第34話 男子は正直者
発売日まで一週間切りました!
少し休憩をはさんで作業を開始した俺たちは、残りの作業を終えるために黙々と作業を続けた。そして最後の箱を数え終えることが出来た。
「やっと終わったー」
光がテーブルの上に突っ伏す。
「お疲れさまでした」
「お疲れ」
お互いに労いの言葉をかけあう。
「あとは数をまとめるだけですね」
俺たちがそれぞれ集計したものをメモした紙を結依へと手渡す。
結依はスマホを取り出し電卓の機能を使って数を出す。
「集計結果はこんな感じになりました」
結依が結果を書いた紙を見せてくれる。
「何というか……」
「あはは……」
俺と光は何とも言えない反応をしてしまう。アンケート結果が分かりやすく分かれていた。
「男子の賛成票がかなり多いですね。それと比べて女子の方は男女混合二人三脚に対して否定的意見が多いみたいですね」
最終的な結果としては一番多いのはどちらでもいいという中立的な意見。その次が賛成意見だ。だが、賛成数と反対数の差はわずかとなっている。差があるところといえば、賛成の方に投票しているのは男子が多く、反対の方に投票しているのは女子が多いということだ。
「匿名だから男子も素直だね」
「だな」
基本的にはどちらでもいいという意見が多いが賛成と反対の意見をどう落としどころを見つけるかが問題だ。
「どうしようかな……」
「うーん」
その時下校時刻を告げるチャイムが鳴る。
「今日はここまでにして帰りましょうか。話し合いは明日ほかの生徒会メンバーを含めてすることにしましょう」
「そうだね」
俺たち帰り支度をして教室を出る
「忘れ物はないですか?」
「大丈夫」
「僕も」
「それでは帰りましょうか」
下駄箱に向かい靴を履き替えてから校門を出た。
「僕はこっちだから、また明日」
「また明日な」
「お疲れさまでした」
俺たちは分かれてそれぞれの帰り道へ歩き出した。
◆◆◆
家に帰ってきた俺たちは一息つく。
「光君良い子ですよね」
「そうだな」
まだであったばかりだがそれでも光が良い奴だってことは十分すぎるくらい分かった。
「まさか男だとは思わなかったけど」
「ですよね……」
結依も何とも言えない表情で笑う。
「男の子なのにあんなにかわいいのは反則です!」
結依言いたいこともよくわかる。
「そういえば……」
ふと何かを思い出したかのように結依が言う。
「雪君は二人三脚のあアンケートはなんて回答したんですか?」
「俺はどちらでもいいだな。というか転校してきたばかりだからよくわからなかったっていうのが大きいかな」
「確かにそれもそうですね」
「ちなみに結依は?」
「私は賛成にしましたよ」
「え?」
予想していなかった答えに思わず声が出てしまった。
「意外でしたか?」
「……まぁ」
正直意外だった。反対していないまでもどちらでもいいという意見だと思っていた。まさか賛成していたなんて……
「新しい取り組みですし、面白そうだと思ったので」
確かにそういう一理あるかもしれない。
「それに、もし男の子と二人三脚をすることになったら……」
「なったら?」
次の言葉を待っていると、結依がいたずらっぽく笑う。
「ふふっ、内緒です。あ、お湯はりが終わったみたいですね」
「ちょ、ちょっと」
「雪君が先にお風呂に入っちゃってください」
そう言い残して結依は部屋を出て行ってしまった。
「なんていうつもりだったんだ?」
考えても答えは出ない。しょうがないので俺は結依の言う通りお風呂に入ることにした。
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