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第39話 とりあえず朝食

本日発売です!

ようやくこの日がきました!

「行きますよ? せーの、いち、に、いち、に、いち、に、いち、にーー」


突然始まった二人三脚の練習はそのまま続けられていた。


「止まりましょう……ストップ!」


結依の掛け声に合わせて足を動かしそして止まる。そんなことを繰り返している。


家の中をまっすぐ進んだり、右や左に曲がってぐるぐる動いてみたり……最初はぎこちなかった動きもだんだんとスムーズになってきた気がする。

それにしばらくこうやって結依の体温が伝わってくるほど密着していたおかげでそちらのほうにも少し慣れてきた。最初はドキドキしてそれどころではなかったが今では現在の状況を客観的に考えることが出来るくらいには余裕が出てきた。


家の中で二人三脚の練習なんてシュールな光景に違いない。一体俺は何をやっているのだろうかという気持ちにまでなってきている。


「最後に一回やってひとまず休憩にしましょうか」


「わかった」


終始結依は楽しそうにしている。


「いきます。せーの、いち、に、いち、に、いち、に、いち、にーー」


目的の地点まで戻ってきた俺たちは一息入れる。


「最初に比べてだいぶ息があってきましたね」


「そうだな」


「少しの距離ならスムーズに動けそうです!」


わずかな時間しかやっていないがだいぶいい感じだ。


ひとまず練習が終わったので俺と結依の足を結んでいるものを取ろうとした瞬間結依に腕を掴まれる。


「……雪君?」


「いや、ひとまず休憩というか……」


結依はにこにことこちらを見ているだけで何も言わない 。


「本当に一日つけたまま生活するのか!?」


「当然です!」


当然らしい。


「……わかった」


「絶対に一位とりましょうね」


俺は若干のあきらめと共に頷くことしかできなかった。


「そろそろ朝ごはんの準備をしましょうか」


確かにおなかがすいてきた。時計を見ると思いのほか時間がたっていたことに気付いた。


「そうだな」


「それでは行きましょうか」


結依の掛け声に合わせて台所に向かって歩き出す。家の中なのでそんなに距離があるわけでもないのにかなり遠く感じてしまう。


やっとの思いでたどり着くと、俺と結依は並んで台所に立つ。


「こうやって一緒に台所に立つのは初めてですね!」


嬉しそうにそしてどこか照れたように言う結依。


まさか足を結んでいる状態で台所に立つ日が来るなんて夢にも思わなかった。


「なににしましょうか?」


「そうだなぁ……」


ひとまず冷蔵庫の中を確認する。ちょっとした動きでも一苦労だ。


こんな状態だから簡単に作れて、食べるのも楽なものにしたいが……


「サンドイッチなんてどうだ?」


「良いですね! ちょうど二人三脚をしていますし、運動会のお弁当定番の一品でぴったりです!」


ちょうど二人三脚をしているって……なかなかのパワーワードだな。


「ならサンドイッチを作るか」


「はい」


さっそく準備に取り掛かる。結依には野菜のカットをお願いする。その間に俺はベーコンを焼く。さらにはお湯を沸かしその中に卵を入れてポーチドエッグを作っていく。ゆで卵でもいいがこっちのほうが時間的にすぐにできるので今回はこっちだ。


「野菜の準備が終わりました」


「ありがとう。こっちももうすぐだ」


お湯を沸かすのに時間がかかったがそれが終われば割とすぐだ。ベーコンと卵の調理も終わった。あとはパンの上に良い感じにのせていき、最後に一番上にパンをのせる。


このまま完成でもいいが食べやすいように切ることにする。


形が崩れないようにラップで形が崩れないようにしてからそのまま切る。


「わぁ! おいしそうですね!」


割れた卵の黄身が切った断面からこぼれる。それがまた食欲を掻き立てる。


二人分のサンドイッチを作り終え、皿の上にのせる。


「よっし、完成だ」


「さっそく食べましょう!」


いつも使っているテーブルでは足が結ばれた状態だと少し食べにくい。なのでソファに座って食べることにした。


ソファの前にあるローテーブルの上にお皿を置く。


二人並んで腰かける。


「いただきます」


「いただきます!」


サンドイッチにかぶりつく。


「おいしい」


「とってもおいしいです! さすが雪君です!」


「結依も一緒に作っただろ」


「私は野菜を切っただけです。このポーチドエッグも最高ですし、何よりこのソースがおいしいです!」


「ありがとう」


簡単にソースを作ってみたが好評のようでよかった。


「なんでこんなにお料理が上手なんですか?」


「料理関連のバイトをしていたこともあったし、家事代行?みたいな感じで行った先で料理していたりしたことが良い経験だったのかもな」


そういえば家事代行としてお世話したあの人は今何しているだろうか?いろいろ残念な人だったから心配だ 。


そんな懐かしい人のことを思い出しながら食事を進め最後の一口を放り込んだ。


「ごちそうさまでした!」


「ごちそうさま」


おなかいっぱいだ。


「片付けをしたら食休みがてらテレビを見ながらゆっくりしましょうか」


「そうだな」


そういって食器を持って立ち上がった。

皆さんのおかげで無事に発売することができました!

ありがとうございます!

加筆修正に特典SS、タペストリーなどもありますので是非お手に取ってもらえると幸いです!


購入報告などがありましたらコメント等で教えていただけると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
二人三脚状態で刃物や火を扱うのは普通に危ないのでは?
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