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太陽の勇者は沈まない ~マモノ災害と星の牙~  作者: 翔という者
第23章 合衆国本土奪還作戦
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第1392話 対マシン戦闘

 合衆国の機密兵器開発所の搬入口にて、襲い掛かってきたセキュリティーマシンの群れと対峙する日向たち。


 マシンの群れは、主に四脚のものと武装ドローンの二タイプで構成されている。


 四脚のマシンは全体的に白いカラーリングで、大きさは日向たちの腰くらい。足の裏はスパイク状になっており、床の上はもちろん、壁やコンテナの側面、天井にまで張り付いている。脚力もかなりのもので、一度の跳躍で床から天井まで飛び上がってみせる。


 四脚の中心の胴体にはモノアイカメラ。

 そしてその胴体には武装が取り付けられている。

 その武装は、機体によって機関銃だったり、ロケットランチャーだったり、様々だ。


 武装ドローンは、一般的なドローンと比べるとやや骨太なフレームであり、プロペラの数は四つ。機体下部に装着されている機関銃を射撃しても、ドローン本体はまったくブレない。それだけ機体のパワーがあるということなのだろう。


 この二機の姿を見たハイネが声を上げる。


「あの四脚のマシンは『スパイダー』! 武装ドローンは『ホーネット』って呼ばれてるよ! スパイダーは意外と装甲が(かた)くて、その堅さに気を取られている間にホーネットが後ろに回り込んでくるっていうのが黄金パターンだから気を付けてね!」


「分かりました! 大尉はハイネちゃんを守ってあげてください! あのマシンの群れは私たちで一掃してきます!」


 レイカがハイネの言葉に返事をして、ジャックと共にスパイダーの群れに切り込む。


 ハイネが言っていた通り、スパイダーの装甲はかなり頑丈だ。レイカの高周波ブレード『鏡花』の切れ味をもってしても、スパイダーを切り裂いて機能停止させるには一太刀では足りない。三回か四回ほど叩き斬る必要がある。


 だが、レイカの剣技もまた見事なもの。

 一呼吸の間に五回、六回と斬撃を繰り出し、スパイダーを一機ずつ確実に屠っていく。


 ちなみに彼女の相棒のジャックはと言うと、デザートイーグルではスパイダー相手には火力不足だと早々に判断し、左右の義手で直接殴りかかっていた。常人を超越した膂力(りょりょく)で放たれるジャックの鋼の拳は、コンクリートをも軽々と叩き割る威力を誇る。


「ったく、ホントに無駄に頑丈なヤツらだな……っと!」


 前方のスパイダーが、ジャックを狙ってロケットランチャーを発射してきた。

 ジャックはそのロケットランチャーを飛び越えて、逆にスパイダーの頭頂部に右拳を振り下ろす。


 その一撃でスパイダーは床ごとわずかに陥没し、全身にスパークが(ほとばし)って潰れかけた。しかしギリギリでジャックの拳を耐えきってしまい、すぐにロケットランチャー第二射の用意。


 ……が、反撃される前に、ジャックは左のアッパーを放つ。

 アッパーはスパイダーのモノアイカメラに命中し、そのまま天井まで吹っ飛ばされた。


 少し今の個体に時間を取られ過ぎたか。

 そう考えたジャックは、レイカが大丈夫か、彼女の方をチラリと見る。


 やはりと言うべきか、レイカは大丈夫だった。

 ちょうど今、八機目のスパイダーを斬り伏せたところだ。

 今日の彼女はかなり調子が良いらしい。動きが普段より活き活きとしている。


 しかし、レイカが八機目のスパイダーにトドメを刺した瞬間に、彼女の背後に武装ドローン、ホーネットが接近。レイカは八機目のスパイダーに気を取られており、まだホーネットを捕捉していないように見える。


「やっべぇ、あのドジ!」


 レイカを狙うホーネットを撃ち落とすため、ホルスターに仕舞っているデザートイーグルを抜き放とうとするジャック。素手でスパイダーを攻撃していたのが災いし、すぐに射撃に移ることができない。


 だが、ジャックがホーネットを撃ち落とすより、ホーネットがレイカを射撃する方が早かった。

 ホーネットの機体に取り付けられた機関銃が火を噴き、放たれた銃弾がレイカの首筋に迫る。


 ところが、金属音が鳴り響く。

 ホーネットが放った弾丸が、叩き落とされた音だ。


 レイカが刀で叩き落としたようには見えない。

 なぜなら、彼女はホーネットの方を振り向いてさえいない。


 そして、いま射撃されたことでようやくその存在に気づいたかのように、レイカはハッとした表情でホーネットの方を振り向く。瞬時に刀を構えなおし、左下から右上への斬り上げでホーネットを両断した。


「ふー、危なかったぁ……。ハイネちゃんの言っていたとおりだったわ。気が付いたら後ろに回り込んでた……」


「なぁレイカ、今の能力は?」


 ホーネットからの銃弾を防いだレイカの謎の能力が気になり、ジャックは彼女に尋ねる。幸い、スパイダーもホーネットも、今の攻防でほぼ全滅している。


 だが、そこへ新たな敵の気配。

 見れば、前方のコンテナ群に、三体の人型のマシンが見える。


「っと、トークタイムは後にした方がいいか」


「ですね。あるいは、彼らとの勝負で実際に見せた方が、私の能力についての説明も早いかもしれません」


 この人型のマシンは、全体的なカラーリングがメタリックなシルバー。顔面部分に人間らしい顔は無く、ただ目の前の光景を情報として処理するメインカメラのレンズが一つ、光沢を放っているのみ。


 そして武装は、マモノ討伐チームのブレード部隊も使用している高周波ブレードだ。鋼鉄すらバターのように切り裂く、極めて危険な武装である。


 この人型のマシンを見たハイネが、また声を上げた。


「そいつのコードネームは『ガーディアン』! ウチのブレード兵に負けず劣らずの高機動戦闘ができる強敵だよ! 気を付けて!」


 そのハイネの言葉と同時に、三機のガーディアンが一斉に動く。

 一機は日向たちを、二機はジャックとレイカを狙うつもりのようだ。

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