花言葉
寒い季節。
その屋敷から聞こえて来る。楽器達の奏でる音色と、楽しそう談笑につられて少年はそこに居た。
お屋敷で毎年行われる一番盛大なパーティーだ。
少年は羨ましそうに遠巻きから、窓越しに時折チラホラと見える、華やかなドレスや衣装に身を包んで踊る人々の姿を眺めていた。
少女は、毎年お屋敷で行われるこのパーティーが大嫌いだった。両親は勿論、誰も相手をしてくれないからだ。
少女は退屈凌ぎに窓の外を眺めた。空も大地も白に覆われ、森には葉っぱひとつない枯れ木達が黒い影を落としていた。
ふと、少女は枯れ木の傍らからコチラを見つめる少年に気がついた。
少女はこっそりとお屋敷を抜け出して少年に会いに行くことにした。
屋敷から少し離れた森の入り口まで歩きにくいドレスと靴でやっとの思いで辿り着いた。
少年と少女はほん少しの間だが楽しいお喋りに夢中になった。
少年は花屋で働いているらしく、明日、こんな寒い季節にも咲く花をこの場所で見せてあげると、少女と約束しその日は別れた。
次の日、少女がお屋敷から出ようとすると両親が少女を部屋に閉じ込めてしまった。
昨日勝手に外に出たのを下女が告げ口したのだ。
少女は自分の部屋で泣いて過ごした。外は凄い吹雪で窓からの景色は何も見せてはくれなかった。
やがて吹雪も収まり朝になって少女はやっと部屋から出る事を許された。
急いで少年との約束の場所へと向かったがそこに少年は居らず。真っ赤なポインセチアの鉢植えだけが綺麗に朝の光を浴びて咲いていた。
想像をかき立てるためにあえて「」を使う書き方を避けて書いております。
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