12 武器屋
この港町には色々な店が密集している。武器屋も何軒か、すぐに見つかった。
大きな店もいいが、こじんまりした一つの店に興味をそそられた。剣の絵が描かれた木の看板がある店で、薄汚れた窓から店内を見る。
店内は、うちの近所のよろず屋、つまりコンビニの半分ぐらいの狭さだった。狭いが剣や槍、弓だけでなく鎖のついた鉄球など個性的な武器もある。
店に入ると、目の前の棚にナイフがあった。ナイフを手に取って考える。これが今、もっとも正しい選択だろうか。
デフナッシーは小さい。あの小さな相手に、小さなナイフで立ち向かうというのも面倒な気がする。
店の奥にカウンターがあった。店主らしき男と目が合う。髪は短くボサボサ。モミアゲと繋がったアゴヒゲをたくわえた強面の男だった。
見るからに苦手なタイプ。だが、いかにも武器屋の店主、という感じで店には似合っていた。
店主に会釈をし、武器を見てまわる。剣が置かれた棚に、ひときわ目立つように展示された剣があった。
青銅の剣:1,000G
おお、このへんを持つのが最初の目標になるのかなぁ。氷屋の依頼が50Gだから、まだまだ先の話になりそうだ。
棚の隅に、ほこりを被った木の棒があった。調べてみる。
名前:棍棒
効果:攻撃力+20
価格:60G
特殊効果:杖の代わりにもなる
おお、棍棒だ。なんだか懐かしい。
最近のRPGでは「デスペナルティ」みたいな、かっちょええ名前の武器が多いから、なんだか新鮮。
ええんでない、これで。ナイフと同じ攻撃力だし。この大きな棍棒で、どっかんどっかん叩いたほうが、フナムシに効きそう。
それにナイフに比べ40Gも安い。330G持っているが、現実世界で言えば、しょせん三万三千円だ。倹約しないと。
棍棒を買って店を出る。会計時に余計な出費があった。肩から下げる革製のケースが10Gした。はだかで持ち歩くのも不便なので買う。
よし! これで依頼を受ける準備はできた。
いよいよギルドに行くぞ!





