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【GA文庫より1月15日頃、第二巻発売!】ラブコメの悪役に転生した俺は、推しのヒロインと青春を楽しむ  作者: そらちあき
第三章

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第86話、新たな繋がり

「龍介、凄いじゃないか。昨日の内にこんなにメニューを考えてくれたのかい?」

「まあ大した事はやってないさ。この中にみんなから気に入ってもらえるものがあればいいんだけど」


 翌日の朝。

 学校で俺は昨日の内に考えたメニューを玲央に見せていた。


 ノートにびっしりと書かれたスイーツのレシピと、それを提供する上でのメリットや逆に問題点などを箇条書きで並べている。


 玲央は俺の昨日の頑張りを褒めていて、クラスのみんなも興味津々の様子で俺達を眺めていた。


 今までは向けられる事のなかった興味津々の眼差しがなんだかこそばゆく感じる。ちょっと照れ臭いがこの文化祭を通じてみんなと仲良くなるチャンスなのだ、気合を入れて頑張らないと。


 そう意気込んでいると窓際の席の方から一人の女子生徒が近付いてくる。ツインテールに纏めた青色の髪に勝ち気な瞳、凛とした佇まいの女子生徒――姫野は俺の席の前に来るとレシピの書かれたノートに視線を落とした。


「やるわね、進藤。一日でこんなにメニューを考えるなんて」

「こういうのは得意だからな。姫野も何かリクエストあれば教えてくれ」

「あたし、あんまりお菓子とか詳しくないのよね。優奈とか好きだから今度聞いてみるわ」


 玲央は俺と姫野が親しげに会話しているのを見て、意外そうにきょとんと目を丸くしている。周囲から向けられる興味津々の眼差しと同じようにこんな光景は今までなかったもので、それが玲央にとってかなり意外に映っているのだろう。


 確かに姫野はいつも布施川頼人とベッタリで、俺とは挨拶すらろくに交わした事がないのだから無理もない。

 

 玲央は驚いた表情のまま姫野と話しかけた。


「姫野さん……その、君どうして龍介と?」

「玲央くん。昨日、進藤と話すようになったのよ。まあそういうわけで二人の輪にお邪魔させてもらうわ」


「じゃあ姫野さんも、ようやく龍介が誠実な人だって分かってくれたんだね」

「それはちょっと違うわね。まだ完全に信用してるわけじゃないけど、少なくともこのノートを見て進藤がサボり魔じゃなくて多少は真面目だって分かったくらいなものよ」


 姫野は肩を竦めてからやれやれと首を横に振る。


 まだ姫野には俺がどういった人間なのか判断しきれていないみたいだ。それでも昨日の話し合いのおかげで多少は信用してくれたらしい。正直まだ友達になれたとは言えないが、少しだけ距離を縮められたと思いたいところである。


 俺が原作でよく知る姫野は他人行儀な態度を取られるのが嫌いだ。だから俺は他の生徒よりも砕けた態度で話しかける事にする。これが良い変化のきっかけになればいいのだが、まだ様子見といった感じだな。


「なあ姫野。ところで布施川はどうしたんだ? 教室にいないみたいだけど」

「頼人は優奈と一緒に生徒会室に行ってるわ。文化祭の事で桜宮先輩に色々と聞きたい事があるみたいね」


「そっか。布施川も文化祭の成功の為に頑張ってるんだな」

「そういう事。まあ進藤はスイーツメニューの方、頼むわよ。せっかくなら集客力の高いメニューを用意して売上アップを狙った方がいいと思うわ」


 姫野はツインテールの髪を弾ませてくるりと身を翻す。そして自分の窓際の席に座ると頬杖をついて窓の外を眺め始めた。


「びっくりだね、龍介。僕の知らない間に姫野さんとも仲良くなってるなんて」

「まあ、なんだ。クラスで玲央以外の生徒とももう少し話せればなーって思ってさ」


「それって龍介が少しずつクラスに溶け込んできてるって事だよね。嬉しいよ、龍介に友達が増えてくれて」

「まだまだ改善したい部分はあるけどな。とりあえず姫野がフレンドリーに話し掛けてくれたのは良い傾向だと思うよ」


 俺がそう答えると玲央は嬉しそうに微笑んだ。


 その優しい笑顔を見ていると自然と俺も笑みが零れてくる。


 この学校で初めて出来た友達はやはりかけがえのない存在だ。今後も末永く付き合っていきたいものである。


 その後、布施川頼人と花崎優奈が教室に戻ってきて、姫野とぎこちない挨拶を交わしていた。


 文化祭の成功も大切だけど、布施川頼人と姫野を仲直りさせる事も同じく重要だ。布施川頼人に起こっている異変の正体を確かめて解決方法を探っていく必要がある。


 これから忙しくなるなと考えながら俺はノートのページをめくった。

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GA文庫より2025年1月15日頃、第二巻が発売予定!

ラブコメの悪役に転生した俺は、推しのヒロインと青春を楽しむ

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