第42話 競技のメンバー決め
あと数話で新ヒロインが登場予定かも
二人三脚の練習を家で行うなど何とも刺激的な休日を過ごし再び一週間がスタートした。今日は当初の予定通り協議に参加するメンバーを決める日だ。
この前と同様、結依と俺は前に立っている。今回は一応書記という役目を任されていた。
黒板に競技名を書いていく。リレーに綱引き、騎馬戦、大縄跳び二人三脚だ。五種目をクラスみんなで分担していく。中には数合わせのために複数の競技に参加する人もいる。
「参加希望の競技に手を挙げてください」
順番に競技の参加希望をメモしていく。女子専用競技の大縄跳びに人が集中してしまっている。逆に男子の方は男子専用競技の騎馬戦は少し人数が足りていないようだ。
「人数調整が必要なところがありますので、変更してもいいという方はいませんか?」
結依の呼びかけに少し教室がざわめいく。
「私たち大縄跳びから綱引きに変えるよ」
「ありがとうございます!」
「それなら私はーー」
「俺はーー」
皆協力的で話がどんどん進んでいく。ある程度話が進んだ地ころで結依がこちらに話を振る。
「雪君はなんの競技に参加しますか?」
「あっ」
黒板に書くことに夢中になっており完全に忘れていた。ちなみに結依はリレーに参加することになっている。
黒板を見ながら悩んでいると誰かが俺に質問する。
「一ノ瀬君って足早いの?」
「うーん……どうだろう……一応前の学校ではクラスの中では一番足が速かったと思うけど……」
新聞配達のバイトなどで鍛えられており、意識していなかったがだいぶ足が速くなっていたようだ。
「それならリレーがちょうど良いんじゃない?」
確かに人数的にあいているが、メンバーが陸上などの運動部だ。足を引っ張てしまいそうで少し悩んでしまう。俺帰宅部だったし……
そんな俺を見ていた結依が背中を押してくれる。
「とてもいいと思います。足が速いのは事実のようですし!」
「ならリレーにしようかな」
「はい!」
そのあとも順調に話が進んでいったが最後の問題に直面した。騎馬戦の人数不足だ。騎馬戦に参加する人たちは最初から四人組だった。しかし人数の関係上二人余ってしまっている。しかもそのあまった人というのが中村と笹野だ。中村の方はあまりよくない目立ち方をしているせいでクラスからも名乗りを上げる人が出てきていない。
「えーと……」
結依もそんな教室の雰囲気を察してか言葉に詰まっていた。
このままでは埒が明かないし、クラスの雰囲気が悪くなるだけだ。だから……
「俺が騎馬戦に参加してもいいか?」
「え? 良いんですか?」
結依の言葉にはいろいろな意味が込められていそうだった。
「みんなが良いっていうならだけど」
確かに中村はいろいろあったし苦手だが、笹野がずっと仲良くしているのだ。もしかしたらそんなに悪い奴でもないのかもしれない。それに、同じクラスなのに、中村とずっと気まずいままっていうのもよくない気がするし 。
「皆さんはそれでいいですか」
クラスからは反対の意見は出ない。
「雪君は騎馬戦に参加ということでお願いします」
自分の名前を騎馬戦の所に書く。まだ一人足りない。
「俺も騎馬戦に参加していいか?」
そんな時、成瀬が名乗りを上げてくれた。
「ありがとうございます。最後のメンバーは成瀬君です。これで競技のメンバー決めは終わりです。お疲れ様でした」
その言葉と共にみんなそれぞれ動き始めた。
俺は今決まったものを紙に書き写していると、後ろから声をかけられる。
「一ノ瀬君、ちょっといいかな」
振り返るとそこのは笹野と中村の姿があった。
「どうしたんだ笹野?」
「お礼を言っておこうと思って」
「お礼なんて……」
「ううん、きっとあのままだと決まらなかったと思うから。ほら、中村君は変な目立ち方しちゃっているから」
「あはは」
だいぶ言葉を選んでいる。中村はばつが悪そうに視線を逸らす。
そこに成瀬が来る。
「この四人で参加するわけだからよろしくな」
「こちらこそ。成瀬君もありがとう」
「気にするな」
ずっと黙っていた中村が口を開く。
「一緒に参加してくれることには感謝している。」
それだけ言うと教室から出て行ってしまった。俺たちはお互い顔を見合わせる。
「ごめんね。中村君、どう接したらいいかわからないみたいなんだ」
「いいや、以前のあいつとは変わってきているってことが分かってよかったよ」
そんなことを言う成瀬。俺も少し安心した。もしかしたら思っていたよりもなんとかやっていけるもしれない。
「また練習するときの相談とかあるから連絡するね」
笹野も中村の後を追って出て行く。俺と成瀬が残される。
「楽しい体育祭にしような」
「あぁ!」
そういう成瀬に俺は笑顔でうなずいた。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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