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第103話、文化祭③

「龍介、交代の時間だよ。お疲れ様、よく頑張ったね」

「真白ちゃんも凄いわ! 大繁盛で本当にありがとう! ここからはあたし達に任せなさい!」


 自分達のシフトの時間を終えた俺と真白は、玲央と姫野の二人にさっきの仕事ぶりを褒められた。


 俺と真白のスイーツメイド喫茶は大繁盛で、想像を遥かに上回る売り上げを叩き出した。


 嬉しい悲鳴が上がり続け、教室の外では開始から今までずっと長蛇の列が続いている。


 ここからは玲央と姫野の二人に任せておけば安心だろう。

 

 玲央は勉強にスポーツだけじゃなく料理の腕前もプロ級で、姫野はコミュニケーション能力も高い上に『ふせこい』でも屈指の美少女で学園の人気者。


 玲央の作ったワッフルは焼き加減が絶妙でトッピングの盛り付けも綺麗で仕事も早い。


 姫野は明るくて人当たりが良いし、メインヒロインの一人である彼女のメイド姿は男女問わず多くの人達を魅了する。


 そんな二人が俺と真白の後を引き継いでくれるのだ。客足が途絶える事はないし、きっと最高のおもてなしをしてくれるはず。


「それじゃあ玲央、姫野。ここからは頼むよ。人がたくさんで大変だと思うけど二人なら大丈夫だ。頑張ってくれ」

「玲央くん、夏恋ちゃん。わたし達、二人の事応援してるね!」


「ふふ、真白ちゃんの分もいっぱいおもてなししてあげるわ! あたしのメイド力を見せてあげる!」

「僕も龍介に負けないスイーツを振る舞うよ。龍介は真白ちゃんとの文化祭、楽しんできてね」


 玲央は爽やかな笑顔で手を振って、姫野はメイド姿で上品にお辞儀をして俺達を送り出してくれた。


 それから俺と真白は隣の一組で少し休憩した後、二人で一緒に文化祭を見て回る事にする。


 冷たいお茶をこくりこくりと飲んでリフレッシュした様子の真白は、『スイーツメイド喫茶、1年2組で営業中♥』と書いてあるプラカードを持って立ち上がる。


「真白、メイド服のまま行くのか?」

「うん、文化祭を見て回りながらスイーツメイド喫茶の宣伝もするつもりなんだー」


「そっか。それで真白だけは着替えないままなんだな」

「そういう事っ。今日はわたしだけ下校するまでこの服装なの」


 という事はつまりメイド姿の真白と一緒に文化祭デートが出来るという事だ。


 ……えっ、何それ最高すぎない?


 えへへと笑って俺に駆け寄る真白は、楽しそうに肩を寄せてくっついてくる。


 さっきまでたくさんの人達を魅了していた真白の笑顔が今は俺だけに向けられていて、宝石のように澄んだ綺麗な瞳の中には俺だけが映っている。


 誰もが目を奪われる美少女のメイド姿と最高の笑顔を独り占めした俺は、照れ臭い気持ちを抑えて頬を掻いた。


「あは。龍介、目逸らしちゃった。それに顔も真っ赤だし、照れてるね?」

「ま、真白が可愛すぎるんだよ……。メイド服だし……まさかその格好で一緒に文化祭回るとは思ってなくて」

「わたしも最初は断ったんだけどね。でもみんなが『宣伝になるからよろしく!』って。あはは……実は結構恥ずかしい」


 少し頬を赤く染めて照れ臭そうに笑う真白。


 世界最強に可愛い真白がメイド姿で校内を歩き回れば注目を浴びるだろうし、今は他校の生徒も大勢来ているから普段よりも更に多くの視線を集めるだろう。


 でも真白は恥ずかしいと言いつつ、俺の肩にぴったりくっついて離れようとしない。


 どうしてだろうかと聞こうとしたところで、真白は上目遣いで俺を見つめて嬉しそうに笑うのだ。


「でもでも、龍介が可愛いって言ってくれるからわたしは大丈夫。それにこの服装の方が文化祭っぽくて、龍介といっぱい楽しい思い出が作れそうだなって!」

「真白……」


「えへへ。だからさ、一緒に文化祭を見て回ろうよ! 龍介はメイド服のわたしと文化祭デート……したくない?」

「……したい」


「やったぁ! じゃあいっぱい楽しんでこーね!」


 俺の答えなんて分かっているとばかりに悪戯っぽい笑顔を浮かべ、真白は元気いっぱいに教室の外へ連れ出そうとする。


 健気な想いで俺を文化祭デートに誘ってくれる真白。


 そんな彼女の隣に立てば、俺と歩幅を合わせて歩き出してくれる。


 今まで過ごしたどんな時よりも強く心が高鳴り、顔が熱くなっていくのを感じる。

 

 真白も頬を赤く染め、はにかむような笑顔を俺に向けてくれて……それが堪らなく愛おしい。


 文化祭デートに胸を躍らせる俺は、大好きな女の子と一緒に賑やかな文化祭の中へと飛び込んだのだった。

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