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第38話 練習しましょう!

明日発売となります!

いよいよです!

 色々な出来事があった一週間が終わり休日をむかえていた。光や姫華生徒会長、白雪さんなどの生徒会メンバーと知り合うだけではなく、体育祭までの間だけ生徒会の臨時メンバーとしてお手伝いをすることになった。さらにはクラスのみんなの前で結依が俺と共に男女混合二人三脚に参加すると言うなどのちょっとした事件もあったが、無事に?休日をむかえることが出来て本当に良かった。


 そんな休日だが、朝起きてすぐに結依にリビングで待っているように言われた。待つように言った結依は用意があるといって部屋から出て行ってしまったので、戻ってくるまでおとなしく待つことにした。


 少しの間待っていると結依が何かを持って戻ってきた。


「お待たせしました!」


「たいして待っていないけど……何を持ってきたんだ?」


「これです!」


 そういって自慢げに見せてくるが全く分からない。布というか紐というか……バンド?のようなものにもみえる。


「これを使って二人三脚の練習をします!」


「足を結ぶのに使うやつか」


「正解です」


 体育祭の参加競技の決定自体は来週だが、二人三脚への参加はほぼ決まりみたいのものだ。これからほかにも参加する競技が増えるかもしれないので事前に練習を始めたいということなのだろう。


「ここの近くに練習できる場所とかあるのか?」


 近くになくとも橘さんに連れて行ってもらう可能性もあるか。


 しかし結依の答えは俺の予想とは違うものだった。


「いえ、どこにも行きません」


「?」


 意味が分からず首をかしげる。


「今日一日これを付けた状態で生活するんです」


「…………はい?」


 もっと意味の分からない内容が出てきた。理解が出来ず思わず疑問の声が出てしまう。


「いきなり息を合わせて走ったりするのは難しいと思うので、日常生活に取り入れてみようと思ったんです」


 それっぽい理由を言っているがまったく意味が分からない。


「足を結んだ状態で生活するのか?」


「そういうことです!」


 満面の笑みで答える結依。どうやら決定事項らしい。


「とりあえずやってみましょう」


「……わかった」


 実際にやってみて意味がないと分かればすぐにやめるだろう。少なからず意味があってもそれ以上に不便すぎてやってられないと気づくはずだ。


 結依は嬉しそうに準備を始める。俺はそれをされるがままに受け入れる。


「これでよしっと……準備できました」


「あ、ありがとう」


 結依の顔がいつも以上に近くにあり動揺して言葉に少し詰まってしまった。


 顔だけではなく全体的に距離が近い。足を結んでいるのだから当然といえば当然なんだが……


 肩が触れ合い結依の体温が伝わってくる。それになんだかいい匂いもしてくる。


 そんな状態が恥ずかしく思考が限界になってしまった俺は、何も考えず結依から距離を取ろうと体を動かしてしまった。


「ーーっ」


 俺が動いたことによって結依がバランスを崩してしまった。突然動いた俺に結依が驚き、わずかに声を漏らす。


 そんな状況に俺はとっさに結依を抱き支えた。


「わ、悪い」


「いえ、大丈夫です」


 何とか結依を転ばさずに済んで胸をなでおろす。


「動くときは息をそろえましょうね」


「はい」


 結依の指摘に素直にうなずく。不用意に動いたこちらが完全に悪かった。


 深呼吸をして少し気持ちを落ち着ける。同じような失敗をしないようにしなくては……


 少しだけ落ち着きを取り戻した俺は今の状態に意識が向く。俺は結依のことを抱き寄せている形になっている。腕は結依の腰のあたりに回されている。


 なんだか柔らかいし細いっ!?


 男とは違う女子特有の柔らかさで、折れてしまうのではないかと思うほど腰が細い。


「雪君?」


「な、なんでもない」


 結依に至近距離から声を掛けられ動揺する。俺は慌てて支えていた腕を結依から離す。


 心臓がバクバクしている。これだけ近くにいたら心臓の音が結依に聞こえてしまっているのではないかと心配になる。


「それでは少し歩いてみましょうか」


 そういって結依は俺の腰に腕を回し体を寄せてくる。ただでさえドキドキしていた心臓がさらに鼓動が早まるように感じる。


「雪君も手を回してください」


 結依にこのドキドキを悟られないように必死に誤魔化す。さすがに腰に腕は回せないのでそっと肩に手を乗せる。


「ーーっん」


 結依がなまめかしい声を漏らす。


「ごめんっ! 痛かったか?」


 結依の耳が少し赤くなっている。


「大丈夫です。少しくすぐったかったので……やっぱりドキドキしますね」


 そういって恥ずかしそうに笑う。


 もう色々と心臓に悪すぎる。


「掛け声に合わせて歩きましょう。まずは結んである方からです。せーの、いち、に、いち、にーー」


 結依の掛け声に合わせて歩いていく。五歩ほど歩いたとことで止まる。


「いいかんじですね! この調子で頑張りましょう」


「お、おう」


 正直、練習どころではなくなっている俺は早く終わってほしいとさえ思っていた。


 なんだかんだ一日生活などせずにすぐ終わりを迎えると思っていた俺の認識は間違っていたと、この後思い知らされることになるのだった。

最後まで読んでくださりありがとうございます。


書籍発売が明日まで迫ってきています!正直ドキドキしています。

見本誌が届きまして、実物を見て普通に感動してしまいました。

皆さんに楽しんでもらえるよう書きましたので、ぜひ購入していただけると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
二人三脚のままトイレやお風呂も…?笑
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