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第49話 騎馬戦の練習

 今日は騎馬戦に参加する人たちの練習があるため生徒会の方にはいくことが出来ない。昨日の陽菜ちゃんの手伝いのおかげでだいぶ進んだが、まだ終わっていない。手伝うことが出来ないことに申し訳なさを感じながら練習場所へ向かう。


 すでに何人か集まっているのが見えたので駆け寄る。


「来たか。俺たちのグループはこれで全員だな」


 成瀬の言葉を聞き周りを見るとすでに中村も笹野も集まっていた。


「悪い、俺が最後だったか?」


「いや、俺のグループのやつがまだ来ていない」


 俺の質問に答えたのは成瀬ではなく違う生徒だった。


「腹が痛いってトイレに行ってる。まだ時間がかかりそうだし先に始めよう」


「そうだな」


 誰かが賛同のする。その言葉を聞きみんなが集まってくる


「なんとなくでいいからグループごとに集まってくれ」


 体格のいい生徒が言う。


 俺たちはその指示に従い集まる。


「騎馬戦組の練習でリーダーっぽいことをすることになった剛田だ」


 先ほど声をかけてきた体格のいい生徒が言う。各競技練習するにあたってリーダー的な存在が決まっている。この騎馬戦では剛田がリーダーとなっている。


「リーダーといっても大したことは出来ないから協力してくれると助かる。意見とかあったらどんどん言ってくれ」


 剛田の言葉に俺達は頷く。


「さっそくだが騎馬を組んでみようと思う。最初は危ないだろうし一組ずつ騎馬を組んでみよう。組まないグループはサポートしてくれ」


 指示に従って動く。俺たちが一番先に組むことになったので騎馬になる三人が配置について話す。


「俺と一ノ瀬は同じくらいの慎重だし後ろを担当した方が良いと思う」


「そうだな」


 確かにこの三人のな中では笹野が一番背が高い。


「わかった。僕が前になるよ」


「よろしく頼む」


 笹野が前で俺が右側、成瀬が左側を担当することに決まった。


 さっそく組んでみることにする。俺は右手で笹野と手をつなぎ、左手を笹野の方に置く。左側の成瀬は俺と反対のことをする。そして上に乗る中村が乗りやすいように屈む。


 中村が乗れたことを確認すると、笹野の掛け声で立ち上がる。


「いくよ、せーの!」


 勢いよく立ち上がる。中村は非常に軽く簡単に立ち上がることが出来た。


「かるっ」


 同じことを思ったのか成瀬がそんなことを言う。


「少し前に進んでみてくれ」


 サポートに回っていた剛田が言う。


「わかった、いくよ?」


 笹野のタイミングで動く。中村が軽いおかげで思ったよりもスムーズに動くことが出来る。


「安定してるし良い感じだな。よし、もう大丈夫だ」


 俺たちは立ち止まり、騎馬を崩す。少し腕が痛いが問題なさそうだ。


 トイレに行っていた剛田のグループの一人がちょうど戻ってきた。


「次は俺たちが組んでみる」


 そういって剛田たちは騎馬を組み始める。上に乗る人は中村と違って小柄というわけではない。確かに細いが身長はそれなりにある。だがそれでも問題ないと思うほど、俺達三人よりガタイのいい人たちが騎馬を組む。


 準備が出来て立ち上がる。


「おぉ……」


 騎馬の大きさに思わず声が出てしまった。なんか強そうだ。


「少し歩くぞ」


 一番前を担当していた剛田が言い、そしてゆっくりと動き出す。あまり早くは動けなそうだがかなり安定しているように見える。


「よし、下すぞ」


 騎馬を崩し、次は最後の一組だ。スムーズに組んでいき、これでようやく全て組み終わったようだ。


 俺たちはまた集まって話す。


「どうだった?」


「こっちは問題なさそう」


「俺たちもだ」


 どうやらみんな無事に騎馬を組むことが出来たようだ。


「ただ……」


 一人の生徒が言う。


「動いてみた感じあんまり早くは動けなさそうだ」


「そうだな」


 同じグループの人もそれに続く。


「なるほどな……」


 考え込む剛田。何か思いついたのか俺たちのグループの方を見て言う。


「そこはどうだ?」


 剛田の質問に成瀬が答える。


「早く動けるかって? まぁ、ほかのところよりかは動きやすいと思う」


 他のグループの騎手と比べると中村は小柄な方だ。さっき動いた感じを思い出してみても、それなりに早く動けるような気がする。


「そうか……それならそこのグループに囮役を任せたいと思うんだがいけそうか?」


「囮役って?」


 笹野が聞き返す。


「あぁ、作戦を考えてきたんだが、どこかが囮役をしてそのその隙にほかのグループでハチマキを奪うみたいな感じだ」


 剛田の作戦を聞きいい案だと思う。単純な作戦だが相手を翻弄することは出来るだろう。周りの様子を確認するとほかの人たちも俺と同じ意見のようだ。


「それでその囮役を頼みたいんだが、いけそうか?」


「うーん……どう思う?」


 笹野が俺たちに意見を求めてくる。


「いけると思う」


「俺も一ノ瀬と同じ意見だ。おれ俺たちのところが適任だろう」


「中村君は?」


「僕はやれって言われたらやる」


 俺たちの答えを聞き剛田が言う 。


「助かる! それを前提にもう少し詳しく作戦を考えよう。囮役になるグループは大変だと思うが頼む」


 そして本格的に作戦を考える。立ち位置や動き方。相手の動きはどう来るかなど思いつく限り意見を出し合う。そして再び騎馬を組んでお互いにアドバイスを出し合いながら安定感を向上させていく。


 そんなん風に試行錯誤を繰り返して今日の練習はお終わりをむかえた。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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