表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王は改心出来ない  作者: シンドロウ
第一章 魔王ヒルシュヘルムと勇者シュバル
3/29

第三話 勇者の故郷は滅ぼされた



オロバスを出て二日後。隣村での用事を終えたシュバルは、鞄に入りきらない程の手土産を抱え、オロバスへの帰路についていた。


隣村の村人達が、よくぞ魔王を打ち倒してくれたと派手に持て成してくれた為、予定より帰りが遅くなった。大荷物を抱えて山道を歩くことに慣れてはいるが、これでもかと飲まされた葡萄酒のせいで足が重く、昼過ぎにはオロバスに着く筈が、すっかり日が暮れてしまった。



――自分がいない間、ラトラナンジェとヒルシュヘルムは上手くやれていただろうか。



たった二日村を空けただけなのに、嫌に長い時間を隔てたような気がして、シュバルは思わず笑ってしまった。

そろそろ、ヒルシュヘルムの畑に植えた豆が芽を出している頃だろうか。ラトラナンジェは、村の女達に教わり始めた刺繍に慣れてきただろうか。そんなことを考えながら、オロバスへの道を踏み締めていたシュバルを迎えたのは――燃え盛る炎に包まれた故郷だった。



「なんだ……これ……」



空が赫く焼けているのが見えた時から、村で何かが起きていると察した。否、本当はもっと、ずっと前――あの日、村を出る時から感じていたのだ。此処で、何かが起こると。


あの時感じた微かな胸騒ぎ。それは村を平らげる業火となって、シュバルを嘲笑うかのように燃え盛る。



「一体、何が……」



呆然と立ち尽くしていたシュバルがその場に膝を突くと、村の門に何かが並べられているのが目に入った。炎に眼を奪われ、気付くのが遅れたが、村の門前には等間隔でカカシのような物が並べられていた。


それは、鋭利に尖らせた丸太に何かを突き刺した物だ。

その何かとは、何か。


シュバルはとうに理解しているのに、それを受け入れることが出来なかった。



「あ……あ……」



丸太に突き刺さっているのは、オロバスの村人達だった。


その顔は酷く爛れたり、ひしゃげたり、原型を留めていない者、頭すら残っていない者もいたが、間違いない。其処に居るのは、陽だまりのように温かなオロバスの村人達だ。



「う……おぇえええ!!」



何故、このような事が起きているのか。シュバルはその場に嘔吐し、蹲った。


隣村を出た時は、何も無かった筈だ。オロバスに向かって歩いている間も、村から煙が上がっている様子は見られなかった。たった数時間の内に、オロバスは陵虐されたのだ。


一体誰が、何の為に――。その答えもまた、シュバルはとうに辿り着いていた。



「あぁ、もう帰ってきたか」


「…………ヒルシュ、」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ