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太陽の勇者は沈まない ~マモノ災害と星の牙~  作者: 翔という者
第1章 空から落ちてきたものは
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第3話 謎の剣

 全力で自転車を漕いで、日向は自宅の裏山を目指す。

 空から落ちてきた「何か」を確かめるために。


(何が落ちてきたのだろう……。やっぱり隕石か? それとも別の何かか? それが何であろうと、今の自分を変えるきっかけになりそうな気がする……!)


 そう思いながら、日向はただひたすらに自転車を漕ぎ続けた。

 その後ろから、北園が自転車を漕いでついてくることに気付くことなく。


「ちょ、ちょっと、何あれ……。日下部くん、メチャクチャ速いんだけど……。つ、疲れた……」


 尾行されていることにも気づかず、日向は北園を振り切ってしまった。




◆     ◆     ◆




 学校に行くときは下りた坂道を、今度は上って自宅に向かう。

 自宅に着くと自転車を止め、すぐ側の裏山に入っていく。


 坂を上り、山を登り、日向は既にヘトヘトだが、それでも歯を食いしばって走り続ける。あの空から落ちてきたものが何なのか、誰よりも早く知りたいと思いながら。


「この山に登るのは久しぶりだけど、道は意外と覚えているもんだな」


 一時期、この裏山を探検するのが日向の中で密かなブームだったことがある。あまり山の深いところまで行くと危ないが、近場であれば我が庭のように歩き回ることができる。


「確か、学校の窓から見たときはあの辺に落ちたから、あっちに行けば見つかるかな?」


 草木をかき分け進んでいく。その時、近くの茂みがガサガサと揺れた。


「っ!?」


 驚き、思わずその場から飛び退く日向。

 ここはまだ下の住宅街に近い。野生の動物など、滅多に下りてくることはない。


(なんだ? 何がいる? ノラ猫とかなら可愛いんだけど……。タヌキって線もあるな)


 茂みを凝視しながら、ソロリソロリと後ずさる日向。

 しかし、いつまで経っても茂みから何かが飛び出してくることはなかった。


「……気のせいか? それとも逃げたか? ……とにかく、焦ったぁ……」


 緊張を解き、肩をだらりと下す日向。


「っと、こんなことしてる場合じゃないな。急がないと!」


 そう言って、再び走り出した。



 山の気温は低い。冷たい汗をかきながら走り続ける日向。

 すると、やがてひらけた場所に出た。

 その中心に一本の剣が地面に突き刺さっている。

 一見、何の変哲もない両刃の剣だ。


「あれは……剣? あれが落ちてきたのか?」



―――剣? なんで空から剣が? 

   ファンタジーじゃあるまいし……。

   宇宙からやって来たのか? 

   いやでも、あの剣の見た目は地球の文明の産物だろ。

   宇宙から来たという線は無いはず……。

   だいたい、そんなの非現実的だ。

   他に考えられる理由があるとしたら……。

   飛行機の積み荷が落ちてきたとか? 

   いやでも、学校の窓から見たあの時、飛行機なんて飛んでいたっけ?




 様々な憶測が日向の頭を駆け巡る。

 しかしどれも「違う気がする」と判断し、頭から消していく。

 時間にしてわずか数秒。

 その短い時間で頭をフル回転させた結果、日向が出した結論は……。


「……とにかく、拾ってみるか」


 結局、直接確かめてみることにした。

 誰に向けるでもなくそう呟き、おもむろに剣の柄を握りしめる。

 瞬間、物凄い勢いで剣から炎が噴き出した。


「うおわっ!? びっくりしたぁ!?」


 炎のあまりの勢いに、日向は思わず尻もちをついてしまう。

 炎を噴き出したその剣は、今は静かに佇んでいる。


「え、なんだこれ? 何で剣から炎が……?」


 正解を導き出すには、あまりにも手がかりが少なすぎる。

 現状、彼はこの剣が何なのか、知ることはできない。


 考えていても仕方ないので、日向はもう一度剣を手に取ってみる。


「また、火を噴き出したりしないだろうな……? 火傷なんて嫌だぞ俺は……」


 祈るように剣の柄に手を伸ばす。

 今度は炎が発生することも無く、すんなりと剣を手に取ることができた。


「あ、掴めた……。さっきのあれは何だったんだ……?」


 早速、日向は手にした剣を調べ始める。


「銘柄などは無し。鞘とかも落ちてなさそうだな。刃に破損は無し。あれだけの高さから落ちてきたのに、マジかよこの剣……。ええと、大きさは俺のつま先から顎くらいまで。結構デカいな。それに、厚みがあってかなり重い……」


 その剣は両刃の刀身を持っており、こちらの背丈に近い長さを持っている。いわゆる両手剣が形としては一番近いか。人によっては大剣に分類するかもしれない。


 剣を両手で持ち上げながらしげしげと見つめる日向。

 その時、不意に背後から嫌な感覚が走った気がした。


「……え、何だコイツ……?」


 振り返ると、そこには真っ黒な人影が一つ、佇んでいた。

 肌が黒いとか、服装が黒いとか、そんな比喩ではない。


 本当に、真っ黒なシルエットがそのまま浮き出てきたかのような、尋常ではない存在がそこに立っていた。 

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― 新着の感想 ―
[一言] エクスカリバー然り、突き刺さってる剣を抜くってのはカッコいい演出よな(`・ω・´) でもってさっそく敵の登場っすか!! 敵は敵でストーキングな事をしていたのかそれとも……(ォィ
[良い点] 九州。日向。剣。 あめの逆鉾! じゃあ、引き抜いたのは 新婚旅行の坂本龍馬? ええ~っ! 北園さんは、みんなの北園さんでいて欲しいよ~! 誰かの嫁なんて嫌だ~!
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