表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/14

第3話 生活防衛ギルドの実態

 ☆☆☆王宮、宰相補佐イメルダ執務室


「一体、どうなっておる」

「もう一度、調査をなさいますか?」

「いや、いい」


・・・おかしい。いくら、調べても、アルサはもとより、セバン、ベッキーにも有能な気配が一切ない。

 執事セバンは60を越え。いつも、城でボッーとしていた。ベッキーは、いつも皿を割っていたとの報告が来た。

 城にいたときは耳にも入らない無能だった。


しかし、一応、調略をしかけたが、首を縦に振らない。

生意気だ!


『セバン殿、イメルダ王女殿下が御所望です。王城の執事長になって頂きたいとのこと。これが、支度金と、イメルダ様、サイン入りの雇用契約書になります。お給金が10倍になりますぞ』


『無理じゃ。私の能力は、アルサ様の元でこそ発揮するものだ』


と断り。


ベッキーも


『ベッキー殿、これが、ドレスとネックレスでございます。イメルダ様のレディースメイドとしてお迎えします。毎日、綺麗なドレスを着られて、美味しいものを食べれますぞ』


『ヒィ』


ドタン!


気絶をする始末・・・


農民を扇動しようにも、


『そこの旦那様方、アルサ様について、とっておきのお話があります』


『ジーク!アルサ!』

『ジーク!イモ村!』

『君もアルサ様のファンか?イモ村青年団に入るだ!?』

『え~と、アルサ様は、農民達をカゲで馬鹿にしておりますよ』

『何!我らが勉学をサボっていることがバレたか。さすが、アルサ様』

『今から、勉強だ!テラコヤに行くだ!』


『いんや、待て、こいつ、盗賊のカゲかもしれねえだ。俺らが馬鹿なのは周知の事実!ワザワザ馬鹿と言うのはおかしい。ちょっと来いや』

『ヒィ、やっぱり、何でもないです!』



・・・・・・


もはや、意味が分からないと報告が来た。

どうやって、手懐けた。


「もしや、アルサは転生者か?その形跡はあるか?」


「ございません。生活防衛ギルドで作っているものは、縄、農機具、イモ、野菜など、どう調べても、異世界の知恵は感じられません」



「イメルダ王女殿下、アルサ準男爵の『生活防衛ギルド』の収支表が手に入りました」


「!!!何?どうやって入手した。信憑性はあるかえ?」


「それが、村々の掲示板に張り出されていました」

 

「・・・何?」

・・・それは謀略かもしれない。

あやつ、とぼけた顔をして、妾に、謀略を仕掛けるか・・・

どれ、どれ、中味を見るか・・


「何!?」


繰越し残高は、大金貨323枚(3億2千300万円相当)で、これは、盗賊村を討伐して入手した資産がほとんど、盗賊を賠償奴隷として売った?

 月の収入が、金貨数十枚未満(100万未満)で、

 流動資産のほとんどが、会員の農民への貸し付け債権、利息は、年5分だと!


「フフフフ、読めたわ。あやつの生活防衛ギルドは、中規模の商会程度、

そして、大衆迎合主義で、低金利での貸し付けで、民を甘やかしている。

チックメイトだ」


アルサの生活防衛ギルドは、張り子のトラだ。

金を領民に信じられないくらいの低金利で配って、支持を得ている。


地力がないのなら、力押しだ。褒賞を渡すと言って、アルサを王宮に呼び出す。


ノコノコ、アホ面をさらして、王宮に参内したところを、適当な理由で、国家反逆罪で逮捕、


辺境は、帝国に売却し、アルサに心酔する民ごと売り払い。

分離する。

反乱が起きたら帝国に鎮圧をしてもらう。


「帝国の大使殿を呼べ」

「御意」


「父上に奏上だわ」



☆王宮謁見の間


「王国の太陽たる陛下にご挨拶をします。今日は悲しいことを奏上しなければなりません。

 お義姉様に、謀反の疑いが濃厚でございます」


「・・・何、詳しく申せ」


「お義姉様は、ミリーシャ、ベルダの失態を、陛下のせいと吹聴し、自信の功績を針小棒大に喧伝しております。由々しき事態ですわ」


「だろうな。マルサごときが、余よりも人気が出るとはおかしいと思っていたのだ」


「義姉様の『生活防衛ギルド』の収支表が手に入りました。実態は、中規模の商会でございます・・・」


イメルダは、得々と分析した所見を述べたが、大きな見落としがあった。

ギルドの職員の人件費が計上されていない。

仕入れもほとんど計上されていない。


それは、その『生活防衛ギルド』は、善意の供出で成り立っていた。つまり、寄付だ。

商会ではない。現代で言えば、NPO法人、


人はすべからく欲のみで動くと信じて疑わないイメルダに説明しても理解できないだろう。


「・・・私に、一爆裂二飛龍の秘策がございます。アルサと農民を切り離し、アルサに褒賞を与えると呼び出し、王宮で国家反逆罪として逮捕します。

 辺境は帝国に売り渡し、その売却代金で国庫を潤します。

反乱が起きても、帝国の責任で鎮圧をしてもらいますわ。一つの策で、謀反人の排除と、資金が手に入りますわ」


「さすが、イメルダ、マルサ呼び出しの王命を出そう」

 

「グスン、グスン、悲しいことですが、愛するお父様の統治を更に盤石にするためですわ」


「・・・うむ。イメルダしかいなくなったな。これが、すんだら、デルタ王国のグランドル殿と婚姻をしてはどうだ?」


「ええ、義姉様の喪が過ぎたら、式を挙げさせて頂きますわ」


・・フフフ、デルタ王国の第3王子を王配にして、これで、私が次期国王、女王として君臨できますわ。


「オ~ホホホホホホホホ、事件は王宮で起きているのよ!」



 王命は早馬でアルサの本拠地、イモ村に届けられた。






最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ