表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/14

第11話 ベルダとミリーシャのその後

 いくら、考えても、私が女王に推戴された理由が分からない。

 生活防衛ギルドは、ミクロの成功だ。

 ミクロが、マクロに影響を及ぼすことがあるが、それか?

 風が吹けば桶屋が儲かる。現代日本なら、アウトな表現があるな。


 しかし、今は、淡々と業務を処理しよう。


「お父様について行きたい方はおりますか?」


 シーーーン



 父について北の離宮に行きたい令嬢はいなかった。

 なので、開放だ。

 17名も愛妾がいやがった。

 やだな。この世界なら普通なのか?


「お国に帰りたい方はおりますか?」


 これも、いなかった。

 謀略とは言え。一度、家族に追放されたのだ。帰りたい者はいないのだろう。


「ルルーシャ様!」

「ハンス!」

 彼女を追いかけて、この国まで来た従者がいた。抱き合っている。

 幸せになってほしい。

 私は彼女らに、金銭を渡し、職業を斡旋した。


「セバンさん。秘書官になって欲しいのだけども」

 親の顔よりもみたセバンさんだ。


「私は、前国王と北の離宮に参ります。もう、老体です。ご勘弁を、これからは、若い者の時代です」


「分かりました。父上をお願いします。北の離宮の執事長に任じます。お給金は上げさせて頂きますわ」


 私は、セバンさんと父上を見送った。


「あら、まるで、護送車のようね。従者はいないの?」

「陛下、北の離宮に行きたい希望者はおりませんでした」

「父上、お元気で」

「うむ。アルサよ。一時の王位にならなければいいな」



 また、騎士団総長が奏上に来られた。



「陛下、逃亡兵のことですが・・・牢に入れてあります」


「あら、私は赦免をと言ったはずですが・・問題でもありますか?」


 何でも、ここで、赦免をすると、驕兵になるおそれがあるそうだ。

 結局、ベルダを平兵士に降格、その他は、二年間の労務の後に、原隊復帰の措置を命じた。

 労務と言っても、平民学校に行って、教師役をしてもらう。

 後、二年間で教師を養成する間のつなぎだ。


「名誉の労務になります」

「ええ、ただし、ベルダが実力で、昇進するのは妨げません」




 とりあえず


 私は、魔法で髪と瞳の色を変え。お忍びで

 ハインツさんとベッキーと王都をまわることにした。

 もちろん、護衛は遠巻きについている。


 王城の通用口でベルタに出会う。


「あ、ベルタ!生きていて良かったわ。元気そうね」

「お義姉様!私を騎士団長にして下さい!お願いします」

「ベルタ2等卒!敬礼はどうした!」


 隊長さんに怒られている。

 ベルタは王城で警備兵の仕事についていた。

 まあ、平民落ちしたのだから、仕方ない、勝者が敗者にかける言葉はない。

 これ以上は声をかけなかった。


「女王陛下に頭~~~~右!」

「ご苦労様です!」


 三人で、無言で王都をまわる。徐々に景気は回復をしているようだ。

 串焼き屋も並んでいる。


 ここで、思わぬ人物と出会う。


 ミリーシャだ。彼女は串焼き屋を開店していた。

 バイタリティーあるな。

 気がつかないかな。


「串焼き。3本下さい」


「はい!まいどっ」



「陛下・・アルサ様!この串焼きやめた方がいいのです!」

「え、どうして?お安い・・安すぎるわね」


 日本で言えば、ヤキトリが、一本、小銅貨5枚(50円)、物価が高騰し、銅貨3枚(300円)は越えているのに、


「ちょっと、材料を見せなさい!」


 そう言えば、この子、頭はいいけど、使い方がおかしいと思っていた。

 正しい方に頭を使えばいいのに、



「アルサ様、材料は・・・チュー、チューなのです!」


「ハインツさん。逮捕して!」

「畏まりました!」


 衛兵隊に引き渡し、牢屋に行ってもらおう。


「貴女ね!」

「お義姉様だったのですか?!私を商務卿にして下さいっ!」


 話を聞くと、今度は、安売り王として、王都で名を売ろうとしたそうだ。


「身元保証人になるから、一からやり直しなさい!」


 王都で、最も、厳しい串焼き屋を紹介しようとしたら、


 ミリーシャは、刑期後、行方知れずになった。

 その後、名のある商人の中に、ミリーシャの名は聞かない。


 ミリーシャは、串焼き屋になりたいのでは無かった。

 お金儲けをしたかったのだ。


 その後、下位冒険者グループで、ミリーシャと似た人物の目撃情報を最後に、消息不明になった。





 ☆☆☆王宮執務室


 イメルダは、まだ、王宮にいる。


「陛下、私を、宰相に任じて下さいませ。陛下には欠点があります。

 陛下は、所詮、ハインリッヒ殿下の色恋で、今の地位におられます。民の人気は移ろいやすいもの。確固たる基盤が必要ですわ!

 多くの令嬢物語では、悲運の令嬢は、王子に溺愛されて完結しますわ。しかし、それだけ。その後は、溺愛がなくなれば、終わりですわ。後の事は書けないのです。実際は・・・・」


 ほお、ほお、ハインツさん。いや、ハインリッヒさんは、黒髪で縮れ毛の、カゲのあるイケメンさんだ。


「色恋って、それはないでしょう。だけど、民の助けがあって、この地位にいるのは貴女の言う通りね」


「グフッ!」


 ハインツさんがダメージを受けているわ。やっぱり、私と恋仲なんて、言われたら嫌なのだろうか?と心配している私がいる。


「貴女の言う基盤とは何ですか?」


「弱みです。カゲを使い弱みを握り。逆らえないようにしますわ」


「・・・・」


「では、宰相に任じて頂けますか?」


「無理」


 即答した。この女、権威付けがあれば何でもやる。

 特別頭は良くないが、残忍だ。


「なら、どうやって、国を治めるのですが?きれい事だけでは、国は回りませんわ!」


「汚い事だけでも、国は回りません」


 ガチャ、


 口論を聞きつけ。ノックも無しに入ってくる一団がいた。


「それは、イメルダ殿が心配する必要のないことです」


 高位貴族の方々が、私の背中から声を出してくれた。

 いや、元、高位貴族だ。


「ヒィ、伯父様・・・たち」


 父上によって、牢に入れられていた公爵、侯爵の当主だ。


 私は、過去の裁判記録を調べさせた。

 過去に断罪された貴族たち。

 どうも、裁判自体が、怪しい。


 無実と判明した者や軽微の罪の者は、恩赦の布告を出した。

 もう、数十年、長い者で、45年、牢に入っていたのだ。


 父上の前で、他の王族を褒めたとか、そんな内容で反逆罪だ。


「ゴホゴホ、私は正しいカゲの使い方を知っています。悪とは誠実でなければなりません。民、国のために策略を使うのです」


 この侯爵さんは、イメルダがカゲを掌握する前のカゲ担当、情報収集専門の家門だったが、父上をいさめて、牢に入ったのね。

 確か、気に入った令嬢を手に入れたいがために、カゲを婚約破棄の謀略に使おうとしたのを止めようとしたとか。


 やっぱり、イメルダが父上の性格を一番、受け継いでいるわ。


 イメルダは、

「なら、後悔なさいませ」


 と捨て台詞を吐き。

 執務室から去った。



 ・・・アルサは甘い。甘い。反逆罪で私を処刑しない。甘ちゃんだわ。

 まだ、手はある。

 婚約者グランドル王子のデルタ王国の後押しで、女王になる。


 帝国に敵対する勢力よ。


「さあ、愛しいグランドル王子、一緒に、貴国に行きましょう。兵を整えて下さいませ。私が女王になりましたら、王配になれますわ」


 パチン!

 イメルダの手は振り払われた。


「イメルダ王女!婚約破棄を宣言する!」


「ヒィ、何故、私が!?」


「調べはついている。義妹でありながら、義姉を敬うどころか、陰湿なイジメをしていたな!」


「そんな。お義姉様なんて、眼中になかったわ。イジメるまでもない小物・・・」


「フン、王宮でアルサ陛下を捕らえようと画策したこと、既に証明済みだ」


「証拠はございますか?私は真心で、褒賞を渡そうと思いましたの」


「証拠?宮廷中の者が言っているぞ!」


「そ、そんな」


「これから、断罪をはじめる!」


 ザワザワザワ~~~~


 王宮広間で、婚約破棄が始まった。



 実利で結んだ婚約、兵を出すよりも、グランドル王子が、アルサと結婚した方が、早いと判断した。


 イメルダが画策した婚約破棄が、乱発されたことにより。

 婚約破棄をすることに躊躇しなくなった風潮は、彼女自身が、生み出したものだ。




最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ