表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/132

23 爆発

 死霊が出るとは聞いていない。仕事が違うのは契約違反だ。


 館の玄関にまわり、強くノックする。執事が出てきた。


「契約違反だ。死霊が出たぞ」

「退治したのですか!」

「依頼人を出してくれ」

「旦那様は、出掛けております」


 帰るまで待つか、ちょっと考える。


「もういいわ」


 おれは執事に背を向けた。バカバカしい、もう帰る! そんな気分だ。


 乗り合い馬車で街まで帰った。


 ギルドに直行した。報告する前に、壁の依頼書を見ておく。次の依頼を決めておかないと、お金がない。


  子犬探し:300G


 これいい! 最高!


 壁から外して窓口に行く。おばちゃんの窓口に無意識に出した。もう習慣になっちゃったかも。


 依頼書と、ズボンのポケットに入れておいた冒険者証を出した。


「依頼は、二つ同時には受けれません」


 そうなのか。そして意外、おれを覚えてるみたいだな。


「今日の依頼は、契約違反だ。内容が違う」

「どのように?」

「墓掃除だった。行ってみたら、死霊がいた」

「なるほど。それで逃げて来られましたか」

「いや、倒したよ。一応」


 うしろの職員が数人、こっちを見た。おばちゃんも意外だったのか、少し眉が動いた。


「では、こちらで調査いたします」

「お願いします」


 おれはもう一度、依頼書と冒険者証を相手の方に押した。


「調査が終わるまでは、次の依頼はできません」


 まじか! がっくりして依頼書を壁に戻した。


 帰る前に、レベル上げだけしとくか。パラメータを確認する。やっぱりね。あの死霊との戦闘で、かなり経験値が入っている。


 二階に上がり、四回ノックして四回目で空き室があった。部屋に入る。


 水晶玉に手を置いた。胸ポケットのフナッシーが、うごうごしている。いけね、黄色い玉と一緒に入れてるわ。


 つまんでみると、フナッシーは黄色い玉にしがみついていた。黄色い玉が光っている。なんだこれ?


 パラメータが二つ開いた。おれの分とフナッシーの分だ。そうか、仲間もレベルが上がるのか。


 台の上の水晶玉が光り始めた。黄色い玉も、さらに強く光る。なんでだ?


 爆発した!


 おれは後ろに吹き飛んで木の壁をぶち破り、隣の部屋まで飛んだ。鼓膜がきーん! として音が聞こえない。女性の叫ぶ声がかすかに聞こえた。


 倒れたおれの胸に、何か小さな赤い生き物がぽとりと落ちた。小さなハサミと、尻尾には棘がある。まるでサソリだ。赤いサソリ。


「ア、アナライザー・スコープ」


  名前:クリプター

  体力:100

  魔力:1

  攻撃力:20

  防御力:60

  魔法:ニードル・ブレス

  特殊スキル:毒針


 なんだ、こいつは?


「我ガ名ヲ与エヨ」


 はあ? 名前?


 それどころではない。意識が飛びそうだ。


「我ガ名ヲ与エヨ」


 うるせえな、ちくちくしてそうだから「チック」は?


「心得タ」


 だから、お前は、なんなんだ?


 目の前が白くなってきた。


 そしておれは、気を失った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ