20: 俺しか知らない話
「なあに?キョロキョロして。誰かを探してるの?」
幼い頃から人が沢山いる所に行くと、必ず母親からこう言われた。
小さい頃は無意識で、自分が探しているのが何なのかわかってなかった。
ジークハルトの記憶が、段々前世の記憶だと分かってきた中学生あたりでは、もうなんとなくローザを探さなくてもどこかで巡り会えると確信していた。
それでも人混みの中に行くと、周りを見てしまう。
姿形は絶対違うものになっていると分かっていたから、彼女の雰囲気というか、魂の形……みたいな、感覚的なことで人を探すのをずっと繰り返していた。
そうして、やっと見つけた。
毎年変わらぬ光景に見えた入学式の新入生の中で、そこだけいやにハッキリとした輪郭を持って目に飛び込んできた彼女を。
年頃の女の子だった。
しかも、今度は身内じゃない。
何度も何度も繰り返す廻り合いの中で、タイミングや条件が合わないことが普通だった。
敵だったり、身分があまりにも違ってたり。わかっても、ものすごく遠い所にお互いいたり、死ぬ間際に看病してくれた少女だったこともあった。
だから、今回は絶対に離したくなかった。
求めて、焦がれて止まない存在が、やっと手の中に入る……、そう思ってた。
思わぬ所から横槍が入るまでは。
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「葉山先生。いいえ、お父様。やっと会えましたわ」
目の前に現れたローザの面影が残る、セーラー服を着た少女が言った。




