41: 巡りあい
誰かをずっと待ってる気がしていた。
必ず迎えに来てくれる誰か。
私から向かわなくても、ここまで辿り着く誰か。
小さい時、幼稚園のお迎えでお母さんが来ても、何か違う気がしていつも泣いていた。
友達との待ち合わせでも、約束していた友人とは違う誰かを待っているような感じだった。
いつもどこかのピースが欠けている。それをずっと待ってる。
成長するにつれ、そんな違和感は段々忘れていった。
忘れていたのを思い出させたのは、その「誰か」が現れたからだ。
突然現れた彼は、長身で整った顔をして、怒られた犬みたいな顔をしたり、突然強引になったり、突拍子もないことを言い出したりして、私を困惑させた。
でも、その手は温かくて、私のパーソナルスペースに何の違和感もなくするりと入っては優しく触れて行く。
やっと来てくれた、私の片割れ。
いない時には気付かなかったくせに、現れたら彼無しでいた頃が思い出せないくらい。
なのに、今は、彼が、いない。
抱きしめられてた温もりが消えて、とても寒い……。
どこ?
どこにいるの?
私を探してくれていたのを、知ってる。
私はいつも待つだけだった。
違う、はるか昔は私も探してた。
自分の欠けたピースを。
貧しい砂漠の国で。
忙しく人々が行き交う高層ビルの谷間で。
砲弾が飛び交うガレキの影で。
仮面の人々が踊るきらびやかなシャンデリアの下で。
枯れた大地を耕す乾いた風の中で。
いつしか探すことに疲れて、諦めたのは私。
彼の温もりや、心地よさを知ってるから探してしまうんだ。だったら、もう忘れよう。
巡りあっても、微かなスレ違いだけだったり、つかの間の幸せだったり……。
そんな刹那的にしか寄り添えないなら、もう忘れたかった。その時その時の人生で、出会えた人との関係を大事にするのもいいんじゃないと思ってしまった。
そのくらい、巡り会えなかったから、私の心は挫けてしまった。
長い時をかけて、自分で自分に暗示をかけたのだ。
転生なんてしてない。
誰も迎えには来ない。
そうやって私は心の安寧を求めたのに、彼は必ず私を探し出す。
たとえそれが一瞬の邂逅でも。
自分から忘れたくせに、出会ってしまったら引き寄せられずにはいられない。
彼がどんな思いで探してくれたかを、分かってしまうから。
―――たき……
ああ、呼んでる……。
やっぱり彼は私を見つけ出す。
行かなきゃ。
だって、すごく声が弱ってる。
結局、忘れても忘れてない。
私の根っこの部分で彼を待ってる。
彼を知ってしまったら、思い出してしまったら、離れられない。
離れたくない。
―――多喜
聞こえてる。
今の私の名前を呼ぶ声が。
「多喜!」
ハッキリと。




