第4話 イモ王女の王都凱旋
☆☆☆辺境イモ村
「あら、私に、褒賞を渡すから、王城に来いですって、マルサって、また、父上は名前を間違えているけど、これ、私よね。セバンさん。どう思う?」
「ワナでしょう。しかし、ワナですら軽々飛び越える我らがアルサ様です」
「え~、ワナってないでしょう。行かなければ謀反人です。とにかく行きます。護衛を連れて行きます。必ず護衛を連れてけって、叔父様が仰っていましたから、セバンさん。農民解放軍を全員連れて行きますわ」
「全軍ですか?」
「ついでに、褒賞のスピーチで、洗脳を解くわ。その後、ご褒美で王都観光をさせます。ほんの数百だから、セバンさん。使者に伝えておいて下さい」
「さすがです。確かに」
☆数日後、出立の日
「「「ジークアルサ!」」」
「「「ジークイモ村!」」」
「あら、ハインツさん。どうされたの?まるで、王子様のような格好ね」
「はい、私が帝国の代表となり、貴国の王宮に赴くことになりました。どうやら、国境線を引き直す交渉です。イモ村とその傘下の集落は、帝国領になりそうです。
貴女は、領主の座を降りることになりそうです。この騎士団は、貴女の護衛です」
「まあ、そうなの。分かったわ。帝国の方が税金、安そうだし。経済圏は完全に帝国だから、それがいいわね」
「貴女の処遇は、どうなるか気になさらないのですか?帝国では厚遇されますよ」
「う~む。生活防衛ギルドの専従事務員になってお給金をもらうのもいいかな」
(何と、この方には欲はないのか?)
私が、生活防衛ギルドを立ち上げたら、内政チートだ!とか言って、貴族の子弟たちが、研修に来たが、唯一、残ったのは、帝国騎士のハインツさん一行だった。
他は、私が縄を編んでいる姿を見て、『プッ』と笑って逃げたり。『農民の真似事など出来るか!』って怒ったりしたけど、だって、本当にそれしかないのだもの。仕方ないでしょう。
だけど、帝国騎士のハインツさんだけは残ってくれた。
「さあ、出発よ。白王号ちゃん。よろしくね」
「ヒヒ~~~~ン」
皆、王都に行ったことがないから、私が、愛馬白王号ちゃんに乗って、先導する。
王都、王都と人馬は進む。どこまでもっと、あれ、
「ハインツさん。多くない?一万はいるでしょう。帝国騎士団」
「大丈夫です。貴国の騎士団総長には了解を取っています。貴女の護衛には少ないぐらいです」
「そう」
・・・・
王都に着いたら妙なことになっていた。
「「「アルサ様!」」」
「アルサ新女王バンザイ!」
おい、女王はないだろう。反逆罪でぬっ殺されるよ。やめて、何だ。この大歓迎は?
「王国商会ギルドの者でございます。商会長は現在、アルサ様をおそれ、外国に亡命しました。私が臨時代理のハッケンでございます」
「そう。私、何かしたかしら?」
「お待ちしておりました。王国騎士団総長、ガルドであります。アルサ様、参謀本部と騎士有志一同で、お迎えします」
「「「ウラーーーーーーーー」」」
へ、準男爵の褒賞だけで何この歓迎は?
王宮は閑散としているわね。
そして、王宮の執務室に行くと、お父様とイメルダがいた。
二人ともブルブル震えているわね。
何故?
お父様は言う。
「マルサ、王位が欲しくて、謀反を起こしたか?騎士団総長ガルド!貴様まで」
「・・・陛下、私はアルサ準男爵様の護衛で王宮に参内いたしました。王宮にも賊がいるのが、今のジムザー王宮でございます」
イメルダはおかしなことを言う。
「ヒィ、私の策は、帝国に筒抜けだったの?側にいるのは、帝国第2皇子、不落のハインリッヒ!
私との婚約を拒否して、既に、お義姉様に寝取られていたの!!」
・・・はい?ハインツさんが、ハインリッヒ?まあ、一般的に、ハインリッヒの愛称はハインツだったけど、
「いや、陛下、アルサでございます。私は、褒賞を頂けるからと、王命で参上しただけですか?」
すると、ハインツさん。いや、ハインリッヒさんは、大声で笑ったのよ。
「ア~~~ハハハ、何と、事を荒立てたくないアルサ嬢の心遣い。ジムザー国王よ。貴殿が王位を継ぐとき、他の王子をどうやって、押しのけて、王位についたか、思い出してみるといい。たしか。謀反の疑いで、絞首刑だったな?」
「・・・分かった。辺境をよく治めた功績により。アルサに王位を譲ろう。
これでいいか?余を、いや、ワシは隠居する。北の離宮に行く!だから、刃は不要ぞ!」
・・・あれ、北の離宮って、失脚した王族が行く場所じゃない?
「「「「新女王陛下、アルサ様!おめでとうございます!」」」
「禅譲だ!」
「アルサ様の徳のなせる業だ!」
え、どうしてこうなった。
私は、5年前からの出来事に鑑みて、状況を整理することにした。
最後までお読み頂き有難うございました。