マモノ紹介 第7章時点
〇=普通のマモノ ●=星の牙
●サラマンダー【過激派】
緋色の炎に身を包んだ、”溶岩”の星の牙。
長さ五十メートル近くもある大蛇であり、さながら燃え盛る龍のような迫力がある。その長い身体が大地をうねるだけで、草木は燃え上がり大惨事となる。
今回登場した個体は過激派であり、自分の力を誇示するかのように無差別に暴れまわり、周囲を焼け野原にしてしまった。日影と本堂の二人によって討伐された。
●ライコ【過激派】
九重老人が住む山に現れた三位一体の星の牙、”嵐”の三狐のリーダー。
フウビの夫で、スイゲツの父親にあたる。
金色の体毛を持つ三尾の狐で、”雷”の星の牙。
全身からの放電は非常に強力で、まともな人間が喰らえばまず即死する。
落雷を発生させることもできるが、コントロールは悪く、狙い通りの場所には落とせない。
自分たちが住む山を荒らす人間たちに業を煮やして、強制排除を敢行した。
予知夢の五人に倒され、フウビに星の力を託して息を引き取った。
●フウビ【過激派】
”嵐”の三狐の一体。薄緑の毛並みを持つ三尾の狐。”暴風”の星の牙。
ライコの妻で、フウビの母親にあたる。
得意技は、風を圧縮して塊として撃ち出す、風の砲弾。車一台吹き飛ばすほどの威力がある。
ライコから星の力を譲り受けた後は、尻尾が三つから六つに増え、体格もさらに巨大になった。攻撃手段も増え、風の勢いを利用した突進や、竜巻状の風をビームのように撃ち出す攻撃などができる。
●スイゲツ【自由派】
”嵐”の三狐の一体。水色の毛並みを持つ三尾の狐。”大雨”の星の牙。
ライコとフウビの子供にあたる。
雨を降らせる以外の能力は無いが、すでに老齢の両親と比べると、格段に高い身体能力を持っている。その身体能力だけでも、三狐の中で最強を狙えるほどの高さである。
戦いの中で、ライコとフウビ、二体分の星の力を譲り受け、”水害”の能力にも目覚めた。その場にある水を操作し、水球として宙に浮かべ、さながら某ファンネルのように相手に向かって水のレーザーを射出する。その威力は、人体を容易く貫いてしまうほど。川の流れの勢いを強めたり、高威力の超圧縮水流を直接吐き出すこともできる。
ライコやフウビと違い、スイゲツだけは人間と戦うことに消極的だった。
九重との暮らしが、他二匹よりも人間への理解を深めていた結果である。
しかし戦いの最中で両親を失い、さらに慕っていた九重を傷つけてしまい、精神的な若さから過ちを認めきれず、暴走。より激しく日向たちに襲い掛かってしまった。
現在は日向たちと和解し、かつてのように九重と共に暮らしているようだ。
〇ダンガンオオカブト
十字市の中心街に現れた、一本角の巨大なカブトムシ。
羽を広げて、標的に向かって真っ直ぐ、猛スピードで突進する。
まともに喰らえばまず無事では済まない。人体など容易くぶち抜かれてしまう。
甲殻も固く、対マモノ用に調整した銃器でなければ弾丸が弾かれてしまうほど。
〇ラビパン
十字市の中心街に現れた、耳の先端が拳のように固く丸まっているウサギ。
軽いフットワークで相手を翻弄し、耳拳で殴りつける。
集団でも統率が取れた行動が可能で、相手を囲んで袋叩きにする。
〇トライヘッド
十字市の中心街に現れた、植物型のマモノ。
ハエトリソウのような牙を持つ頭部を、顔と両腕の三か所に持っている。
非常に獰猛で、その牙に捕まったが最後、瞬く間に食い荒らされてしまうだろう。
●ロードキラー【過激派】
十字市の中心街に現れた、巨大なアルマジロのような『星の牙』。
能力は”生命”。再生能力に優れており、傷を治せるほか、背中のトゲが折れてしまっても即座に元通りにできる。
その背中のトゲでアスファルトの道路をボロボロにしてしまうため、公道殺しの名で呼ばれている。
本来は、無尽蔵とも思える再生能力で相手の攻撃を耐えまくる強敵なのだが、日向の『太陽の牙』は、星の力による再生能力を阻害する能力を持っているようで、ロードキラーの再生能力は活かされず、さらに急所へ強烈な一撃を何度も貰ってしまい、すぐに瀕死になってしまった。
●ラビパンヘビィ【過激派】
十字市の中心街に現れた、ラビパンたちのボス。
能力は”地震”。地震の振動エネルギーを攻撃に転用することができ、そのエネルギーを自慢の巨大耳拳に纏わせた一撃は、戦車だって余裕でスクラップになる。
耳は垂れ下がり、拳となっている先端が地面についてしまっており、一見すると鈍重そうなイメージを受けるが、フットワークはラビパンと大差ない。付いたあだ名が『マモノ界のマイク・タイソン』である。
仲間たちを倒された怒りで、シャオランと対峙する。
一時は彼をあと少しのところまで追い詰めたが、冷静になったシャオランの機転によって大打撃を受け、そのまま討伐された。
●カブトリビュート【過激派】
十字市の中心街に現れた、巨大な植物型のマモノ。
能力は”大雨”。自前の毒との合わせ技で、相手の神経に異常をきたす毒の雨を降らせることができる。
今までマモノ対策室のデータに無かった新種であり、植物のトリカブトがマモノ化した存在だとされている。人間を毒に侵して放置していたのは、さらなる獲物をおびき寄せるためではないかと推察されており、ともすれば本堂との戦いの途中で逃げ遅れた女性を襲ったのは、つかず離れず戦う本堂を引きつけるためだったかもしれない。
最後は本堂によって店ごと爆破され、さらに電気を流されて絶命した。
●アグニスモルフォ【過激派】
十字市の中心街に現れた、巨大な蝶のマモノ。
能力は”溶岩”。発火する鱗粉の使い手で、鱗粉はアグニスモルフォ自身の意思で、任意のタイミングで発火させられる。
鱗粉をばら撒いて罠のように設置する戦い方と、羽の鱗粉を燃え上がらせて自身が燃え盛る蝶として
直接戦う戦い方の二種類のスタイルを持っており、相手に合わせて使い分ける。鱗粉は、湿気ると発火できなくなってしまうらしい。
北園と戦い、鱗粉の能力で彼女を翻弄するも、最後は川に沈められ、凍結能力によってバラバラにされた。
●フレスベルグ【過激派】
十字市の中心街に現れた、巨大な蒼い大鷲のマモノ。
能力は”吹雪”。羽から吹雪を撃ち出したり、氷を自身に纏わせて鎧のように機能させたりすることができる。
今まで確認されてきた『星の牙』の中でも最強クラスの大物であり、見かけたらミサイルで撃ち落とすのが主流だった。白兵戦による討伐記録は『ARMOURED』によるものしかなかったが、この度記録が更新された。
日影を絶体絶命の状況まで追い詰めるが、雨宮の援護によって逆転された。
日影自身は「勝負はフレスベルグの勝ち、試合はオレたちの勝ち」と認識しているようだ。
●キキ【過激派】
十字市中心街襲撃事件の首謀者である、星の巫女の三匹の側近のうちの一匹。
その正体は、過激派のマモノたちの顔役。星の巫女に取り入って、さらなる力を授かることを企てていた。極めて残忍、獰猛、自己中心的な性格をしている。
他の巫女派のマモノたちから星の力を強奪し、更なるパワーアップを果たした。体躯は何倍も大きくなり、漆黒の毛並みに混じってに金色の体毛が生えている。
自身に傷を負わせた日影への恨みから、もはや手段は選ばず、星の巫女さえ超えるつもりでマモノたちから力を奪い、集められるだけの仲間を集め、日影をおびき寄せるために十字市の中心街を襲撃した。
もともとの”濃霧”と”生命”の能力に加え、さらに”雷”の能力にまで覚醒している”三重牙”。その危険度は、今までのマモノの比ではない。
以前の戦いで発揮していた『霧によって方向感覚を狂わせ、道に迷わせる能力』は、今回は戦いの舞台が、木々に囲まれ同じような景色が続く森の中と違い、とくに迷いようの無い街中であったため、発揮されることはなかった。
日向と一対一で戦うも、大きな力を手に入れた慢心と、攻撃が大振りであるという弱点を突かれ、日向の新しい技である”太陽の牙 紅炎奔流”に撃ち負け、倒された。
その後、現れたヘヴンによってこれまでの悪事を暴かれ、星の巫女からも見限られ、自身がこれまで奪ってきた命と同じように、無慈悲に葬られた。