第44話 お兄さん!?
祝10万字!
本一冊の目安が10万字らしいです。
そして新ヒロインの登場です!
姫華さんからのお願いを受けた翌日の昼休み。光と話した通り俺は一年生の体育祭実行委員の代表のもとに向かっていた。
学年が違うと階も違う。それにこれだけ大きな学校なのでかなり距離がある。
周りの生徒が二年生から一年生へと変わりなんとなく居心地の悪さを感じて少し足早に進んでいく。
「確か一組だったよな」
教室の札を確認しながら進んでいくと目的の教室へと到着した。
にぎやかな声が聞こえてくる。教室の中を確認するように見るとそこにはひときわ大きなグループがクラスの中心にいた。
「ねぇねぇ、昨日のドラマ見た?」
「見た見た! サイコーだったよね」
「それな!」
「俺まだ見てねぇわ」
「マジ? 絶対見た方が良いって。早くみな?」
「家に帰ったら速攻見るわ」
クラスのい中心のグループというか、クラス全員がそのグループに所属しているみたいだ。まるでクラス丸々一つが一つの大きなグループになっているみたいだ。
そんなクラスの中にひときわ目立っている人物がいた。ギャルっぽい見た目をしている一人の女子生徒。明るい髪に少し制服を着崩している。
その子の周りには男女問わず集まっており、こんなに大きいグループにも関わらずみんなの意識が一人に向いているように感じられた。間違いなく彼女が目的の人物だろう。圧倒的な人気に、聖女といわれるのに納得なほど容姿も整っている。
呼び出したいが声をかけずらい状況に教室の前でたじろいでいると後ろから声をかけられる。
「何か用?」
振り返ると二人の女子生徒の姿
「てか、この人先輩じゃない?」
「やばっ、すみません」
俺の顔を見てそんなことを言う。
「いや、気にしてないから」
こんなところにいれば同級生だと思ってしまうのは仕方ないことだし、俺が先輩だと気づくとすぐに謝罪してくれた。
「どうしたんですか?」
「実はある人に用事があって来たんだけどなんだか声をかけづらくって」
「もしかして、陽菜ですか」
「よくわかったな」
ピンポイントで名前を当ててくることに驚く。
「ここに来る人はたいてい陽菜に用があってくるから、先輩も陽菜に告白するために来たんでしょ?」
「は? い、いや、違っ」
あらぬ誤解をされ否定しようとしたが遮られる。
「まぁまぁ、わかっているから。ちょっと待っていてください」
そういって教室の方まで行くと大きな声で呼ぶ。
「陽菜お客さんだよ! またいつもの!」
だから違うって!
否定しようとしたがもう遅い。半ばあきらめと共に自分が呼び出した人だと分かるように教室の方に顔を出す。
なんて弁明しようか考えながら目的の人物の方を見ると目が合う。するとこちらを見た双眸が大きく見開かれる。
「?」
まるで信じられないものでも見たかのようだ。そしてーー
「お、お兄さん!?」
「え?」
教室中に響きわたるほど大きな声を上げる。
俺のことをそんな呼び方をする人物は一人だけだ。懐かしさと混乱の中ぽつりとその名前をつぶやく。
「もしかして……陽菜ちゃん?」
「っ!?」
どうやら間違いないらしい。雰囲気がだいぶ変わっていたせいで気がつかなかった。
「どうしてお兄さんがこの学校に!?」
驚いていきすぎて思考が鈍る。彼女は俺が古本屋でバイトをしていた時いろいろな本を勧めてくれていたお客さんその人だったのだ。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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