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45 初のパーティー申請

 朝一番、島の西側にあるオリーブン城の入り口で、ティアを待った。


 登城する人並みの中に、赤毛のショートヘアが見えた。


「おまたせ!」


 そう言って現れたティアの格好を見て、おれは、ぽかんと口が開いた。白いレースのブラウスに、グレーの長いスカート。


「それ、学校の制服?」

「はい! 今日は見学、ありがとうございます!」

「いや、パーティー組むんだけどな」

「ええ! 実技もあったの?」


 まあいいか。戦闘に加わることはないだろう。



 オリーブン城に入り、冒険者の窓口に並ぶ。冒険者になりたてだと一目でわかる貧弱装備のおれと、女学生。完全に浮いていた。


 列が進み、おれたちの番になる。窓口の女性がおれたちを見て、嫌悪感が丸出しの顔をした。


 違うの。おっさんが若い子をたぶらかしてるわけじゃないの。


「パーティー申請を、お願いします」

「では、お互いに向き合って下さい」


 向き合う? 意味はわからなかったが、とりあえずティアと向き合った。


「お互いの胸に手を当てて」

「ええ?」

「パーティーの設定をしますので」


 何? そんな儀式がいるの?


「あたしは気にしないから、大丈夫ですよ」


 そうか。この世界の人間にとっては常識か。ティアは気をつけをし、目を閉じた。


 うわぁ。この時におれの心を満たした感情をひとことで言えば「甘酸っぱい」これだ。学生時代にこんな思い出が欲しかったなぁ。


 しかし、いくらツルペッタンとは言え、おっさんがさわっていいもんでもなかろう。


「ほ、他のやり方、ありますか?」


 窓口の女性は不思議そうに首をひねったが、別の方法はあった。


「では、手のひらを合わせて下さい」


 向き合ったまま、おれは右手を、ティアは左手を上げた。二つを合わせる。


 おいおい、これで「汝、この者を愛し」とか言い出さねえよな。おじさん、雰囲気に飲まれて「誓います」って言っちゃいそう。


「はい、息を吸ってー、そのまま動かないでー」


 予想に反して、窓口の女性はレントゲン技師のように言った。


 二人の身体から小さな光の粒が飛び出し、お互いの中に消えていった。チックの時と一緒だ。


「はい、終了です。次の方―」


 おれは額の冷や汗を脱ぎながら、城を出た。


「ねえねえ、この特殊スキルのアナライザー・スコープって何?」


 びっくりしてティアを見た。おれのパラメータを見ているようだ。そうか、仲間になると見れるのか。


「ええとね、モンスターの数値が見れるんだ」


 人間も見れる、とは言えない。


「すごーい!」


 単純に感心している。おれも知ってはいるが、ティアのパラメータを出した。


「ティアはええと、魔法はゼロなんだな。んで」


 初めて見るふりをして、ティアの数値を眺める。


「二ページ目は見ちゃダメ!」


 ティアは後ろからおれに飛びつき、両目をふさいだ。


「わかった! おじさんは見ない。ぜったい見ない」


 ティアの手を振りほどいて、おれはパラメータ画面を消した。古今東西、女性のスリーサイズを見るのはマナー違反らしい。


 スリーサイズをパラメータ画面に表示する設定をしたのは誰なんだろう。現実の世界ではフェミニストに抗議されそうだが、おれはグッジョブ! と言いたい。


 まわりの人が、けげんな目でおれたちを見ている。


「ティア、とにかく、ギルドに行こう」


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