第31話 男の娘でした
本当に久しぶりの投稿です。楽しんでもらえると嬉しいです!
突然の出来事に思考が停止する。俺の手を掴むと、光はそのまま自分の胸元へ持っていきそのまま押し当てた。
目の前の光景を処理しきれていない。見た目美少女の胸に俺の手が押し当られている。客観的に見てもかなりまずい状況に見えているに違いない。
「ほらっ! 男でしょ!」
その言葉を聞いて少し思考が回復する。光の言葉を確認するように右手に意識を集中させる。
確かめるように手を動かしてみる。たしかに胸はない。光の言う通り触った感覚は男に違いない。しかし、顔はどう見ても男には見えない。美少女なのだ。
その違いに脳がバグる。
「っ!」
光が肩がわずかに跳ねる。反射的に謝罪する。
「わ、悪い!」
「ううん、大丈夫」
平気そうな光の顔を見てほっとしたが、それも一瞬で次の瞬間には背筋がぞっとした。結依からこれまで聞いたことのないような冷たい声が聞こえてきた。
「雪君? いったいいつまでそうしているんですか?」
あまりの迫力に慌てて光から手を離すと反射的に謝罪の言葉を口にする。
「す、すみません」
結依の言葉に反応したのは俺だけではなく光もだ。姿勢を正し気をつけをしている。
そんな光に向かって結依が話しかける。
「光君もそういったことをするのはよくないと思いますよ」
「で、でも……僕男だし……胸元くらい……」
男同士だから問題ないと遠慮がちに言う光。だけどその意見は結依に一蹴されてしまう。
「そういう問題ではありません!」
「「ご、ごめんなさい」 」
結依の気迫に圧されて俺たちはそれぞれ謝罪の言葉を口にした。
「はぁ……次からは気を付けてくださいね」
「「はい」」
俺はこのいたたまれない状況を何とかするため、誤魔化すように光に話しかける。
「その……本当に男なんだな」
「うん、そうだよ」
「勘違いしていてごめん」
性別を間違えるなんて光にいやな思いをさせてしまったと思い謝罪する。
「自分で言うのもなんだけど、そういった誤解には慣れてるから気にしてないよ」
そういって笑う光。本当に気にしていないようだ。
「実は私も初めて光君に会ったとき勘違いしてしまいました」
そういってばつが悪そうに言う結依。男だと思ってみても正直な話、まだ疑ってしまいそうなくらいだ。
「そうだったね。僕が男だってわかった時の物凄く驚いていたもんね」
「うぅ……だって、こんなに可愛い男の人がいるなんて思わないじゃないですか!」
「はは、ありがとう」
恥ずかしそうにする結依。やっぱり女子から見ても光は女に見えるのか。
そんなことを考えていると生徒会室の扉が開いた。そして二人の生徒が入ってくる。
「楽しそうな話し声が聞こえると思ったら……何を話していたんですか?」
優しそうだがどこか気品のある声。そして、生徒会室に入ってくるその姿は優雅で思わず見とれてしまいそうなほどだった。
「姫華先輩に凛先輩! お、お疲れ様ですっ」
光が驚いたように声をあげ、挨拶をする。
入ってきたのはこの学校の生徒会長である桜聖 姫華と生徒会副会長の白雪 凛だった。
「そんなに慌てて……もしかして私に聞かれたらまずいことでしたか?」
「い、いや」
「ふふっ、冗談です。光君があまりにもかわいい反応だったのでからかってみました」
そういっていたずらっぽく微笑む姫華生徒会長 。
「~~っ」
からかわれていたとをわかった光は羞恥に悶えている。そんな光を見ていた姫華生徒会長の視線がふとこちらに向けられる。
「初めましての方もいらっしゃるみたいですし、せっかくなのでお茶でも飲みながらお話しましょうか」
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これもこの作品を読んでくださった皆さんのおかげです。本当にありがとうございます!!
発売日は10月25日となっています。加筆もしてあります!手に取ってもらえると幸いです!
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