第36話 無事に話し合いを終えて
発売日まであと3日!
席に着いた俺たちは、結依の進行のもと話し合いを始める。
「今回の議題は次の体育祭の新種目である男女混合二人三脚についてです。まずは昨日集計した結果です」
そういって皆に一番多かったものがどちらでもいいという意見、その次に賛成意見、反対意見と続くが、この二つには差がほとんどないという結果を提供する。
「ある程度予想通りの結果となりましたね」
姫華生徒会長がいう。
「そうね……賛成意見に男子の投票数が多いことも、反対意見に女子の投票数が多いことも予想通りね」
姫華生徒会長に続いて白雪さんも言う。
「ここまで男女の意見に差があると困りますね」
「新種目は追加しない方が良いですかね? もともとなかったものですし」
「どちらでもいいという意見が大多数を占めているのも事実だから、反対意見だけ尊重するのも考え物だと思うわ」
「そうですね……いい感じの落としどころを見つけないと……」
それぞれが意見を言うのを俺はその様子を黙ってみている。そのあとも話し合いが続いていく。
ふと、姫華生徒会長と目が合ってしまった。
「雪哉君は何か意見はありませんか?」
みんなの視線が集まる。
「えーと……」
突然話を振られて反応に遅れてしまった。
「競技は全員参加ってわけではないんですよね?」
「そうです。クラスごとで各競技に出る人を選んで本番で競い合ってもらいます」
「もしかしたら出たくないのにクラスの状況からでなくてはいけなくなってしまうかもしれないので、こんなのはどうでしょう?」
俺は思いついた意見をみんなに話す。
「なるほど……それはいい考えかもしれませんね……」
そういって考える仕草をする姫華生徒会長。
「皆さんはどう思いますか?」
「私は良いと思うわ」
「私も雪君の意見に賛成です」
「僕もいいと思います」
どうやら良い提案をすることが出来たみたいだ。
「細かいところを決めたら明日にでも全校生徒に向けてアナウンスすることにしましょう」
「はい」
もう少し細かいところまで話し合いをした後、今日はお開きとなった。
◆◆◆
今日の生徒会での仕事を終えて家へと帰ってきた俺たちは今日の話し合いについて思い出していた。
今日の俺の提案について結依が褒めてくれている。
「雪君が出してくれた意見のおかげでスムーズに話し合いを進めることが出来ました! さすが雪君です!」
「たまたまだよ。それに話し合いを続けていたらきっと誰かが同じような提案をしていたと思う」
面と向かって褒められて気恥ずかしさを感じた俺は照れ隠しのように言う。
「誰よりも先に思いついたことは事実なんですからやっぱりすごいですよ。私たち二人三脚を追加するのか、しないのかにこだわりすぎちゃってました」
どちらかに決めるのは大切なことでもある。言ってしまえば俺の提案は中途半端なものだった。体育祭というみんなで取り組むものとしてはむしろ良くない意見だったかもしれない。だから、生徒会の人たちの中で出てきにくかった意見なのかもしれない。
「雪君にはまだまだお手伝いをお願いすると思いますが、よろしくお願いします」
「少しでも役に立つように頑張るよ」
「まずは明日、みんなに今日決まったことを伝えなくてはいけませんね。雪君にもお願いしたいこともありますから」
「?……俺にできることなら協力するよ」
「ありがとうございます!」
今日決まったことを伝えるだけだと思うが、俺に手伝えることなんてあるのだろうか?
ぱっと思いつかないが結依が手伝ってほしいことがあるならきっと何かあるのだろう。
「それじゃあ私は夕食の準備を始めますので、雪君はゆっくりしていてください」
「手伝うよ」
「いえ、雪君が料理できるのは知っていますけど私がやりたいことなので、また別の機会にお願いしますね!」
そういってキッチンの方へ行ってしまった。
ここにきてから料理作ってもらってばかりで申し訳ない。せめて準備や片付けだけでもと思ってやっているが……いつか結依に料理を作ってあげたいと思いながら、今日は結依の言葉に甘えてゆっくりさせてもらうことにする。
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