第43話 ギャルが好きなんですか!?
今日も生徒会室で作業をしている。すると姫華さんから呼ばれる。
「雪哉君、光君。少しいいですか?」
「何ですか?」
光と共に姫華さんのもとまで行く。
「二人にお願いしたいことがありまして。……これです」
そういって紙の束を机の上に置く。
「これを各学年の体育祭実行委員の代表者に渡してほしいのです」
「体育祭実行委員?」
思わず疑問の言葉が出た。そんなものがあったのか……
そんな俺の疑問に答えたのは隣にいる光だ。
「体育祭の準備とか当日の運営とかいろいろな作業をしてくれる人達だよ」
「そうです。私たち生徒会メンバーももちろん体育祭のために動きますが、それでも人手が必要ですから」
確かにそうだ。備品の運搬や当日の競技の準備、人の誘導や審判など人手が必要だ。ここにいる生徒会メンバーだけでは足りない。
「この資料は当日の運営や備品に関して書かれています。それを渡しに行ってほしいのです」
「わかりました」
俺に続いて光も了承する。
「代表者には名簿に印が付いていますので、その人たちに明日明後日くらいまでに渡していただけると助かります。それではよろしくお願いしますね」
「はい」
姫華生徒会長から資料を受け取り席に戻る。それから作業をして今日の仕事を終えた。
◆◆◆
帰るために玄関に向かって廊下を歩いていると、隣を歩いていた光が話しかけてくる。
「姫華生徒会長からのお願いの件なんだけど、明日のお昼に渡しに行くってのはどうかな?」
「そうだな。放課後よりもお昼休みの方が教室にいる確率が高そうだし」
「うん! 三人に渡しに行かないといけないし学年も違うから手分けして行くのはどうかな?」
「了解。その方が効率よさそうだな」
「それでね、名簿を確認したんだけど……」
そういって俺に紙を見せてくる。
「この二年の子とは同じクラスだから僕が渡しておくね」
「頼む」
「それとこの三年生の人とは知り合いだから雪哉君には一年生の方をお願いしてもいいかな?」
そういって上目遣いで聞いてくる光。身長差的に仕方がないが、ものすごい破壊力だ。
「わかった。それでいこうか」
「ありがとう!」
「それで一年生の子の名前はなんていうんだ?」
「花咲 陽菜さんだよ! これで雪哉君は全員の聖女様と会うことになるね!」
「え?」
聖女全員? 俺があったことがある聖女はここにいる結依だけだ。
首をかしげていると光は察したように言う。
「そっか、雪哉君は転校してきたばかりだから知らないのか」
「知らないって何が?」
「三年の聖女様は姫華生徒会長なんだよ」
「え!? そうなのか?」
「一番有名だから知ってると思っていたけど知らなかったんだね」
「うん、全然知らなかった……」
確かに言われてみれば納得だ。あれだけ美人なうえに生徒会長までやっている。一番有名な聖女といっても過言ではない。
ちらりと結依の方を曖昧な笑みを浮かべている。やっぱりこの手の話題は少し苦手のようだ。
「この一年の子は生徒会長や結依ちゃんとは少しタイプが違うみたいだよ」
「そうなのか?」
「うん。なんでもギャルだって話だよ」
「へー……」
聖女とギャルのイメージが結びつかず中途半端な返事をしてしまった。
「入学してすぐたくさんの人に告白されたって話だよ。もれなくみんな撃沈しているらしいけどね」
聖女というのはやっぱりとてつもなくモテるらしい。結依もかなりの数告白されているらしいし、きっと姫華さんも同じだろう。
「少しだけ興味があるな」
単純な好奇心で出た言葉だったが失敗だった。
「!? 雪君それってどういう意味ですか!?」
ものすごい剣幕で問い詰めてくる結依。
「い、いや、少し気になるなって思っただけで……」
「雪哉君はって実はギャルが好きなの?」
「!? そうなんですか!?」
「そんなこと言ってないって!」
光が変なことを言うせいで結依の勢いが止まらない。
そのあとも何とか落ち着いてもらおうと必死に言葉を尽くしてようやく少し落ち着いた。なんだかものすごく疲れた。今日はゆっくりと寝れそうな気がした。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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