直したレイブンの魔法で、わかばのカボチャのゲージが三百になった。それに比べてレイブンはまだ無傷だ。


「よーし、このまま連勝してやる! じゃんっけん、ぽんっ!」


「勝った! 『カルディアラディウス』!」


 気合いを入れたレイブンだったが、パーを繰り出し続けたわかばに、遂に勝利の女神が微笑んだ。ようやく勝ったわかばがハートの形にした手をカボチャに向ける。そこから放たれる光線が、レイブンのカボチャのゲージを削った。何も見えていないリーフグリーンが、「よくやったぞ、わかば」と喜んでいる。

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